ショウビズの世界で成功を手にすることが出来る者なんて、ほんの一握りなどという
ことは分かりきったハナシだが、こういうワンショットで消えていったシンガーのレコードを聴いていると、あらためてそういうことを思い知らされる。

大体、こういうヴォーカルものはギャンブルで手にすることがほとんどで、購入にいたるその判断基準は、まずはナンといってもジャケ。そして演目。
このマーリーン・コードは後者の方。
ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」の"Detour Ahead"、ケニー・ドリュー・トリオのリヴァーサイド盤での"I Could Write a Book"、インストではドルフィー、ヴォーカルではリー・ワイリーで愛聴していた"Glad To Be Unhappy"。
そして、エリントン・クラシックス"I Got It Bad"・・・
この辺りに目星をつけての購入だったような憶えがあります。

声質は、ちょっと鼻にかかって中々キュートで甘め。
でも、しつこさはなく、あっさりしています。
吹き込みが’57年というのも関係しているんだろうか、バックは案外モダン。
ところどころでフィーチャーされてるフルートが結構エモーショナル。
清純派ヴォーカルとのコントラストが良いアクセントになってます。
ときどき音程が不安定になるマーリーンのヴォーカルだが、愛嬌があって許せる範囲。
嫌味のなさが、偶に聴いてみようかという気にさせてくれる盤。
 
あと、ひとつ言い忘れたが・・
このレコードが引っかかったのはジャケの彼女がちょっとイザベラ・ロッセリーニ
に似ていたからかも(バーグマンだったらもっとよかったけど)