*停電*
記事『最近』に書いた再読本。
ジュンパ・ラヒリの『停電の夜に』。

インド系女性作家のデビュー短編集。
2000年、書店の海外文学作品コーナーを彩ったこの表紙に見覚えのある方も多いでしょう。
ピュリッツァー賞を受賞し、世界中で好評価を受け、日本では新潮社から出版。
さすが大手!の宣伝力で、当時本書の広告が溢れかえっていた。
……のに、私の周りでこの本を読んだ日本人はなんとひとりだけだった。
なんて勿体無いんだろう!
ひとつひとつの話は短いけれど、すっ、とは読み終わらない。
書かれていることが難解で理解に時間がかかるのではなく
ゆっくり自分の中に取り込んでいきたい、と思わせる文章だから。
特に表題作『停電の夜に』は素晴らしいと思う。
初めてのこどもが死産に終わり、結婚後三年、埋まらぬ溝が横たわる家庭に暮らすある夫婦。
当然『ロマンチックな夜』もなく、妻が夫をまともに見ることすら殆どない。
夫は夫で妻となるべくすれ違うような生活をこころがけている。
不倫はないが、『それよりも悪い』情況。
そんなある日、夫婦の居住地域に舞い込んだ『おしらせ』。
『復旧作業に伴う5日間・夜一時間だけの停電』。
これを利用し、妻が夫に提案する。
『暗闇の一時間の間に、お互いの秘密を打ち明けあいましょう』。
そしてそれからの5日間、彼らはひとつずつ、『今まで言えなかったこと』を打ち明け合う…。
内容は凡庸とも言えるし、似たような話は他にもある。
『ふとできた、限られた状況の中で起きる人間ドラマ』なんて、
世界中にそれこそ星の数ほどある。
でも、彼女ほど巧く書くのは、難しい。
だってこの描写!
この会話!
そしてこのラスト!
読後、『しぃん』としてしまう。
ピアノをかけて
灯りを消して
限られた光の下で
ひとり静かに読みたい本。
O・ヘンリー賞を受賞した『病気の通訳』も面白い!
可笑しく哀しく、うまくまとめている。
こちらもラストの一文が秀逸。
文庫になっているし図書館にもあると思うので、
時間のある方は是非どうぞ。
ジュンパ・ラヒリの『停電の夜に』。

インド系女性作家のデビュー短編集。
2000年、書店の海外文学作品コーナーを彩ったこの表紙に見覚えのある方も多いでしょう。
ピュリッツァー賞を受賞し、世界中で好評価を受け、日本では新潮社から出版。
さすが大手!の宣伝力で、当時本書の広告が溢れかえっていた。
……のに、私の周りでこの本を読んだ日本人はなんとひとりだけだった。
なんて勿体無いんだろう!
ひとつひとつの話は短いけれど、すっ、とは読み終わらない。
書かれていることが難解で理解に時間がかかるのではなく
ゆっくり自分の中に取り込んでいきたい、と思わせる文章だから。
特に表題作『停電の夜に』は素晴らしいと思う。
初めてのこどもが死産に終わり、結婚後三年、埋まらぬ溝が横たわる家庭に暮らすある夫婦。
当然『ロマンチックな夜』もなく、妻が夫をまともに見ることすら殆どない。
夫は夫で妻となるべくすれ違うような生活をこころがけている。
不倫はないが、『それよりも悪い』情況。
そんなある日、夫婦の居住地域に舞い込んだ『おしらせ』。
『復旧作業に伴う5日間・夜一時間だけの停電』。
これを利用し、妻が夫に提案する。
『暗闇の一時間の間に、お互いの秘密を打ち明けあいましょう』。
そしてそれからの5日間、彼らはひとつずつ、『今まで言えなかったこと』を打ち明け合う…。
内容は凡庸とも言えるし、似たような話は他にもある。
『ふとできた、限られた状況の中で起きる人間ドラマ』なんて、
世界中にそれこそ星の数ほどある。
でも、彼女ほど巧く書くのは、難しい。
だってこの描写!
この会話!
そしてこのラスト!
読後、『しぃん』としてしまう。
ピアノをかけて
灯りを消して
限られた光の下で
ひとり静かに読みたい本。
O・ヘンリー賞を受賞した『病気の通訳』も面白い!
可笑しく哀しく、うまくまとめている。
こちらもラストの一文が秀逸。
文庫になっているし図書館にもあると思うので、
時間のある方は是非どうぞ。