小澤征爾さん桑田佳祐さんが罹患した「食道癌」について | 免疫力を上げるブログ

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こんばんは、


遅くなりましたが最近著名人の方に「食道癌」の方が報道されますのでお知らせします。



先端がん医療「食道ガン」  23.2.5放映
鳥越俊太郎医療の現場より


小澤征爾さん桑田佳祐さんなど、著名人に診られる食道癌。
果たして食道癌とはどのような特徴を持っているのでしょうか?


担当医:都立駒込病院 食道外科医長 出江 洋介医師

A.男性に多いですね。特にたばことかお酒を多く摂る方に多いガンですね。

比率は6対1くらいで男性に多いと言われています。


[食道ガン患者数]

1975年 5,761人 1980年 6,000人 1985年 7,500人 1990年 8,000人 1995年 12,000人
2000年 15,000人 2005年 17,496人

ここ30年で3倍近くになっています。

さらに胃がんや大腸ガンに比べると予後が悪いと言われています。死亡率が高いガンです。

胸部に出来るのですが比較的早い段階からリンパ節転移を起こしやすいガンとなっています。


ガンが小さい段階から更に広がりやすい。広がりやすいことが原因だと思います。

食べ物を口から胃へ運ぶ食道は薬25cmもあります。
食道の周囲にはリンパ節や血管が網の目の様に存在しています。
そこにガンが転移しやすい状態になっています。


[食道ガンの転移]

リンパ節 → 腹部や首のリンパ節へ
血液   → 肝臓・肺・骨などへ

と全身へと転移していく可能性があるのです。
これが食道ガンの特徴です。そのため予後が悪いと言われています。


Q.大腸ガンや胃がんに比べると予後が悪いのは何故ですか?

A.食道ガンは、比較的小さい段階からリンパ節転移を起こしやすい性質があります


[食道ガン]は、

初期段階から転移しやすい
食道は、頸部、首もと、胸部、腹部と広くリンパ節に密接、全身に転移しやすい。


Q.食道ガンは取ったけれども転移した先のガンが見つかると言うことになって追っかけっこになる?

A.広い範囲に広がっている場合もある


Q.食道ガンは見つけやすいのですか?

A.初期の段階では自覚症状がないので見つかりにくい


Q.治療法は主にどんなものがあるのか?

A.「食道ガン治療法」

初期のものであれば内視鏡切除。
進行がんであれば主に外科手術(抗がん剤・放射線治療もあります)


Q.どんな手術ですか?

A.食道をほぼ全部切除する。


Q.食道ガンの手術は高難度手術に入るのですか?

A.消化器の手術の中では一番大きな手術になります。

胸・首もと・腹部を切開指定も半分切除、食道を亜切除(ほぼ全摘


Q.肺臓はどうするのですか?

A.左の肺だけに空気を送る特殊な気管チューブを使って右の肺を潰し、食道までメスが届く様にする。


Q.一方で先生が新しく取り組んでいる手術方法があると訊いているのですが教えて頂けますか?

A.英語の頭文字を取ってMIEといいます。


[低侵襲食道手術]

胸腔鏡と腹腔鏡を使って小さな傷で行います。
胸から腹にかけて小さな穴を12~13個開けて首だけは同じような傷が残る。


○一般的な手術

切開するめんが多い。肺をつぶす。


○MIE手術は、

切開する面が少ない。肺を殆ど潰さない。


[食道ガンMIE高難度手術の現場]


担当医は、
一番手技的にに難しい部分って肺が膨らんでそれをどうやって避けるかと言うことがあり、やはり合併症が結構な比率で起こるんですね。その中でも肺炎が多い。

その肺炎を何とか減らそうっていうのがこの手術の目的です。

一般的な手術は、邪魔になる肺を小さく潰していました。
このため肺に負担がかかっていました。


一方高難度手術MIEは、お腹にメスを入れ更に腹腔鏡を挿入する穴を開けます。
ここから肺の中程まで周囲の臓器から食道を剥離していきます。


次に胸から胸腔鏡を挿入し、剥離しなければならない食道は肺上部のみ少し潰すだけで食道を摘出できます。


肺炎のリスクを抑えるこの手術。駒込病院では年間20件ほど行われています。


[症例1.]木下圭司さん(41才)

2010年11月上旬入院


2ヶ月前、会社の健康診断でガンの疑いをもたれました。
その後受けた内視鏡検査でガンと判明。自覚症状がないままガンが見つかったのは食道ガンでした。


患者のコメント

「生き死に」って考えますね。
「治る治らない」じゃなくて、治らないってことは死ぬってことでしょ。
「治らなかった」ら、手が無くなるとか足が亡くなるとかじゃない、
死んじゃうってことだからいろんなことを考えましたよ。


