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 自信満々に話す、振る舞う人がいる。それ程自分に自信のない私にとっては羨ましい限りだが、この自信、本物だろうか?
 まずナルシスト芸術家の自信は空自信である。すごく自分の作品が面白い様に言うが、たいていつまらない。そもそも、いい作品を作る職人芸術家は、自分の作品の不出来な部分が見えすぎてしまうので、自信なぞあまり極端には持てない。知り合いの職人役者は、いつも稽古中に顔をしかめていた。
 「ダメだ、おれは素人だ、ジム・キャリーにはとうてい及ばない…」
 おいおい、ジムと比べているのかよ・・・ 要は、できる人というのは自分の客観的な立ち位置が見えている人だ。「無知の知」を知っているからこそ、絶対的な自信など持ちようがない。まあ、相手にプレゼンテーションする場合は、自信があるように振舞うかもしれないが。

 塾で先生をしていたことがあるが、小学生は概して、自信満々である。何も大したことはできないくせに、世界で一番偉い様に振舞うのである。絶対的万能感があるのだ。この様な自信というのは、どんな才能をもった大人にしろ、持ちようがない。幼児程まで万能的な自信はないからである。

 LD(学習障害)の小学生を受け持ったことがある。一所にじっとしていられなく、いつも動き回っているし、しゃべらずにはいられない時は、誰が聞いているというのもなしに、ベラベラとしゃべりまくる。自分ではどうしようもない様だった。そのくせ、妙に自信があった。生徒の中では一番偉そうに振舞っていた。他人をバカにするときは、一番気持ちの悪い笑い方をした。注意するとすごい切れ方をした。自分内の自信と、実際の自分に、すごくギャップがあるようだった。

 まあ、つまるところ、自信のあるなしなんて、主観的なものなのだということである。