先月のリリース。タワーのMAK再発、前回の「ロザリオのソナタ」に続いて今回も、ビーバーをメインにしたドイツ・バロック箱。当初は未CD化音源を1タイトルづつ出してる感じでしたが、箱ものが多くなってきました。しかしこれはグレートですね。
 
イメージ 1
 
【CD1】 音楽の戯れ―ビーバー、シュメルツァー、ヴァルターの作品
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー:4声のバレット《フェンシング指南》ト長調 /
ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー
◆6声のソナタ《農民の教会行き》変ロ長調 ◆6声の《心地よいソナタ》ニ長調 ◆6声のソナタ《鐘楼》ト長調 
◆10声の《バッタリア(戦い)》ニ長調 ◆5声のセレナータ《夜警》ハ長調 ◆ソナタ《ラ・パストレルラ》イ長調
 / ◆J.H.シュメルツァー:《ポーランド風のバグパイプ》ト長調 /
ヨハン・ヤーコプ・ヴァルター:ソナタ《カッコウの模倣》ト長調
 
【CD2】 ビーバー:響きの食卓 - 描写的なソナタ
H.I.F.ビーバー
:◆響きの食卓、あるいは器楽音楽 [ ParsI D-dur / ParsII F-dur / ParsIII a-moll] /
 ◆描写的なヴァイオリン・ソナタ イ長調 /◆響きの食卓~ [ ParsIV B-dur / ParsV E-dur / ParsVI g-moll]
 
【CD3】 ビーバー:ザルツブルク大聖堂ミサ曲
H.I.F.ビーバー
:◆ザルツブルク大聖堂ミサ曲 ◆モテット《太鼓を打ち鳴らせ》
◆ソナタ《聖ポリカルピ》 ◆《教会あるいは宮廷用ソナタ》[SonataV / SonataXII]
◆バルトロメウス・リードル:《長く美しい行列》/◆パーテル・イグナツィウス・アウグスティヌス:《美しい行列》
 
【CD4】 食卓のための音楽―ビーバー、ヴァレンティーニ、シュメルツァー、ペーツェルの作品
H.I.F.ビーバー:「教会あるいは宮廷用ソナタ」1676年の付録作品から) [No.1, 5, 6, 10, 3, 8, 4, 11, 2, 7]
ジョヴァンニ・ヴァレンティーニ:食卓のためのソナタ ハ長調 ◆アントニオ・ベルターリ:ソナテッラ ト長調  J.H.シュメルツァー:◆2つの合奏のためのソナタ ト長調 ◆教会および宮廷のためのソナタ ト長調
◆ソナタ ト長調 ◆食卓にそえるソナタ ト長調
作曲者不祥:6声のソナタ ハ長調 ◆ヨハン・クリストフ・ペーツェル:ソナタ ニ長調
H.I.F.ビーバー:食卓のための10声のソナタ ハ長調
 
CD5&6】 ビーバー:技巧的で楽しい合奏音楽 - 調律のさまざまな様式
[Partia I in D minor / Partia II in B minor / Partia III in A major / Partia IV in E flat major /
 Partia V in G minor / Partia VI in D major / Partia VII in C minor]
 
【演奏】
ムジカ・アンティクヮ・ケルン/ラインハルト・ゲーベル
(ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ/ポール・マクリーシュ、フランドル・リコーダー・クヮルテット [CD4])
 
 
ドイツ・バロックを得意にしてきたMAK、活動の柱はJ.S.バッハ、G.P.テレマン、ビーバー、あとドレスデンのミュージックシーン(ハイニヒェン、ハッセ、ヴェラチーニ等)みたいなものもテーマとして何度か取り上げてましたね。バッハは室内楽箱が出たし、ビーバーも前回の「ロザリオのソナタ」と合わせてこれでまとまったし、あとはテレマン箱?それは素晴らしいけど、MAKのテレマンは現役盤が多いかな?ドレスデン関係は・・・輸入で箱もの出てましたっけ?
昨年のフランスもの箱(ル・パルナッス・フランセ Vol.1 & 2)も含め、こういう風にアーティストの活動を大きく括ってくれる箱モノはいいですねえ。
しかし、こうしてみるとMAK再発もだいぶ出揃って・・・逆にMAK大全集に近付いてきてしまってるのが、新たな希望と悩みですな(笑)。鹿島茂さんが、コレクション同士が共鳴して新たなコーパスを開こうとする、コレクションに内在する「意思」、なんてことを書いておられましたが、なんかそれに近いものを感じ・・・
 
