オリジナル・アルバムとしてはラスト・アルバムとなってしまった、

バート・ヤンシュの「ブラック・スワン」。

2000年代に入り、彼から見れば息子世代とも言えるジョニー・マーやブレット・アンダーソン、ホープ・サンドヴァルなどとのコラボレート等もやってきたわけですが、このブラック・スワンではべス・オートン、デヴェンドラ・バーンハートというフリー・フォーク勢との邂逅を遂げています。
こういう若い人達とのコラボで一番成功してるんじゃないかと思えるのはこのアルバムだと個人的には強く思います。前作に参加していたホープ・サンドヴァルも良かったと思いますが、べス・オートンとの相性の良さは想像以上です。

ちなみ、ホープ・サンドヴァルに代わり同じマジー・スター組からギタリストのデビッド・ローバックが参加、"When The Sun Comes Up"でスライドを聴かせてくれています。

冒頭のタイトル・トラックから、このアルバムがただならぬ素晴らしさに溢れたアルバムだというのが容易に感じ取れます。この曲で素晴らしいセロを聴かせるヘレナ・エスプヴァルの参加も大きいものがあります。
カレン・ダルトンもカヴァーしていた"Katie Cruel"、ペンタングル時代からお馴染みの"Watch The Stars"等のトラッド・ナンバーの解釈もフリー・フォーク的解釈で新鮮に聴こえます。
"A Woman Like You"などの既出曲も、熟成されたモルトのような味わいを感じさせるものへと変貌しています。
近年のディラン的な乗りで聴かせる"Texas Cowboy Blues"も中々カッコイイですね。
またその他のバートの書き下ろし曲も2000年代に入ってからリリースされたものの中では最高の部類だと感じますし、ペンタングル解散以降、ソロ活動をメインにやってきた彼の歌謳いとしての最高傑作だといっても過言じゃないのが、このアルバム「ブラック・スワン」ではないかと。


Bert Jansch / The Black Swan (2006)

01. Black Swan
02. High Days
03. When The Sun Comes Up
04. Katie Cruel
05. My Pocket's Empty
06. Watch The Stars
07. A Woman Like You
08. The Old Triangle
09. Bring Your Religion
10. Texas Cowboy Blues
11. Magdalina's Dance
12. Hey Pretty Girl