中高一貫校の女子校で、6年間同じクラスだった仲良しトリオは、
今でも盆暮れには会って、ごはんを食べながら近況報告をしている。
3人でこうしてごはんを食べられる事に、感謝しなくちゃね、
なんたって健康が一番・・・80になっても杖をつかないで歩く・・・
ワタシは80でもパンプスを履く
と言い張り・・・・・
そんな言葉をかわし次回 の再会を約束する。
そういった平和状態が続いていたが、1人がとうとう健康を害してしまった
5年前に日舞の宗家となり、たくさんのお弟子さんを抱えるハツミが、
肺に癌が見つかり、肝臓と大腸にも転移していると知り大ショック
ハツミちゃんが会える時に会っておきたいと、3人でランチをする事になった
個室があるからと、新宿高島屋の焼肉屋さんを予約したと言う
ひっ
ヤキニクかい
と心配になったが、肉を食べる位だからと、
さほど心配しないまま当日となり、半年ぶりの3者揃い踏みが無事に実現。
ところが、珍しく遅れてやってきたハツミちゃんを見て、
その変貌に、言葉を失ないかけた
「ごめんね、ゆっくりしか歩けなくて遅れちゃった・・・」
シャキシャキと足早に歩いていた彼女が、足を引きずり気味歩行、
顔色は土色でムクミもひどく、頭はフルウイッグをかぶっていた。
あまりの人相の違いに、涙がこぼれそうになり必死にこらえた。
「抗がん剤治療で髪も抜けちゃった・・・・」
明るく笑うハツミちゃんには、悲壮感は感じられず、
それが救いだった。
「抗がん剤治療は、思った程つらくないけれど、
味覚がまったくないの、何食べても味がしないのはツライわ・・・」
週に1回のお稽古は続けているそうで、
「弟子がね、座ったままでいいから稽古をつけてほしいって言うから・・・
でもね、指図だけじゃ物足りなくて、つい立ち上がって指摘するのよ・・・」
「日舞は所作のちょっとした、微妙な動きが重要そうだから流石だわ・・・」
そんな私の言葉を遮るように、生真面目で慎重派のユミちゃんが反応した。
「だから電話でも言ったでしょ、お稽古は断るべきだって・・・
今は治療が第一、身体に負担をかけちやダメなのよ・・・」
「そうかなぁ・・・人に必要とされている、
師匠としてのプロ意識、それはメンタル的にはプラスなんじゃない
」
「担当の先生もそう言うの、無理をしない程度にやればいいって・・・
だからねユミちゃん、大丈夫、私ゼッタイ元気になるから・・・」
ハツミちやんは、とても複雑な家庭環境で育ったからか、
学生時代から、腹が据わっていて図太い神経の持ち主。
高額治療でかなりお金もかかるらしいけれど、
お金にはまったく心配はないと言い切っていたし、
きっと病に打ち勝つに違いない、ハツミちゃんは・・・
今もって働くオバサンのワタシだったら、とても高額治療費は払えまい。
だからオマエには、健康な身体を与えたのだ・・・・・
神様のそんな声が聞こえた気がした。
シアワセな老後、お金と健康、どっちがより重要なんだろ
両方ある事がいいに決まっておりますけれども・・・・
☆彡今夜の独り言
新しいお弁当箱を買った 木製に見えるけど実はプラのなんちゃつてデス
ハツミちゃんの分まで焼肉を食べまくったので、
おうちお昼は素朴におにぎり＆お味噌汁
ごはんは魚沼産のこしひかりだし、苦手なお味噌汁は具沢山で美味ランチでした
