目を閉じると、暗い。目を開けると明るい。

花の香りがする。食べ物のいいにおい。季節が変わるにおい。

いろいろな種類の香りがあるから、それだと分かります。

おいしさもそう。

音は、静寂と物音があって、それが音だと分かります。

でも、重力は違います。生まれたときから、死ぬまで私たちは重力に浸かっています。

一般的には、重力が私たちのカラダに何をしているのかが分かりません。なぜなら、重力がそこにあると認識できないからです。

ロルフィングのすごさは、重力を見るところにあります。

カラダの中に、重力がどのように伝わっているのか。

重力が伝わる、すなわち動きがカラダの中を通っていく道筋を見ます。

そして、その動きの伝わりを妨げている場所はどこか。また、それは何か。

どうしたら、妨げが通るようになるのか。

それを筋膜を解法する手技で、動作で、イメージで、言葉であれこれと試しながら、重力がカラダを流れるように導きます。

ロルフィングを施すロルファーは、そのファシリテーターなのです。

ロルフィングが効果があるのは、そこに確固たる法則を見るからです。

「重力が身体の中を流れるように伝わるとき、身体は自ずと癒されるでしょう。」

そうロルフィングの創始者、アイダ・ロルフ博士はおっしゃいました。

でも、重力がカラダをどのように通るかをはっきりと見ることは、職人のように鍛錬が要ります。

それがはっきりと見えたアイダ・ロルフ博士は、それを伝えるために、ロルフィングを残しました。

見えないものを、見る目がロルファーの目。

感じたことのない感覚を、開いていくのがロルファーの手なのです。

それは、重力というヴェールに覆われていたので、あまりはっきり感じることが最初はできないかも知れません。

でも、その目を開くことはとても大切です。

重力がどのように私たちに影響しているかが分かると、自分で楽な感覚が分かり、自覚すると、楽さ、自由さを維持できるようになっていくからです。

カラダだけではありません。心もまた同じです。

宇宙飛行士の方々が、一度宇宙から地球を見ると、その生き方が変わると言います。


無重力を経験したので、本当の重力を感じることができるからなのだと想像します。より大きな世界の中で、自分や周りをはっきりと感じることができるのでしょう。


私たちは、重力に浸かっているので、なかなかそのような体験はできませんが、ロルフィングは重力を感じる感覚を開く、稀に見る方法だと私は思うのです。