20050622_1303_000.jpg

 塾で教えていたとある小学二年生は、とても頭が良かった。相手を適当に言いくるめるのに、とてもいい方法を使ったのである。「地球は一日に三回自転している」という彼の話を、もう少しで信じそうになった。まず彼はどこからか根拠を持ってくるのである。大人に聞いた・本で読んだ(嘘つけ、教科書もまともに読めない奴が・・・)・テレビで観た等々だ。それで順序よく説明していくが、それがまたうまい(具体的にはどう説明したかはもう数年も前のことなので忘れてしまったが・・・)。信じそうになってしまった。

 小二「じゃあそれは地球が何回まわった日?」

 ある時こういうことを聞かれた。小学生同士の話し合いにはよく聞かれる言葉である。 

 大将「えと・・・ん・・・百億五十万三回(とりあえず適当に多い数)。」

 小二「えー、先生知らないだろ。嘘つくなよ。」

 黙るしかない。その通りなのだから。で、その後に地球が三回まわってる話を彼がしたように記憶している。

 しかし今日は地球ができてから何回まわった日なのだろうか? 一日一回で、地球ができてから約46億年とすると、365×4600000000+4600000000÷4(閏年分)とするならば、1680150000000回ということになる。一兆回以上だ。しかしどこから地球ができたと計算するかで異論が出てくるし、「じゃあ証拠は?」といわれたら元も子もない。だから何なんだと言われればそれまでである。

 後彼を回転椅子に乗せてグルグルまわした時、勢い余ってすっ飛んだ事がある。首を少し打った。その時の彼の私への恫喝仕方も見事だった。

 小二「神戸の方で首切った人(酒鬼薔薇のことか? 事件当初生まれて間もないはずのことをよく知っているものである。)死刑になったんだって(嘘付け、今は元気に出所して働いてるよ)。あ痛たたたたたたたた・・・絶対首折れた、首だけはとりかえが効かないからね。首っていうのはね・・・(この後首が体のあらゆる部分とつながっていることの説明。説明の詳細はムチャクチャだが、首がやられると人間の命にかかわることだけは本当である。説明の中身は間違っても概要が正しければ、相手に対して大きな恫喝になる。物事の詳細など、専門家にしかわからない。彼と同年代の子ならまず確実に騙されていただろうな)」

 丁度ぼく地球輪君に似たような魅力を兼ね備えていた。小六の男の子は適当に騒いで暴れまわるだけだったが、彼は賢い。何よりも人を形だけでも信用させることができるのだから。頭の良さは年齢にもよるだろうが、彼のような頭の良さというのは年齢がどうこういえる段階ではない。本当の頭のよさというのはこういうところにあるのか、と思えた。