社会人になり晴れの入社式の時に締めたネクタイが水玉のネクタイだったことを
今でも忘れていない。
そう、このジャケのマイルスに肖っての事。
 
アコースティック・マイルスか電化マイルスか、そんな論争に
加わる気は全くないが、マイルスの中でどれか選べと言われたら
この盤は私の中では相当上位にくるだろう。
 
このライヴのストイックで美しい緊張感が堪らなく好きなのだ。
晩年では体力的にも難しかったんだろうが吹けなくなった
フリューゲルで吹くタイトル・トラックと星影のステラは
特に素晴らしい。
後者で感極まり雄たけびをあげるオーディエンスの一人には
シンパシーを憶える。
 
ショーターを迎えてからの完璧なクインテットの前夜に当たるこの
ライブでの面子だが、逆にジョージ・コールマンだったから、
ピュアなオーセンティックさの感じられるマイルスだったんじゃないか
とも思える。
極短命だったこの面子でのマイルス・クインテットだったが、
それゆえにこのライヴ盤は今でも私には掛け替えがない。