狂った羅針盤からの情景 | ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる

ほらでいっぱいの町にぼくのうそが白い息と共に流れてる

わたしはかもめ。飛べないかもめ。日記みたいなもの。

いっぽんの地平線から

ゆっくりと一滴のしずくが地面へと落下するとき。


ぼくは無表情のままで上を向いて、

両手で規則正しく、耳をふさぐ。

すべての音が小さく翳み。

ぼくは少しだけ浮いた気分になる。


落下していくしずくは最初はゆっくりと

しかし、地面に近づくにつれて速度を速める。

死を急ぐ青年のように、

しずくは純情で何もしらない無垢な存在だった。


明日の天気予報で、

数人の人々の落下注意報が発表された。


無機質な機械の無意味な音を大きなハンマーで叩き壊す。

がちゃん。がちゃん。

がだん。がだん。

がすん。がすん。

からん。からん。


音が弱弱しくなる度に、

ぼくの弱さもより強くなるような気がする。


一度だけ、

そのハンマーを自分の頭に当ててみる。


もう一度。


もう一度。


もう…。


しずくはぼくの顔にあたる。

しずくはぼくを通りすぎて、

赤く染まり。

そして、

地面を汚した。