ロココ時代の宮廷ドレス
先日は、目黒区美術館にて開催中の「祝祭の衣装展」に
行ってまいりました。
マリー・アントワネット(1755年~1793年)の時代に舞踏会などで
実際に着用されたドレスとその頃の扇などが展示されています。
パニエ等の下着と男性用の靴はレプリカだそうですが、
その他は全て、300年から200年も前のものです。
それだけの年月が全く感じられないほど、どれもとても綺麗です。
ロココ・スタイルの舞踏会風景 神戸ファッション美術館蔵
ドレスはほとんどがシルク地で、ベルベットやサテンに刺繍が
施されたものが多数でした。ひだのとり方やレースの使い方等
何から何まで手の込んだドレスばかりです。
当時のお化粧法や髪型などがわかるようにマネキンには
全てお面が付けられていました。
ロココ・スタイルの舞踏会衣装 神戸ファッション美術館蔵
(左)ローブ・ア・ラ・フランセーズ
1770年頃(生地は1740-50年頃)
(右)アビ・ア・ラ・フランセーズ
1780-1805年頃 イギリス
当時の流行のひとつでもある「つけボクロ」は、肌の白さを際立た
せるためだけでなく、しみなどを隠す役目もあったそうです。
映画“バリー・リンドン”※でつけボクロをした男女を見て雰囲気は
わかっていましたが、今回初めてその役目を知りました。
※ “バリー・リンドン”
(1975年/アメリカ/スタンリー・キューブリック監督)
成り上がり貴族の波乱に満ちた半生を描いたもの。
18世紀のヨーロッパが忠実に再現されていて、
映像が絵画的で非常に美しいので、おすすめします。
ろうそくの光りだけで撮影された映像も素敵です。
この時代の宮廷婦人のファッションでは、髪を高く結い上げることが
流行っていて、その上にさらに花や鳥、模型の船までのせて飾って
いたのです。下の写真の船を乗せた髪型にご注目を!
映画“マリー・アントワネット”☆で見てその様子はわかっていたの
ですが、実際に見るとその圧倒的な高さにのけぞってしまいます。
☆“マリー・アントワネット”
(2006年/アメリカ/ソフィア・コッポラ監督)
フランス最後の王妃マリー・アントワネットを描いたもの。
実際にヴェルサイユ宮殿で撮影された豪華な映像が素敵です。
ドレスやお菓子の数々がポップで女性向きの作品です。
追記 : 「マリー・アントワネット」関連は、ラベンダー色の文章をクリックするとご覧いただけます。
↓
ロココ・スタイルの舞踏会衣装 神戸ファッション美術館蔵
ローブ・ア・ラ・フランセーズ 1770-75年頃 フランス
また、ドレスの大きさから、この時代の人々は、
意外と小柄だったことがよくわかりました。
ロココ・スタイルの日常着 神戸ファッション美術館蔵
(右)レンガ色:ローブ・ア・ラングレーズ
1785年頃(生地は1760年代) イギリス
(左)アイボリー:ルトゥルーセ・ダン・レ・ポッシュ
1780年頃 フランス
ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825年)作
「ナポレオンの戴冠式」1805-1807年 油彩
作品中の皇后ジョセフィーヌの衣装の復元
神戸ファッション美術館蔵 大儀礼服
アトリエ・プロカール(パリ)製 1993-1995年
お隣のキャンディピンク色のお部屋には、
『再現された200年前の「ナポレオンの戴冠式」の衣装の
ドキュメントアルバム』が置いてありました。
そちらをご覧になると復元ドレスがこのように出来上がるまでの
過程がよく理解できると思います。
扇も見事な芸術品でした。
べっ甲や象牙に繊細な彫刻が施された柄と、
シルク地に刺繍された面や緻密な絵画が描かれた面の扇。
当時のヴェルサイユ宮殿でこれを持つご婦人方に思いを馳せて、
前述の2本の映画をもう一度鑑賞したくなりました。
扇 神戸ファッション美術館蔵 1770-80年 フランス
面:シルク地に彩色、金糸刺繍 柄と骨:象牙
目黒区美術館
祝祭の衣装展~ロココ時代のフランス宮廷を中心に~
の会期は、3月29日まで(月曜休館)
観覧料:一般900円、大高生・65歳以上700円、小中学生無料
(こちらのチケットの半券を持って東京都庭園美術館に行くと
入館料が100円引きになるそうです。)
交通:JR山手線・地下鉄南北線・東急目黒線、
目黒駅より徒歩10分
この「祝祭と衣装展」のドレスをご覧になってから
「ポワレとフォルチュ二ィ展」(2月17日付ブログ参照)の
ドレスを見ると、それらのドレスがいかに斬新で、
画期的なデザインだったのかがよく理解できると思います。
これからお出掛けされるなら、まずこちらの衣装を見て、
そのあとポワレとフォルチュ二ィのドレスをご覧になることを
おすすめします。
追記 : 「ポワレとフォルチュニィ展」詳細はラベンダー色の文章をクリックしてご覧ください。
↓
ロマリン