ついに来ました桂離宮。
阪急 桂駅から徒歩15分ちょっと、受付を済ませて待合室でスタートを待ち・・・人数が揃ったところで引率の方が登場してスタート。というなわけで、引率ありでの見学だと心行くまでというわけにもいかないので、思い入れの割にはあっさりした感じになるかと思いますが。

御幸門からスタート。

御幸道→外腰掛を過ぎて、視界が急に開ける。視線の誘導にも非常に気が配られており。

松琴亭。ネーミングは私の好きな
から。録画してあったNHK BSの番組を見たら、松+琴+海辺の風景 という全体の構図は源氏物語の「松風」の巻から来ているらしい。琴の音に 峰の松風 かよふらし いづれのをより しらべそめけむ 斎宮女御

笑意軒側から天橋立・州浜を望む。
丹後の京極氏から輿入れしたお妃を慰めるためにこの風景を取り入れたとのことで・・・
・・・慰められますかねw?

加賀奉書の壁紙を使った室内。市松模様は遠州好み。
書院の中が見学できないので、建築的にはここが一番の見どころとなる。襖絵は狩野探幽。

最高地点にある賞花亭。峠の茶屋のイメージ。実際に茶屋を移築したもの、と。

賞花亭のある山は人工的な築山で高さほんの7m程度らしいですが、そう聞いて意外なくらい、けっこう高く感じます。L-B.アルベルティ(1404-1472)が「建築論」でいうところの眺望のよい庭園、ですな。

土橋って初めて渡った。ちょっとうれしいw

園林堂。ここだけ建築のテイストが違う。渡った土橋が見えてます。

笑意軒。窓下の斜めに接いだ腰貼りが実に桃山の余香。金箔に格子模様のビロード!

茶屋はそれぞれ扁額もそれぞれ凝っていて。こちらは曼殊院良恕法親王の筆と。

そして書院。この雁行形を順路からはみ出さずに上手くジグザグに撮るのはけっこう難しい。
・・・と、基本、趣旨が“庭園の拝観”ということで、庭園内に点在するパヴィリオン(茶屋)を回るコースになっておりましてですね、中心的な建築である書院は前を通り過ぎるだけなので、フォーマルな社交空間とか、居住空間としての要素は見ることが出来ないわけで、ある種テーマパーク的というか、かなりリラックスした遊芸の空間の要素だけを見学している感じはあります。あと、書院からでないと肝心の観月のための別荘という装置感も実感しにくいし。・・・やっぱり書院も見たいなあ。
ちなみにそういう茶屋巡りのアミューズメントて、なんとなく醍醐の花見を思い出すんですよね。桂離宮を作った八条宮智仁親王という方は秀吉の猶子でしたしね。そういう系譜ってあるのかなと。やっぱ上醍醐(花見跡)に登っておくべきだったか。

月波楼側から松琴亭を望む。

月波楼の窓から。こういう額縁的構図って、ついつい撮りたくなるw 誰もがw

いちおう、お茶やってる人的には重要、「真の飛び石」。書院の玄関「御輿寄」
通常、典型的に「遠州好み」とされる「真の飛び石」ですが、事前に読んでいた田中正大「日本の庭園」(SD選書23)では、露地に最初に切石を導入したのが遠州の師の織部ということで、織部様式の方に入れられてます。
これも含めてこちらの本、茶の建築・作庭に関して織部の様式について意味的にも紙数自体も非常に大きく扱っていて面白かったです。特に織部に興味のある方にはおススメ。そういえば「へうげもの」でも、当初の作事については織部が大きくかかわったことにしてましたよね。
書院の中が全くうかがえないことに若干思いが残る一方で、私もそうですけど今時みんな写真撮りまくりでですね、自分や友達以外の人が出来るだけ写り込まないように通り過ぎるのを待っていたりと、ひたすら写真を撮るために行列が間延びするのはちょっとアレで、引率の方のご苦労も思いやられます。
しかし、すみません、いかにSNS=自撮り時代とはいえ、大量に撮ってるほとんど全てのカットに自分を入れ込む人の感覚はちょっと分からない(笑)。すみませんw
ちなみに、今回突然「そうだ、桂 行こう」と思ったのは、塚本邦雄「王朝和歌百首」を読んでいてこの歌に出会ったから。
思ひ出づや 人めながらも 山里の 月と水との 秋の夕暮 元輔
良いですねえ。塚本も「冷え冷えとした秋の森羅萬象を寫し出して」と云ってますが、なんといっても「月と水との秋の夕暮」という言葉が涼やかでステキ。この歌に出会った感動があるうちに桂に行かなきゃ、秋に、それも月がどうにか見えそうな時間に、と思って参観HPを見張っていたらまさにその最終時間枠に空きが出て、申し込んだら滑り込めた、というわけ。
ふふ・・・ツキがありました(死罪)。
なので見学しつつちょくちょく空を見まわしてたんですが、月が見つからず「なかなか上手くはいかないもんだ」と思っていたところ、見学終了間際に月発見!

見学はややアレな面もありつつ、とりあえずこれで満足となりました。
あ、その歌の中に地名はありませんが、詞書に
八月ばかりに桂といふ所にまかりて月いと明き夜まかりて、水の面に清うて影見え侍りたりし、同じ人に
と詞書のある歌に続けて
まかり帰り見侍りし人の許に遣はしし
としてこの歌がきているそうで(塚本本から、すみません、原典見てない)、この月は桂の月。「月の桂」です。平安時代から月の名所だったという事で。
清原元輔は清少納言の父親ですね。ちなみに「王朝・・・」に載っているのは元輔の私家集「元輔集」のヴァージョンで、勅撰集では「玉葉和歌集」の方に 「思ひいづや人めなかりし山里の月と水との秋のおもかげ」 という別版で採られているらしい。
「夕暮」と「おもかげ」なら「おもかげ」の方が言葉としては趣きがある気がしますが、逆にそこが強くなって折角の「月と水との」が生きない感じ。
あと、もともと郊外デート(の思い出)の歌なわけですが、「人目無かりし山里」はその人目を気にしてる感じが、さすがにちょっと連れ出した感、連れ込んだ感が強くて(笑)。「元輔集」版の方はそこを抑え目に、冴えた月明かりと秋風の涼しさが感じられるのが良いように思います。
・・・ま、つまるところ私が塚本邦雄の本で先にそっちに出会ったから、そう思うんでしょうけども。
・・・ま、つまるところ私が塚本邦雄の本で先にそっちに出会ったから、そう思うんでしょうけども。

というわけで桂離宮拝観終了。また来たいですね。でもなんらか建築内部の特別拝観の機会はあるんでしょうかね?そういうスペシャル企画があれば、ぜひ参加してみたいところですが・・・

桂垣。生きた竹を折り曲げて垣根にしちゃうって結構なんだか凄い。
次第に暮れてくる中、月を見ながら桂大橋を行ったり来たり、桂離宮側の「中村軒」で一休み。

お茶屋見学のあと、お茶屋で頂く名物「麦代餅(むぎてもち)」c/wお薄、美味しゅうございました。さらにちょうど始まったばかりの「栗赤飯」の文字を見つけ・・・追加オーダー。季節の味も摂取して、更に満足。
・・・全然あっさりしてないwww
しかもあと一日休暇を取ったのでまだ続きます。ちょっとしつこいがご容赦あるべし。
