いよいよ大阪の陣開戦、の21巻。
 
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家康の目指す「泰平」とは徳川家の安泰に過ぎぬ。世紀の誤審・方広寺鐘銘事件に天を仰ぐ織部。
大坂冬の陣突入にも最終兵器であくなき抵抗。武か数奇か、生か死か、それが問題にて候。(講談社HP)
とのこと。
 
(以下思いっきりネタバレ注意)
連載の方を追っていると、掲載が隔週の上に時々休載が入ってやや歩みの遅さを感じたりもしてたんですが、こうやって単行本になってみると結構ドドッと話が動き出したのを感じますね。風雲急を告げる緊迫感充満の一巻となってます。
 
大きな流れとしては、方広寺鐘銘事件→片桐且元と大蔵卿局の分断→開戦へ、という大河ドラマでおなじみの展開で、そこに「数寄」はほとんど関わってない、せいぜい「粋か野暮か」「反骨」(本作ではこれらを称して「かぶき」としてます)程度なのが・・・今までとはちょっと違う感じ。織部の数寄も肝心なところにヒットしてない感じなんですよね。
大蔵卿局。なぜ越路風味(^^;・・・?
 
織部個人のエピソードでいうと、方広寺鐘銘の清韓禅師を政治問題の真っ最中に茶に招いたこと、あと、冬の陣開戦後、佐竹の陣所に見舞いに行った際に竹に気をとられてるところを狙撃された件の二つは知られた話。どっちもヤバいですねえ。
史料的には狙撃したのは大坂城中からということになっているのが、やはりというか、味方に狙われた話になってましたね。史料では織部のはげ頭が光ったところを狙われたとなっているのを、頭の輝き(ビームみたいなw)のおかげで狙いが逸れたとなったのが意外といえば意外(笑)。 
こういう織部の有名なエピソードはこれでほぼ出尽くしましたかね。
 
やっぱり問題は・・・これから史料どおり織部が内通・反逆を企てる流れになっていくのか、それとも無実の罪を着せられる流れになるのか、てところでしょうかね・・・。プロセスに「へうげ」らしい超展開はあっても、結果自体は史実に従うことになるんでしょう。
 
 
さて、お道具方面では遂に伊賀焼が至高の高みに。きましたねー、「破れ袋」!
「破れ袋」というと今は五島美術館所蔵のが有名ですけど、もともとは現在個人所有になっている水指に着いた銘で、五島のはそれと同様の割れがあるから、というので近年こっちも「破れ袋」と呼ばれるようになった、てことでしたよね。マンガでも両方並べて登場。
 
おなじみ、五島美術館の「破袋」(重文)
 
五島所蔵作の方は、なんといっても織部絶賛の添え状が付いていたというのが凄くて、関東大震災で焼失したのがなんとしても惜しまれるんですが、江戸初期最大のティーマスターがこういう上がりのものを本気で愛していたという事実を今に伝える名品。
 
あと、初登場は前巻20服でしたけど、伊賀花入「業平」(現在 三井記念美術館所蔵)と思しい花入が伏線回収的に見せ場を作ってました。
 
お道具案件は・・・そんなところかな?20服に比べると寂しいんですが、「数寄」が圧殺されていく様が場面数としても表現されている感じ。
 
 
そんな・・・激しくかつ重苦しい展開の中、炸裂の大爆笑場面がありましたですね。例の、“茶界の王”の。
あれね、連載の時コンビニで思いっきり吹きましたですよ。さらにその後、会社でもついつい思い出し笑いが出ちゃってですね、ほんと、どーしてくれる(苦笑)。
まさかね、柳生に剣で勝つとは思いませんでしたね(大笑)。でもまあ、「ただの茶人が柳生に勝っちゃうなんて」と読んでいてテンションの下がる荒唐無稽さではなくて、読んでいるこっちも柳生と共に呆気にとられちゃう超・荒唐無稽だから納得できるというか。こっちも柳生と共に斬られてるわけですね。
 
 
さてさて、「大河ドラマ的」という点では、本巻の後も連載の方では順調に (T△T) 大河ドラマ的展開をこなしていて、ま、連載ペースを考えるともう暫くは楽しませてもらえるのかと思いますが、もう結末を見据えながらの展開。いま一度、織部の数寄が炸裂する様を見たいなあ。