初期のロルフィングは、それはそれは大変痛いものでした。


クラスから叫び声が聞こえるくらいだったそうです(笑


4人がかりで1人に力づくで施術することもしていました。


人によっては、返ってトラウマを与えるものになっていました。


初期の施術の印象は消えていません。ロルフィング=痛いというレッテルが貼られてしまいました。



今日は、どうしてそうなったのかを書いてみようと思います。


アイダ・ロルフ博士は、理想の骨格を「見る目」と、理想の骨格に近づける「手」を持っていましたが、ご自身のカラダで重力を通すカラダを体現しているとは言えませんでした。


手の指は長い間「腱炎」で痛めていましたから、「力」を使って、筋膜の癒着をはがし、骨格のカラダに近づけようとしていたことが分かります。弟子達にも、体重を利用した力で圧をかけて癒着を解くように教えています。


実は、これが未完成の施術方法だったのです。重力を流れるときには、力の圧に頼らないからです。


ロルフ博士の「手」は、力が入っていても、癒着を深部まで溶かし、骨格の体を引き出す特別な「手」を持っていました。力が入っていても、重力が流せる手です。本当に特別な「手」だと思います。


ロルフ博士は、その人の理想のカラダを視る「目」と、理想に近づける「手」を持っていたのです。


こうして、弟子達の中では、ロルフ博士の施術は伝説として語り継がれています。


純粋に骨格が使えるようになるには、深い層まで筋膜の癒着が溶けなくてはいけません。ロルフ博士はそれを「見て」いたのです。


視ていたことも、理論として残した10セッションのレシピも、人のカラダの可能性を引き出すのに、非の打ちようがないほど完成されています。カラダの原型を理解していらした方です。


しかし、カラダに重力を通す感覚は知らなかったのだと思います。そして、ロルフ博士と同じ事を視て、することができる弟子は、残念ながらいませんでした。


だから、筋膜の癒着をなくすのに、体重や力の圧に頼ったのです。


アイダ・ロルフ博士も、その時代に視ることが叶わなかったのが、施術の完成形だったのだと思います。だから、もっと筋膜は研究されるべきだ、という意志を後継者たちに託しました。


ロルフ博士の死後、弟子達によってロルフィングや筋膜は研究されてきました。


ロルフ博士が何を視て、何をやっていたのか。重力と調和することを研究し続け原理原則をまとめました。


ロルフィングの原則には、全体性、パリントニシティー(ひっぱりあう張力の性質)、順応する力、サポート、連続性が含まれている、があります。


その後、クレニオ・セイクラルや内臓マニュピレーション、トラウマワークの重要性も認識され、教育の一環として導入されたりもしてきました。


また、ロルフ博士の教えたレシピを忠実に施術する一派との分化は早々にありました。


ロルフィングの施術方法は様々な方法が出てきました。タッチの仕方も、圧を加えるものがあり、圧を加えないものもあり。


だから、ロルフィングの施術方法は混乱を極めています(笑 なぜなら、人によって施術方法が大きく異なるからです。


しかし、それはある意味仕方の無いことでもありました。


自分のカラダに意識的に重力を通すことができなければ、それを手技の施術に生かす方法を教えることはできません。


あの時代にロルフ博士が、
力を使わないで骨格でカラダを操作する術を体現している方、例えば合気道や武術の師範のような方達と一人でも関わることができていたら、ロルフィングの施術方法や、ムーブメントの教育は、今とは別のものになっていたかも知れません。


そして、クレニオ・セイクラルも、内臓マニュピレーションも使わない、
純粋に「骨と筋膜だけ」が考察された、ただ一つの施術方法が確立していたただろう、と私は思い描きます。


ロルフィングの10セッションのレシピが完成しているように、完成された、ただ一つしかない施術方法も合わせて確立されていたら、ロルフィングの名前が、例えばカイロプラクティックのように世界に広まっていた可能性もあったのではないだろうか、とさえ思います。


ところで、理想型の施術方法ですが、


重力というのは、施術者のカラダから、完全に力が抜けたときに通ります。
重力が伝われば、力を使わなくても、とても深い圧を加えることができます。


ボディーワークでは、力ではなく、体重を使って施術をする、と教えられることもあるかと思いますが、体重はそれほど重要ではありません。


体重をかけている間、どこか他の箇所が力んでいると、その部位に負担がかかります。私はそれで右肩を痛めました。


足から手に体重を伝える、という教え方をされましたが、カラダのどこかに力が入っていたら、それも十分ではありません。


足から手でも、手から足でも、自由に重力は流すことができるので、一方向というのは正確ではないのです。


骨と筋膜だけを使った、施術の理想形を現実にする基本は、全身の関節に力が入っていない状態がまずあること」、です。


この時に、重力がカラダを通る準備ができます。


重力を、カラダ全身に通した状態でロルフィングの手技(圧をかけた筋膜リリース)ができるロルファーを、インストラクターを含め私はまだ見たことがありません。


ムーブメントのエクササイズには、ロルフィングのエッセンスが入っています。骨の感覚を育てていきます。そして、トニックファンクションと呼ばれる理論には、筋膜のストレッチ効果もあります。


ですがロルフ博士がやっていた手技のように、筋膜を深部から伸ばす方法にはなっていません。


私は理想の形までは遠いのですが、重力をカラダに通すことがどういうことかが、分かり始めています。


自分のカラダの部分から全体へと、重力を流せる範囲を少しでも広げていきたいと思っています。


そうしたら、力を入れないバージョンの、アイダ・ロルフ博士の「手」をおそらく実践できるようになるでしょう。


もし、インストラクターになったら、ロルフィングの完成形を伝えてみたいですね。


その前に、何としてもまずは自分が自分のカラダで体現するのです。やって見せて、体験してもらうことができて、説明できれば、わざわざ論文などで証明する必要がなくなりますから。


目標はどこまでも大きく、今日もまた、日々コツコツと精進して参ります。