ようやくネットが繋がりました。で一発目の記事は・・・いきなり岐阜(爆)。
しかしこれは・・・行かないわけにもいかないでしょ、「へうげもの」数寄としては。
実際ですね、いやすごく遠かったんですが(笑)、新幹線代出しても行った価値ありました。すんごいラインナップでした。
展示リストを見ると、後期展示は焼き物が若干手薄になってる感がありますが・・・「へうげもの」ファン、および桃山茶陶に関心ある皆様、これは要検討、です。多治見。会期末が今週末ですけどね(^^;
10/26(日)まで。
岐阜県多治見市・岐阜県現代陶芸美術館 ~10/26(日)
こちらの駄ログでもおなじみ(ていうか、その話ばっかりですw)古田織部の四〇〇年忌にあたり、豊富な史料からその生涯をたどるとともに、織部焼をはじめとする美濃焼、および同時代の諸窯のやきものを一堂に紹介し、激動の時代を生きた「謎多き“へうげもの”」古田織部の実像に迫る展覧会。
あ、そうか、没後ジャスト400周年は来年2015年だけど、「年忌」「回忌」って数え年方式だから今年なのねとか、私なんかはまずはそのレベルの気付きから始まるわけですが(^^;

古田織部座像(19C)
えらくほのぼのしたお顔立ち。後世の作のようですが。
構成的には、第一部「古田織部・考」、第二部「織部と同時代のやきもの」の二部構成。書状などの史料系は前半の方に集まってますが、やきものの方は、展示リストとけっこう入り繰りのある並びになっていて、章立てよりは志野とか瀬戸黒とか青織部とかのおおよその種別でまとめている感じ。
なにしろ、入って最初の部屋の顔ぶれが、重文「油滴天目」、古井戸茶碗「老僧」、「本手利休斗々屋茶碗」、御所丸茶碗「古田高麗」、萩茶碗「是界坊」、光悦黒楽茶碗「時雨」、それに五島美術館の必殺の伊賀水指「破袋」、といきなりグレートな並びでテンション上がりました。「時雨」を除いてすべて織部に直接の関わりのあるうつわたち。「時雨」は本阿弥光悦が織部の茶の湯の弟子だったことによるご出演。
(すみません、「老僧」、「利休斗々屋」、「是界坊」、「破袋」は9月いっぱいで展示終了となってますデス・・・)
この内、初見なのは「利休斗々屋」、「古田高麗」、「是界坊」の三つ。
「本手利休斗々屋茶碗」見事な枇杷色。凄く薄造り。これは利休―織部―遠州の師弟3代所持の重要作。あれ?これって銀座松屋の小堀遠州展で見たっけかな?
「古田高麗」。「眼の力」に載ってるやつですね。マンガだと16巻。「御所丸茶碗」は畠山にも三井記念にも静嘉堂にもありますが、織部と直接結びつく伝来を持っているのは個人蔵のコレ。インパクトある造形・・・腰のヘラ目が太めのお腹を帯で締めてるみたい(笑)。高台の形がまたすごいんですよね(写真パネルですが)。
「是界坊」は・・・18巻冒頭で出てきたやつか。萩といっても織部様式となると穏やかじゃないです。
資料系がまた素晴らしくて、まずはなんといっても「宗湛日記」の実物が見れたのが、感動。
「ウス茶ノ時ハセト茶碗。ヒツミ候也。 ヘウケモノ 也。」です。まさにこのページが開いてあります(いや、この展覧会で他のページ開いてたら怒りますがw)。
「へうげもの」のタイトルの由来ですな。字ちっちゃい。
「消息 二月十四日付 松井康之宛 千利休筆」利休切腹直前、護送される利休を織部と細川忠興の二人だけが見送りに来たことに驚いた旨を、細川家重臣の松井康之に書き送ったもの。名場面ですわね。「へうげ」では利休の切腹へと向かう緊張感の中で、意外やさらりと描いてました。
利休書状としても、「「末期の文」と「遺偈」を除けば、利休の絶筆といえる」(桑田忠親「古田織部の茶道」)との事で貴重。実物を見たのは初めて。利休の書状としては割と綺麗な字という気が(超無礼)
「消息 十一月二十二日付 島津義弘宛 古田織部筆」はちょうど前回の連載がその場面で、織部が弟子の上田宗箇を使いにして薩摩焼の茶入製作を指導した時の書状。上田君のことボロカスに書いててウケるw
これは2011年の松屋銀座「上田宗箇展」の時に出ていたものの、自分が行った時はすでに展示終了でパネルだけ見た記憶がある。笑った笑った。
これは2011年の松屋銀座「上田宗箇展」の時に出ていたものの、自分が行った時はすでに展示終了でパネルだけ見た記憶がある。笑った笑った。
こちら、織部が自ら「好み」を示した文書としても重要。
「消息 五月二十六日付 進藤修理宛 古田織部筆」は、織部が近衛信尹に病気見舞いがてら連歌の添削を依頼した書状(家司の進藤修理気付で)。近衛信尹との関係も「へうげ」ではけっこうみっちり描かれてます。
通常「織部正」(長官)と考えられている古織公が「織部助」(次官)と署名しているのが気になるポイント。(「上田宗箇展」の時にも似たような話が出てた気が。)ほんとは「助」だったのか?それとも関白殿相手にへりくだっての表現か?
