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 「なあ、おまえ知ってるか?世の中幸せになる奴は他人の幸福奪ってそうなっているんだぜ。」(中学時代の友人Rの言葉)
 

 私はよく逆恨みをされることがあった(今は当時程あからさまにはない)。彼の場合もそうである。「大学に入りたい、けど親がおまえは無理だといって、予備校に入れさせてはくれない」という友人に、大学受験のための助言をしたことがある。私が大学に入って一年目の時のことである。

 しかし、助言といっても私に何ができただろう? 私は予備校講師でも受験カウンセラーでもない。確実にできる事といえば、受験で残った参考書を彼にあげる事くらいだ。その事が私にはわからなかった。良心がありさえすれば、相手は喜ぶはずだと思っていた。彼はお世辞にも勉強ができるとはいえなかった。そんな彼が予備校も行かずに独学で大学に受かるわけがない。結果はいうまでもなかった。彼とはしばらく交流が途絶えた。

 それから三年半後のことである。近所のコンビニで立ち読みをしていたら、ばったりと彼に出くわした。三年前に会った彼、私が知っている彼とは何か雰囲気がかわっていた。同じ人間であることはわかるが、魂が何か別の人と交換されたような感じだったといえば、わかってもらえるだろうか? 目つきが変につりあがり、口がへの字になっている。何か世にすねたような面持ちだった。私は就職できずにいて、彼は決まっていた。そこで彼が言ったのが上記青書きの文である。あれよあれよという間に言いくるめられ、散々私の劣等感を無理に煽り、最後に付け足した言葉である。ヤクザの論法だった。見事に逆恨みされ、お返しが返ってきたのだった。まあ、安っぽい逆恨みだ。こんな逆恨みをする彼という人物は、勉強ができようとできまいと、元々大した人間ではない。暗黒面に落ちたのか・・・自分ではない他人のために尽くすことは高尚であるが、たまにこういったカスが残るということがわかった一例だった。そして自分に補完できないことはやるべきではないとわかった一例でもある。そして彼のこの言葉は、ちょこっとトラウマになっている。

 「世の中金なんだ。何にもしらねえ同世代の人間が一番くだらねえ。」

 そうそう、「なぜあなた達は裸になるのか?」で触れた友人というのは彼のことである。しかし彼の言葉には矛盾がある。彼は相手にとってみれば、下の世代の人間なのだから、同世代の人間よりもずっとくだらないはずである。

「誰かの弱さを引き上げたいなどと、自惚れた己の恥を知ったなら、夕日がまっさかさまに青春を滑り落ちて行く前に、事実をどてっぱらでうけとめろ。」

長渕剛
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