もし私がクリムゾンのファンではなかったら、このアルバムを聴くことはなかったかもしれない。
このアルバムをマニア向けとまでは言わないが、ファンではなかったら食指が伸びるようなものではないだろう。
これがクリムゾンを期待するものではないことはファンなら先刻承知だと思う。

曲の良し悪しなど端から期待してはいない。
じゃ何を期待するのかといえば、それはロバート・フリップ、ピーター・ジャイルズ、マイケル・ジャイルズの出す音。
特に、フリップのギターとマイケル・ジャイルズのタイコ。
この点でいけば、大いに満足できるものである。
フリップのギターは、ほぼ全体に渡ってナチュラル・トーンでジャジーに弾いている。

私はクリムゾンでもナチュラルトーンで弾くフリップのギターが一番好き。
マイケル・ジャイルズのタイコもジャズ・マナー。
で、やってる曲は全然ジャズではない。ここが面白いところ。
如何にもなジャズをやっても、たぶん何も面白くなかったはず。

完成品にない魅力。そういうものじゃないだろうか、これは。