自分にとっての音楽的デフォルトと言えるバンドやアーティストは誰しも1つ2つは居るんじゃないかと思います。
それがビートルズだったりストーンズだったりT・レックスだったり・・人それぞれでしょうが私の場合はフリー。
あのスッカスカで不愛想な音が当時10代初頭だった私にはこれ以上ないくらいにフィットしたんですな。あの独特な”間”が私には魅力的でその後聴くことになる様々な音楽にも間を求めていたように思います。レゲエに嵌ったのもあの間が心地良かったというのもあります。音がぎっしり詰まったような音楽は酸欠になりそうで私は好みませんでした。音を抜くことで拡がるダブの引き算の美学みたいものに私は魅力を感じます。マイルス・デイビスがアーマッド・ジャマルにインスパイアされたのも最少の音で表現する美学を感じていたからではないでしょうか。サイモン・カークのドラムなんて必要最小限の音しか出してないにもかかわらずロックしていましたし、アンディ・フレーザーのベースの存在感、バンドの核はベースだと言わんばかり。これもレゲエがベースカルチャーの音楽だったことが私の趣向と繋がっていくことと無関係ではなかったと思います。ポール・コゾフは速弾きなんて出来なくてもギターは弾けることを示してくれていたようにも。ポール・ロジャースは彼のDNAには日本人が入っているじゃないかと思えるほど琴線に触れるものでした。歳が近いということもあったのかもしれませんが、バンドの持っていた70年代初頭の空気感が私の根っこにあるように思います。また、彼等が所属していたレーベルがアイランドだったということも象徴的でした。ボブ・マーリィをインターナショナルにしたのもクリス・ブラックウェルでしたし、フリーのデビュー盤をプロデュースしたガイ・スティーヴンスはモット・ザ・フープルやクラッシュと私が聴くことになるものへと繋がっていたのはけして偶然ではなかったように思います。
双方がアイランド・レーベルに所属したゆえに叶ったコラボ。