 
1. SCHERZI MUSICALI
録音順としては2の方が早いところ、こちらを1枚目に持ってきたのは、タワー再発企画者の意図として、「奇想の箱」ってところを強調したいってことですね。ジャケットもこれを使いたかった、と(解説)。
冒頭にシュメルツァー「フェンシング指南」が入ってるあたり、アーノンクール=CMWの「バロック期の標題音楽」(これもタワー再発された)を思い出させる、というか、17~8世紀、イタリア&ドイツという広いセレクションだったアーノンクール盤を出発点に、17世紀ドイツに絞って奇想系を掘り込んだ感じですかね。
 
2. Mensa Sonora
メンザっていうと、テーブルというより学食のイメージなんですが(笑)。いつものシャープな緊張感を緩めて、弓の弾力を使って「うわんっ」と弾ききる陽気な響きが中期ドイツの「田舎のバロック」風味で楽しい。
 イメージ 2
録音はこのディスクが一番古くて、この中では比較的落ち着いた演奏。この3年後の「ロザリオ」になると、音の出し方からかなりアグレッシヴになり・・・徐々にMAKから離れ気味になりました・・・。
 
3. ザルツブルク大聖堂ミサ曲
昔、ベネヴォリ作曲といわれていた曲。これがビーバー作と考えられるようになり・・・忘却の危機に瀕するベネヴォリさん(^^; 
イメージ 3
これはマクリーシュ=ガブリエリ・コンソートとゲーベル=MAKのコラボ演奏。52声の中にはめ込まれて、さすがにMAKが個性を主張する余地はあまり無い感じ。
 
4. SONATA PRO TABULA
ラッパとかも使いつつ宴会感出してる食卓音楽。弦チームは弓圧でガット弦をガリガリ鳴らして粗野な雰囲気を狙ってる感じ。ビーバーの2声のソナタを仕切り板に使って。
イメージ 4
そんな盛大な感じの響きのなか、澄んで軽やかなシュメルツァーの7声のソナタが楽しい&懐かしい。リコーダーコンソートの定番バロック名曲ですよね。
 
5-6. Harmonia artificiosa-ariosa: diversi mode accordata
「Harmonia artificiosa-ariosa」がなんで邦題「技巧的で“楽しい”」になったのかは全くの謎である(笑)。
ちなみに ar-tific-iosa と ar-iosa が言葉遊びになっている、ていうのが面白い。
イメージ 5
で、こちらがMAKのラストビーバー録音。スコルダトゥーラ(変則調弦)多用の作品集。「食卓のため~」と共通の強めの音作りがありつつ、それが粗野に響かずシリアスさの表現になり得ているのはさすが。やっぱお食事用とは違うんだ(笑)。本人解説の「青年時代以来、繰り返し心を引きつけてきたこの作品に私は何度も立ち戻った・・・(中略)・・・この年にこの録音を世に送り出すことができたのは、私にとって名誉であるとともに、義務でもあった」なんて堅苦しい熱さ(=暑苦しさ)がGさんらしい。
とはいえ、昔みたいなぶっ叩きも刺激の強いアタックもない至極まっとうな音楽で、これが出た時は「MAKも大人の音楽になったもんだ」とは思ったもんですが・・・まだ解散するとは思ってなかったなあ。来日の話もあったんじゃなかったか…。
 
うぬ?うぬぬ?長い?あ、CDの文字データが多いのか。じゃここでいったん切ります。
さらに中身の無いぐだぐだ話につづく。