私が体験した3つのインパクト的な出来事についてまとめておこう。以降の私の人生にとって、大きな影響を与えただろうこの3つの出来事は、かなり起こり方が似ている。
   それらは、①まず大きな地震が起こり、②その後悪い空気がばらまかれる、という構造をとる。3つ目だけはちと違うが。

   1stは95年、阪神大震災と地下鉄サリン事件である。直接的には両事件は関係ないように見えるが、実は大きな関係があるのだ。94年中にサリンの残存物質が上九一色教団本部の敷地内で見つかった事で教団が警察に目をつけられた。だが1/17に阪神大震災が起こり、やられるはずだった大規模な捜査は延期となった。更に捜査を遅らせ、教団幹部がロシアか何処かに逃げる時間を稼ぐため、阪神大震災級の事件を起こさねばという事で地下鉄サリン事件は計画されたのである。
   事件以降、報道はその事で一色となった。当時の私はまだ10代、学校をサボっていたので、毎日報道を食い入るように眺めていたのをよく覚えている。
   奇妙ないでたちの教祖をトップに担いだ教団が、日本転覆を計画していた。教団員は皆洗脳され、幹部は皆高学歴で、作った毒ガスの量は日本人全員を殺せる程の量だった(強制捜査前に証拠隠滅のため殆ど捨てられてしまったが)。教団幹部が突然報道陣の前で刺殺され、また別の幹部はイケメンの弁の立つスポークスマンで、支部から支部へヘルメットで防御を固めながら移動すると暗殺者ではなくギャルが追っかけて来た。警察庁長官が狙撃されたが、結局犯人は教団関係者とは立証されないまま時効を迎えた・・・・云々
   「信じられない。日本を、世界を征服しようとしている組織が本当にあったなんて・・・・」
   半ば見世物でも見るように、興奮しながら眺めていたのをよく覚えている。確かに次々に起こるそれら一連の事件は現実味がなく、出来損ないの小説のようだった。ある人は言っていたものだ。「もう既にハルマゲドンよりも酷い事がおこっているんじゃないか」と。
   当時の私はまだ10代後半、学校が嫌で、かと言ってそこをやめて何をするでもなく、半ば自暴自棄になっていた面もある。
   「あーあ、こんなつまらん世の中誰かぶっ壊してくれないかなあ・・・・」
   非常に不謹慎な話だが心の何処かでそんな事を考えていたのは確かだ。丁度そこへ奴らが現れたのだった。
   報道は1年もすると消費尽くされ、やがて収束していった。私も受験だなんだと忙しくなり、事件そのものを忘れていった。
   
   2ndは2011年3/11、東北地方太平洋沖地震とそれにより引き起こされた福島第1原発事故である。阪神の都市部と違って今回は田舎の方だったが、同時に引き起こされた津波によってより沢山の人が亡くなった(阪神の時の3倍強)。原発事故も、日本の安全神話が根底から覆された事故だった。マスコミの報道があまり信用できない事もこの時思い知らされた。
   私は居ても立っても居られず、仕事を休んで東北の方に足を運んだものだった。瓦礫に覆われた街を見、土砂に押しつぶされた家からかき出しを手伝って来た。自然というものの猛威を思い知らされた災害だった。六ヶ所村の再処理工場前にも行ってきた。日本中の核のゴミが集められるという場所だ。もしここが福一のように制御不能になれば世界が終わるという。何もなくて良かった。
   2つインパクトは似た構造を持つが、後の展開はまるで違う。前者は国家に対する悪として厳しく組織や実行犯が罰せられ、元代表以下13人が死刑になったが、後者は国策で進められて来たという点もあり、組織の責任者は裁判にかけられたが皆無罪となった(後者の方は飽くまでも地震や津波等の自然災害で引き起こされた事故であり、国家や社会を転覆するために故意に行った事ではないが)。大規模自然災害による事故が発生した場合、損害の費用も国民が払わねばならない構造になっているらしい。
   上記の2つのインパクトによって、国家の内側にあるものと外側にあるもの、更には国家よりも大きなものについて考えさせられた。

   3rdは今までの2つと違い、昨年音も立てずに突然現れた。人類が国家を作り、武器を溜め込み、何百年もそれぞれいがみ合って来たが、とうとう人類共通の敵が現れたのである。21世紀に入り既に20年もの月日が経ったが、人類には成す術がなかった。世界最強の国のはずのアメリカがあの体たらくである。感染者や死者数は歯止めがかからず、ワクチンも漸くそれらしきものが出回り始めたが、どの程度の効果があり、持続するのかわからない。今までの2つとは違い、そもそもそれをばら撒いた組織が見当たらない。某国内で自然に発生したものなのか、それとも国策的な陰謀か。もし後者だとして、裁いて有罪になったとして保証してもらえる方法はあるだろうか。方法論として、何処かの国が武力でうったえ、力ずくで賠償金を分捕るのだろうか?  分捕ったとしても金は日本まで回ってくるだろうか。でももうどうしたってお金で保証できるような状況じゃないけどね。
   もしかしたら地震の方が後から来るかもしれない。東海地震も南海トラフ地震も富士山噴火も関東圏での大震災もまだ起こっていない(勿論空気の汚染は世界的な事なので、後に起こったとしても直接的には関係ないが)。
 (追加)今となってみれば、その地震に代わるものがウクライナ戦争だったのだろう。現在の東欧であれだけ大規模な戦争が勃発し、休停戦の兆しも見えない。何年続くかわからないとも言われている。大地震よりも酷い事だろう。
   仕事で外に出る以外は友人や彼らが行うイベント等オフラインで会える機会が滅多になくなってしまった。あまりメールやラインで連絡もとっていないので、彼らが今どんな生活をしているのか、何を考えているのか分からない。というか、何故か自分から知ろうという気力が起こらないのだ。悪い知らせしか来ないのを見越しているからだろうか?  それを聞いて余計に気落ちする自分が怖いのだろうか?  どうにしてもこのまま関係が切れてしまう人も何人かいるだろう。仕方がないのだろうか・・・・どうしたって明るい未来は無さそうだ。さて、これからどうするべきか。今はなるべく家の中に籠るしかできないが・・・・

   皆様もそれぞれのインパクトで大きな衝撃を受け立ち止まり、自分の生き方を考え直すきっかけとなっただろう。周期は違うが、10年に一度くらいの割合で現在は起こっている。10年後は一体何が起こっているだろうか・・・・