・・・個人的な読みとしては、正式な叙任は次官(介)なんだけど、武士社会の中では「~守」と名乗る、なんて戦国時代ならありそう、という気がする。この手紙の場合は、相手が貴族(それも最高ランク)の近衛公ということで、正式な官職を書いた、みたいな。
ちなみに漫画の中では、秀吉の死去に際して織部が隠居し、その際に「助」となった、という事になってました。
(上記3点はともに展示終了。後期は東博の利休書状、いわゆる「武蔵鐙の文」が出ているもよう。織部書状も新たに出替わります)
黒織部茶碗
去年の三井記念「国宝「卯花墻」と桃山の名陶」にも出ていたあれ。黒織部は後の方でまとまってますが、これは例の「古織公の花押入り」ということで(?)、資料類と同じコーナーに。
んが・・・またしても見込み上向きの普通の置き方で、腰の下面にある花押はひざまずいて見上げてどうにか見える程度(そうして見てるのは、かなりイタい光景になります^^;)。茶碗は普通に置くべき、ていう「常識」は分かるんですけどね・・・。
なにしろこの花押の存在は、古田織部と「織部焼」を直接的に結び付ける貴重かつ希少なポイントであるだけに、いっぺん高台上向きの展示でしっかり拝見してみたいもんです。
去年の三井記念「国宝「卯花墻」と桃山の名陶」にも出ていたあれ。黒織部は後の方でまとまってますが、これは例の「古織公の花押入り」ということで(?)、資料類と同じコーナーに。
んが・・・またしても見込み上向きの普通の置き方で、腰の下面にある花押はひざまずいて見上げてどうにか見える程度(そうして見てるのは、かなりイタい光景になります^^;)。茶碗は普通に置くべき、ていう「常識」は分かるんですけどね・・・。
なにしろこの花押の存在は、古田織部と「織部焼」を直接的に結び付ける貴重かつ希少なポイントであるだけに、いっぺん高台上向きの展示でしっかり拝見してみたいもんです。
さて、史料&竹花入、釜などの部屋を抜けるとそこにあるのは
唐物肩衝茶入「勢高」織部愛蔵の茶入として特に有名なもの、そして「へうげ」前半で特に印象的なアイテムの一つ。
ま・・・元織田信長の下にあったものが本能寺の変を経て織部の所有になったというのは事実のようですが、漫画では秀吉が本能寺に忍び込んで(!)名物を持ち出そうとして(~あれこれ中略~)織部が無事お助けwした、という事になっているところ、実際には本能寺で罹災して破損したようですね。漆で直してある、と。
名前からすると、びっくりするほど背が高くはないが・・・初花とかと比べると確かにスリムではあります。
織部茶入「餓鬼腹」
ひさびさ見た。出光の2007年「志野と織部」展以来。あの時は「なんじゃこりゃあ」だったが。
・・・いや、今見ても「なんじゃこりゃ」でしたw 織部様式の茶入って・・・。
黄瀬戸茶碗「難波」
これも07年以来か。黄瀬戸のNo.1茶碗。素晴らしい。いったん絞ってから口縁で端反りに大きく開くかっこいいフォルム、鮮烈な胆礬。個人的には今回いちばんテンション↑↑上がったのはこれだったかも。
志野茶碗「広沢」こちらは昨年三井記念で見たから1年ぶり。ほかの志野茶碗と見比べると端正さが際立つ。とはいっても、結構動きのある造形なんですよね。右側から見ると左に、左側から見ると右側に傾いでいるように見える、でも正面から見るとほぼ直立に見える。不思議です。
志野茶碗はほかに、「振袖」は東博でおなじみ。「朝日影」は初見。例の大暴れ「羽衣」を若干おとなしくした感じ。それに「練込志野」が2つ、ともに銘が「猛虎」。確かに練り込みだからシマになりやすいんだろうが(笑)。あと展示場所が違うが鼠志野檜垣文茶碗「さざ浪」。
