すぐるです。
今日は大学の学部の授業にて、ほぼほぼ90分まるまる性的マイノリティ諸々について話す機会をもらいました。
貴重な経験でした。教育実習の精錬授業くらいには緊張したのか、口の中がパッサパサでした(*_*)
ツイッターに書こうとも思ったのだけれど、少々長い所感になるので、せっかくなのでブログに書いてみます。
その大学の学部の授業は、僕がTAをさせてもらっているジェンダーと教育を考える的な授業です。先週は教授がアメリカの同性婚の話題をトピックとして扱っていおりました。それを受け、今日の授業では自分が日本の性的マイノリティの概説ということで、性の多様性やら性的マイノリティの子どもたちやら、いろんなトピックを話すことになったのです。
教授がわざわざ自分に話す機会をくださった経緯はここでは省略しますが、僕が話をするからにはいわゆるカミングアウト型講義をしようじゃないかと思ったわけです。授業途中でカミングアウトして学生をびっくりさせるやつです。
結局カミングアウト型の講義をやりましたが、これまで何回もカミングアウトした上で自分のことを話す機会を戴いているにもかかわらず、学部時代の後輩君もいたりしてなかなか緊張させられる90分間でした。
さて、改めて「集団の前でカミングアウトをする」という体験を経て感じたところを述べますと・・・
し、しんどかった。。。
何がしんどいって、まずはほぼほぼ90分、ビデオ鑑賞やら意見聞いたりやらしつつも、ひたすら話し続けていたという体力面でのしんどさ笑
いやー辛かった。大学の先生ってすごいです。
だけど、それよりもじわじわとしんどかったのが、「集団の前でカミングアウトをする」っていう行為と改めて向き合って考えさせられたっていうことです。
考え出すときりがない。カミングアウトする必要があるのか・ないのか、どうやってカミングアウトすればいいのか、どんな服装にすべきか(以外と気にしちゃいました)、カミングアウトしたときのみんなの反応は大丈夫だろうか、などなど。結局授業直前まで悩んだうけで、サラッとカミングアウトしつつ、そのあとライフストーリーも語るタイプのカミングアウトをすることにしました。
結果としてはそれで良かったのかなと思うのですが…
そもそも授業において、「集団の前でカミングアウトをする」という行為にはメリット・デメリットがあると思うのです。それを今日はよく考えさせられました。
以下、僕が思いつく限りのメリットとデメリットを挙げてみます。
【メリット①:ゲイ男性への偏見を払拭できる】
世間一般的には、ゲイといえばテレビで出てくるような「オネエ」というイメージも強いと考えられます。だからこそ、一つのメリットとして、「僕も実はゲイです」と言うことによってその偏見を払拭できるということが挙げられるわけです。
ゲイ当事者であり大学の教員でもあるW先生なんかも、博士論文のなかで大学授業におけるカミングアウトの目的として「ゲイ男性の語りを共感的に聞くことから、ゲイ男性への偏見を払拭するとともに差異化に発生する権力についての理解を深めること」を挙げてます。
【メリット②:身近な人の中にも当事者がいることを気付かせることができる】
自分は10月からこのクラスのTAをしており、また学部時代の後輩なんかもいたりしました。今までみて知っていた人がゲイだったということで、身近な人の中にもゲイなど性的マイノリティがいるのかも知れないと気付かせることができるわけです。
【メリット③:学生の中の当事者が励まされる】
可視化されていない性的マイノリティが、どのセクシュアリティであろうと多少なり励まされる側面がある。
苦労を共感したり、いろいろなつながりの存在を知ったり。
【メリット④:寝ていた学生が起きる】
興味のない学生にとっては退屈な授業も、カミングアウトをすることによって目を覚ましてくれるかも!!笑
こうしたメリットを考えると、そりゃあ授業内でカミングアウトはガンガンすべきかなぁと思ってしまうわけです。
けど一方で、「集団の前でカミングアウトをする」 ことにはデメリットもあると思うのです。
【デメリット①:下手すると「ゲイ代表」になっちゃう】
メリットの①と対応しています。僕がゲイでカミングアウトすることによって、「オネエ」の偏見が払拭されたとしてもオネエではない僕をステレオタイプにしたゲイができてしまう可能性があるわけです。
例えば子ども時代、僕は幸いにしてセクシュアリティをめぐる苦労をあまりしていないのですが、人によっては死にたいと思うくらい苦労していたり、あるいは僕以上に全く苦労していない人だっているわけです。苦労の質だってひとそれぞれです。それらの差異を抜きにして「ゲイはみんなすぐるさんみたいな経験をしてるんだ」と思われたら本末転倒なわけです。
なので、今日なんかは授業中何回も「僕はゲイ代表なんかじゃないですからね!!」と強調したり、NHKのドキュメンタリー番組で他の当事者とかも見せて多少は代性を薄めようとしてみたわけです。
そうした点で「集団の前でカミングアウトをする」ってのはすごく気をつけなきゃいけない責任重大行為なんだなと思いました。うー、つらい。
【デメリット②:人生の切り売り感をすごい感じちゃう】
僕がすごい今日の授業を通して感じたことです。
自分は日頃、"個々のセクシュアリティが何であろうと問題にならないような社会になるといいなあ"と思いながら暮らしているわけです。つまり、ゲイであることが問題とならないような社会で暮らせるようになりたいなぁという希望を持っているのです。
しかし「集団の前でカミングアウトをする」 っていうのは、それとは真逆の行為なわけです。自分がゲイであることを「ネタ」としてライフストーリーを話すわけですから。ゲイであることを利用して、ノンケとの差異を強調しなきゃいけない。
ゲイであることを問題にしなきゃいけないのです。
これがなんだか自分にとっては地味に辛かった。
確かにカミングアウトをした上で自分のライフストーリーを話すとみんな聞いてくれるし、メリット④で挙げたように何人かは僕がカミングアウトした後、目を覚ましてくれたりもしました。
けど、それって僕の話が面白いから聞いてくれたわけでも、目を覚ましたわけでもないのです。学部生たちは「僕がゲイだから」話を聞いてくれて、目を覚ましてくれたのです。
なんだか教師を目指す自分としては、話の中身云々ではない、セクシュアリティの部分が評価されたような気がして悔しいというか、なんというか。「僕はゲイとして生きてきた人生を切り売りすることで、学生たちの興味を引きつけてるだけじゃないか!」と。
こういう感じに、いいことも悪いこともあれこれ考えさせられましたが、「集団の前でカミングアウトをする」っていう行為と改めて向き合うことのできた1日でした(°_°)
個人情報になりうるので、コメントカードで学部生たちが書いていたコメントはここには書けないのですが、学部の後輩のコメントや、励まされた学生のコメントなんかを読んで、結局やってよかったのかなぁとは思ってます!!
それでは!
また気が向いたら書きます!!