細い足ですいすいと小石を蹴りながら走った。人魚の水浴びが終わる頃までにどうにか家に帰って、季節の果物を人魚に食べさせてやりたかった。籠に溢れるばかりに果物やら野菜やらを詰め込んで、わしは小屋に帰った。
「おや」 湖を見つめ、わしははっとして、小屋の中を見た。
「しまった」 しぼんでしまいそうな目をこれでもかというくらいまでに開き、しばらくの間うろうろし、そして人魚が誰かにさらわれたことを認知した。ぎゃーと叫び声を出して、わしは怒り狂った。そして、さっき通ってきたばかりの小石道を勢いよく走り出し、市場まで走った。小石の周りに隠れている草に、弱った皮膚はやられ、かゆみが襲いかかる。しかし、そんなことを気にしていられない。あんなにかわいがっていた人魚が誰かにさらされるなんてなんて不運なことなのか。わしは村一番の誠実者、靴屋のセリヌンティウスの店に飛び込んだ。
「どうしたことか」 セリヌンティウスの言葉も聞かないうちに、人魚が誰かにさらわれたことを話した。
「あの好色男のしわざであろう」セリヌンティウスはそう言った。
「好色男とは誰のことだ」金切り声を上げて、セリヌンティウスの腕を掴んだ。
「奴は、村の若い女に手を出してもてあそんでいる。奴が人魚をさらったに間違いない、なんてかわいそう
なことだ・・・。」
その言葉を聞いた途端にわしの怒りは頂点にのぼりつめた。わしはセリヌンティウスの話も聞かぬまま、急に店を飛び出し、まちの外れの店で武器を手に入れ歩き出した。
担当:なつみ