あ、鼠志野は重文のヤツがどちらも出てないですね・・・。鼠志野好きとしては、ちと寂しい。志野はほかに筍絵茶碗「玉川」も。
さらに次の部屋は瀬戸黒・織部黒・黒織部の茶碗がずらり。これまた壮観。
瀬戸黒は名品「小原女」、黒織部は例の必殺「菊文茶碗」、さらに重文「冬枯」や、五島の「わらや」なんかも出てますが、まずは底光りする黒茶碗がこれだけ並んでいることが壮観。瀬戸黒との違いが実に微妙な「織部黒」が入って絵のある「黒織部」へと連続していく感じが面白い。
黒織部茶碗「冬枯」(重文)
中でも・・・「へうげ」17巻に登場しているこちら、絵付けが凄いですね。ぱっと見は造形的に割と大人しいんで「やっぱ筒型の方が評価が上がりやすいのかなあ」なんて思ったりしたんですが、よくよく見ると、絵付けがsugeee。やっぱ重文。十分。
そのほか。茶碗の話が続いてるので、先にそっちの件で。大名品を独立ケースで見せつつ、志野とか織部とか、概ね種類別で展示されている中、種別を超えた共通点で括る展示が面白かった。
釘彫伊羅保茶碗「苔清水」
ここからの、御本茶碗「茂三」~萩割高台茶碗「立田」(だったかな)の流れが面白い。伊羅保の激しい釘彫りがだんだん「模様」になっていく。「苔清水」は五島の持ち物だから何度も見てるはずですが、あらためて釘彫り凄い。これも一度高台側から見てみたい。
御所丸茶碗~黒織部茶碗「わらや」
形が似ているという事で並べて展示されていた2点。言われてみれば確かに共通の造形感覚があり。はっきりと書いてはないけど、発注者(好み)が同一だから、と言いたげな。御所丸は静嘉堂文庫のもの、「わらや」は五島でお馴染み。
黒織部茶碗「わらや」
織部茶碗もなんとなく筒型の方が珍重されてる感がありますが、こういう平茶碗タイプの方が典型的織部でしょう。中でも「わらや」は素晴らしいすね。
織部茶碗「山路」
いわゆる鳴海織部なんですけど、赤い土に直接緑釉掛けてるんですよね。色味的にインパクト絶大。微妙に混乱したのは、瀬戸黒茶碗にも「山路」銘のヤツがあったからか。
萩割高台茶碗
畠山記念館の十文字割高台茶碗を思い出す。そういえば、今回あれ出てないですね。
絵唐津菖蒲文茶碗(重文)大織部展でこれを見れると思わなかった。絵付け最高。釉も良い。やっぱ名品ですよねえ。
で・・・ん、長いですね。ここでいったん切ります(もう今週末で終了なのに(^^;)。
去年の三井記念「国宝「卯花墻」と桃山の名陶」も久々に桃山茶陶を堪能したと思いましたが、今回はそれを更に上回る感じ。なにしろ今回のは古田織部そのものを軸にしてますから、漫画から入った組としてはもれなく興味にジャストフィットしてるわけで。
10/1から始まった後期展示では、上記の名品のけっこう多くが下げられてしまっているのが残念なんですが、それでも(特に漫画組には)相当ホットだと思います(前期スタート直後の「卯花墻」と利休茶杓「泪」が出てた時はさぞかし熱かったでしょうねえ)。
後期からの物件としては、上記の利休書状「武蔵鐙の文」のほか、利休作の竹一重切花入「園城寺」あたりが目玉ですかね。「小田原城攻囲作戦セット」ですね(笑)。
もちろん出替わる織部書状なんかも注目。
ま、会期末の今週土日に向けてはけっこう混むとは思うんですが、それでも「3万人突破」とか、そのくらいですからね。20万、30万とかザラの東京民には軽いですよ(^^; 問題はあくまで交通費(笑)。