「手術当日」午前8時45分

全身麻酔など手術の準備が進む。

午前10時 手術開始 手術時間は7時間の予定。


① 食道剥離、リンパ節摘出
  先ずお腹に腹腔鏡を入れていきます。
  5人の医師が同時に手術を行います。(腹部3人、首もと2人)


② 腹腔鏡・胸腔鏡術
  腹部・胸部に小さい穴を数カ所開けカメラや手術道具を入れ、テレビモニターを見ながら行う手術。


③ 腹に広めの穴を開け
  器具を持たない手を体内に挿入、内臓の位置などを感覚で把握する。
より正確に食道だけを剥離することが出来る。


食道の周りは、無数のリンパ節があり,リンパ節の直径はおよそ7mm。
転移の可能性があるので、すべて摘出しなければならないのです。

手術開始から4時間半、患者の向きが変えられました。

そして胸腔鏡が射し込まれ、食道剥離、摘出。リンパ節摘出。
その時リンパ節の裏に皮一枚で反回神経(直径2mm)が隠れていました。


[反回神経とは]

気管と食道の間を通って、喉へ伸びる神経。
損傷すると声がかすれ、声が出なくなる可能性がある。


食道の周囲には内臓だけでなく、このような神経も密集しているため少しずつしかメスを入れられないのです。


午後5時30分 手術終了 手術時間7時間30分

摘出された食道はすぐに検査に回される。転移の有無などが確認される。2週間で退院予定。

手術後、12日。木下さんは食事を取ることが出来る様になりました。


A.喉越しは、余り変わらないですね。

もっと違和感があると思ったけど飲み込む感じは変わりません。
飲みづらいは有るが、顎を引きぐっと飲んだらすっと入る。

術後7日目から食事開始(個人差はある)されることが多い、
医師はゆっくり食べることを注意。普通に食べたのでは早すぎる。


食べ物が胸のあたりに溜まってますから余りよく噛まない状態だと流れていかないのでしょ。
出来るだけやわらかくしてあげた方が食べ物が落ちて行きやすい。

出で作られた食道は,食べ物をスムースに運ぶ力が弱くなっているため,逆流してしまうことが多く、食事の際は注意が必要。

術後のCT写真では、胃袋は位置が変わり小さくなっていました。

患者は、
こんなに美味しく食べられるとは思わなかったです。間食です。
手術の傷口はすでにかさぶたが出来るまで回復していました。

入院期間20日で退院。
今後は月に1度のペースで経過観察に外来受診する。


Q.食道を切除してしまうと食べ物の通り道が無くなってしまいますが,どうやって通すのですか?

A.胃を管状に形成しまして首まで引っ張り上げて繋ぎます。


Q.そうすると、食道だけど胃ですよね。

A.機能としては食道と胃、両方あるんですが食べ物を貯めたり消化したりする機能が基本的には非常に弱くなります。


Q.胃酸は食道になってからも出るんですか?

A.ハイ、出ます。量的には一時的に減少しますが時間が経つと増えてきます。


Q.普通に食べ物を食べたり飲んだり出来るんですか?

A.回復するまではかなり時間がかかります。

個人差はありますが1年位はかかることが多い。


Q.MIEの入院期間はどの位か?

A.食道ガンMIE手術(都立駒込病院の場合)

入院期間:3週間 費用:約80万円(保険適用前)
保険適用の申請を事前にしておけば実際支払う金額は10万円程度。


Q.MIE手術はどこの病院でも受けられますか?

A.どこでもやっている手術ではありません。

5人の医師が同時にと言うことはどこの病院でもという訳にはいかない。


[担当医からのメッセージ]


年1回は内視鏡検査を。
初期段階では自覚症状がないので自分ではわからない。
定期的な内視鏡検査を行っていれば早期発見が可能。


日本人の場合は胃がんが多いので内視鏡検査では食道を見過ごされることもあるので,検査を受ける時は食道の検査を併せて依頼する。

このように結んでいます。


<ヒデちゃんのコメント>


新しい技術で予後も改善されているようですが、ここでも地域格差・地方格差が現実にあります。
しかし、命に関わることでもありますので情報を正しく得て、適切な医療機関の選択をされますことを切にお願いします。


ここでも早期発見・早期治療が言われています。

がん特化型検査システム「ガン・リスクチェッカー」は、血液を採取するだけなので簡単です。
是非、40才を過ぎたら一度は受けて欲しいと思います。

安心を確定することも検診には大切なコトだと思います。


<完>