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ふと目が醒めた。
とても長い長い夢をみていた様な気がする。突き上がるような恍惚感があったのを覚えている。恍惚がじわじわと長くつづき、そして富士の近くにある遊園地のジェットコースターの様にいきなり下まで転落し、その後にどんよりとした倦怠感が残ったのも覚えている。まあ記憶全体からすれば、恍惚8の倦怠2くらいなので、恍惚感の方が多かったので、いい夢だったといえばそれまでなのだが…いかんせんキリキリと痛む頭痛がするのが玉に傷だった。
目が醒めるにつれて頭が冴えてきた。と、同時に頭痛もはっきりとしてくる。頭をおさえあたりを見回してみる・・・あれ? ここはどこ? 

 見知らぬ天井、見知らぬ窓、見知らぬ部屋、そして見知らぬベッドの中に私はいて、見知らぬぬくもりの中に包まれている。体中に見知らぬ触感がある、なんかドロドロとしていて、鉄のような香りがする・・・見知らぬ臭いだ。いや、これはどこかでかいだことはある。しかし何だったろうか? 目がさえてきて用句それを見てみる・・・真っ赤にベットリと両手についてるものがある。いや、手だけではない。それは両腕をつたい、胸の谷間をつたい、腹、腰、脚部にまで続いていた(ようく見ると私は全裸だった)。それは血だった。どこかでかいだ事のある臭いのはずである。

 布団をまくったついでに隣を見てみると、男がいた。胸からは茶色く凝固したものが静かに流れ出ている。どうやら体中の血はこの男のものみたいである。男は見知らぬ男だった。 4/12へ