といった感じだろうか?  今年に入ってから何度かそういった状況には出くわした事がある。が、全部ハズレだった。仕事の性格上その疑いがある利用者は隔離し、感染防護体制をちゃんと整えた上で事に当たらねばならない。使い捨てガウンを着て、フェイスガードをして、キャップをかぶって、手袋を二重にして・・・・報道の医療現場で、皆さん似たような状況を何度もご覧になっているだろう。その人の部屋に入るために、二度も三度も手間がかかるのだ。しかし他の何でもない人たちにはする必要がないので、部屋の入り口で装備は外して捨てる事になる。結果大量の使い捨て装備のゴミが入り口のゴミ袋には溢れてしまっていた。しかもそのゴミも陰性が確認されるまでは、部屋の外に出せないのだ。

    「これ絶対コロナじゃないよね〜。」
    漸く朝にやって来たナースが同じように装備を整えて利用者を看ながらぼやいていた。ここに入るような人達は皆それなりの持病を抱えている。身体も随分と弱って来ている。似たような症状(高熱が出る、血中酸素濃度が下がる、血圧に異常が出る{私は若いくせに既にかなりの異常があるが}等)はよく出るので、いちいち対応するのはかなり面倒臭いのだ。だがだからこそ感染してしまっては利用者にとって命取りだ。簡単に重症化→死んでしまってもおかしくはない。
   入院して検査し、陰性が確認されると隔離が解かれ、中に溜まっていた大量のゴミを捨てに行く事になる。片付けながらオオカミ少年の話をふと思い出していた。最近の報道はオオカミ一色だ。無理もない。世界の経済・コミュニティをこれだけメチャクチャにしてしまったのだから。だがそのオオカミは私の前に本当に現れるだろうか?  顔を見知っている者の中に実際に襲われた者は一人もいない。足音は聞こえても姿を実際に見た者はいないのだ。いや、いなかったと言うべきか。
   職場の同僚の家族が感染し、その人も検査を受けてみたら陽性だった。彼女の最後の出勤日私は一緒に居た。私は知らぬ間に濃厚接触者となってしまっていたのだ。早速抗体検査を受ける事になった。幸い陰性だった。が、これは精度がかなり低いので、偽陰性の可能性がある(逆に言うならば、これで陽性だとしたらほぼ確実に陽性だという事である)。PCR検査を受けて結果が出るまでどうなのかわからないわけだが・・・・