『スポーツ障害ですね。』と、整骨院の先生は言った。

10日間前くらいから、ずっと左足のふくらはぎのほぼ中央部分にピンポン球のようなものがあるような感じがしていて、
歩く度に上下に動いて痛みが走り、ずっとつっているような鈍痛がしていた。
それでもジョギングは続けられていたし、ストレッチもマッサージも痛い、痛いと感じずついつものより多めに施していた、つもりだった。
それでも一向に良くならず、その症状は程度としては半分くらいだが右にも出てきた。
ジムのトレーナーに話すと、すぐ目の前の整骨院へ行けと言われた。
リハビリ治療もマッサージ治療も併設されているからと。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』-オレンジ治療院

そして、私のふくらはぎは先生の前に晒され、ほぅと小さなため息をつかれながら、ぐりぐりとピンポン球を確認される。
その痛いことと言ったら小汗をかくほどなのだが、先生は冷静にかつ静かに言う。
『これは、肉離れまではいたらなかった傷ついた筋肉が、完全に修復される前にまた傷ついて修復されて、
 ということを繰り返された結果、固結という筋肉の塊ができている状態です。
 筋肉は伸縮する動きをしている訳ですが、ここは伸縮できず、上下の動きに引っ張られるだけの状態なのです。
 だからこの塊を柔軟な筋肉に戻してあげなくてはいけないのです。
 それには、マッサージとストレッチをしながら、使用を控える、ということです。』
まずは、と、微量の電流を流しながら、先生の話しは続く。
『・・・とはいえ、ジョギングをやめなさいというのは無理ということも理解しています。
 人の習慣というのは、なかなか変えられないですし、ここで一端休んでしまって再開したときはその遅れを取り戻そうと、
 以前より過度な運動をしてしまいがちだからです。
 なので、私はここで使わない方が望ましいというたくさんの情報をROMAKOさんに与えます。
 それによって、ちょっと控えようという気持ちをROMAKOさん自身に芽生えさせ、
 無意識にジョギングのスピードを落とす、距離を短くすることを植え付けることをします。』
そして、笑いながら言う。
『スポーツというのは、正しくすれば結果が必ずついてきます。そしてふくらはぎだけしかわかりませんが、とてもいい筋肉を作っています。
 日々結果が出た状態を保とうとするのは素晴らしいことですし、この意志の強さはきっと他の部分でも活かされていると思います。 
 ですが、のめり込み過ぎ追求のし過ぎでオーバーワーク状態だと、筋肉はしなやかではなくなってしまいますし、
 やめられないという気持ちは依存症へと発展する可能性を持っているということを認識してください。
 トレーニングメニューをきちんと考えて実行するというのも、賢さのひとつですよ。』
人の身体を理解している先生は、心理まで司る。
時間がある限りトレーニングをしたいという私の心は見透かされ、その必要性を根本から見直せと言われた。
ジムのトレーナーも、私の尊敬するスポーツの権威も私に同様のことを言ってくれているのを思い出しつつ、
ジョギングと筋トレのバランスを考えなくては・・・と、思った時に口をついたのは、最大の疑問であり、一度も手に入れられていないことだった。
私は聞いた。
“先生、このピンポン球がなくなって柔らかいふくらはぎになったら、私のふくらはぎは細くなりますか?”
あっけにとられる先生、ひきつりながら『え?えぇ。た、多少ですけど…なります。』と答えてくれた。
“先生、3センチくらい細くなりますか?”と前のめりに聞く私に、『3ミリ程度以下です。』と先生はそっけなく、
私の口封じにぐりぐりとピンポン球をほぐして私を泣かす。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』-ふくらはぎ

それでも心をすっかり見透かされた私は、先生にふくらはぎの太さと形にどれだけコンプレックスを抱えているか話している、
馬鹿まるだしだったと後から恥ずかしくなった。

私の大好きな友人たちは、外見的なコンプレックスをぐずぐず話すと笑ってこう言ってくれる。
『ROMAちゃんの顔が大きいって言う人や、ふくらはぎが太いっていう人には、オーラが強くてそう見えちゃうのと、言っておやり。』
友人たちが実際使う、この“オーラが強くてそう見えちゃう”フレーズを、私も使えるようになりたい。