イタリア好きのアラ還、七美伶奈です。

今回は、かなり前になりますが、2002年に訪れたアルベロベッロをご紹介したいと思います。

この年は欲張って、2回目のシチリア島のタオルミーナ、ローマ、バーリ、アルベロベッロ、ミラノと巡り、初めて訪ねた町がアルベロベッロでした。

アルベロベッロは、よく写真で目にする世界遺産に登録されている「トゥルッリ」と呼ばれるとんがり屋根の家が1600軒も立ち並ぶ可愛らしい町です。



いつも個人旅行なので、交通手段は事前に念入りに調べて計画していましたが、この時は想定外の事態が起こり思いがけない経験をしました。

シチリア島からの飛行機がトラブルで3時間も遅れてバーリ空港に到着したのです。

バーリ駅からアルベロベッロ駅までは列車で2時間程度なので、当初の予定では夕方5時前には到着する予定でした。

しかし、夕方5時を過ぎて、やっとバーリ駅を出発する列車に乗ることなりました。
しかもその列車は途中駅止まりで、アルベッロベロへはそこからバスに乗り換えて向かうしか手段がないとのアナウンス。

列車に2時間近く乗った後、見知らぬ駅で強制的に降ろされて、バス乗り場へと向かいました。
辺りは民家一つない草村のど田舎で、電柱1本もなく真っ暗で、無事にアルベッロベロまで辿り着けるのかとても不安でした。
バスは1時間程暗闇の中をひたすら走り、なんとかアルベッロベロ駅前に到着しました。

まず驚いたのは、駅前と言っても周辺には本当に何もなく、既に駅舎自体も閉まっていたことです。

ホテルを運営しているオフィスは、夜8時までしか開いていないと言われていたので、楽しみにしていたトゥルッリにはもう宿泊出来ない事は確実となり途方に暮れました。

当然タクシーもなく、お店もなく、案内所もなく、とにかく人がいなくて、真っ暗な駅の前で、ただ茫然と立ち尽くすしかありませんでした。

唯一の救いは、夏だったので外は暑く、駅から離れたどこかで夏祭りらしきものをやっているような雰囲気が感じられたことでした。

そんな駅前で、大きなスーツケースを抱えて、これからどうしようかと立ち尽くしていた私達に、突然天使が舞い降りたのです!

どこからともなくやって来た1人の学生らしき10代の女性が話しかけてきてくれたのです。

彼女は、おそらく同じバスに乗っていた地元の方のようで、家に帰ったのに私達の事が心配になったようで、わざわざ駅に戻ってきてくれたようでした。

英語は通じなかったのですが、私はとにかく必死で知っているイタリア語と英語を混ぜて一生懸命事情を説明して助けを求めました。

すると、彼女はわざわざ家に戻って、車に乗ってやって来てくれました。

重たいスーツケースを車にのせて、まずは予約していたトゥルッリのホテルのオフィスへと向かってくれたのです。

しかし、案の定オフィスは既に閉まっていて、電話も架けましたが不通でした。

仕方なく、再び車に戻って町中を走ってもらい、車窓から見つけたホテルで、たまたま1部屋空きがあり、宿を確保する事が出来ました。

もう、彼女の優しさに感激し、なんとお礼を言ったらいいかわからない程、感謝の気持ちでいっぱいでした。

本当に全く見ず知らずの外国人観光客を、こんなにも親身に助けてくれるなんて本当に感動しました。

別れ際に住所を教えてもらい、帰国後に一生懸命イタリア語でお礼の手紙を書かせていただきました。本当にこれは一生忘れられない思い出です。

残念ながら、予約していたトゥルッリには泊まれませんでしたが、翌朝、ホテルのオフィスを訪ねて事情を説明したところ、準備していたトゥルッリのお部屋を見せてくれました。


小さな石を積み上げて建てられているトゥルッリの構造はこのようになっています。

やはり夏祭り中だったようで、翌朝、高校生のバンド集団が町中で演奏をしていました。


小さな町ですが、沢山の可愛い土産物屋さんやカフェ、レストランがあって散策が楽しくて時が経つのを忘れてしまいます。







こちらは、建物の屋上にトゥルッリがあって、レストランのようでした。


とんがり屋根には月やハート等の様々なマークのようなものが描かれていますが、それは「家族を悪魔から守る魔除け」だったり、「豊作を願うお守り」と言われています。


数ある雑貨屋さんの中には、手刺繍や機織りのお店が沢山ありました。
店主は、このように店先で刺繍をしています。


この時に購入した我が家のテーブルセンターは、もう20年も経ちますが今でも大切に愛用しています。


また、実物と同じ素材を使ってトゥルッリのミニチュアを手作りしている工房を見つけたので、こちらもお待ち帰りしました。