なんのことはないのです、

眉間の下、やや鼻寄りの場所に、赤いニキビが、ぽっつーんと。

会社の鏡でぼんやりニキビを見つめながら、
そういや、中学生の頃とか、
「想い 想われ」「振り 振られ」
なんて、
おでこ、あご、右の頬、左の頬、
それぞれにできたニキビで、恋という名の楽しみを、占ったりしてたもんだなぁと。

ふと思い出してみた。

中学生のわたしが、見ていた鏡から、
きっと、すごく遠い位置にるある、
職場の鏡にて。

こんな赤いニキビができるのは、かなり久しぶりのことであるが、
(疲れているとか不規則とかストレスとか、さておいて、)
この位置にあるってことはさ、
つまり、「想い 想われ」「振り 振られ」のちょうど真ん中にあるってことはさ、
「両想い、なんじゃないのー?」

中学生のときにでも発見してたら、
浮き足だっちゃうような、ニキビよね。

ひとり鏡に向かって、
そんなこと、考えてみた自分が、可笑しい。

働いている自分の、少し場違いな、思い出と、妄想。

あ、でも、今書いてて気づいたけど、
あれって、もしかしたら、
ニキビのできやすい思春期の子を、
楽しませる、おまじないだったのかも。

思春期の、避けられない「ちょっとしたマイナス」を、
日々の楽しみ、「ちょっとしたプラス」にかえる、工夫なのかも。

なんか、妙に納得。

若い時間って、本当に、ちいさな工夫の積み重ねで、
箸が転げても可笑しいくらい、
可笑しい時間を、生きていた気がしてきたよ。

わたしも、両想いニキビ、ちょっと愛おしんで、みようかしら。

「もうニキビじゃなくって、"吹き出物”っていうべきじゃあ?」
と、いう、「ちょっとしたマイナス」突っ込みは、現在受け付けません。