ブログネタ:クリスマスと大晦日どっちが大切?
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最後の洗い物を済ませて壁に取り付けてある時計を見ると閉店5分前だった。
最後の洗い物を済ませて壁に取り付けてある時計を見ると閉店5分前だった。
今日はクリスマスイブ。なのに、おいらは働いている。
違う言い方をすれば、だから、おいらは働いている。
という言い方のほうが正しいと思うが、切なくなるので、前の台詞が正しいと思って欲しい。
様々な路線の駅が密集する池袋駅の東口の一番奥、その出口から地上にあがって100メートル道なりにすすむとおいらがいる店がある。
しかし、実際はおいらの店ではない。
ここは、丼系のファーストフード店。
残念ながら今はもうほとんどの店が無くなってしまった。
2001年にさかのぼってみる。
10年前の話。
言葉にしてみると、遠い過去だけど、
楽しかった記憶はいつまでも鮮明に脳裏に焼きついている。
その当時、おいらが店長をしていた店は丸の内線の茗荷谷駅に隣接するビルの中にあった。
池袋東口店長のS氏は俺よりも年下だけど、キャリア的には俺より上、でも、スタッフ受けはおいらの方がよかったので、ほぼ対等で話合える仲間といっていい関係だった。
この時期、悩むのがスタッフの確保。
クリスマスイブの夜に働くのは、どうも切ない。
しかも、クリスマスイブに丼系のファーストフード店に晩飯を食べに来るやつなんて…。
どこか線引きをしておきたいのが人情というものだろう。
ただし、実情は同じであるという隠しがたい事実は置いといて…。
この日のイブの夜はおかしなシフトになってしまった。
茗荷谷店のおいらが池袋東口店に行くことになり、
池袋東口店の店長のS氏は虎ノ門店に臨時で向かうことになった。
「おれ、休みたかったのになぁ。」
S氏はぶつぶつと文句をおいらにぶつけた。
「客商売の人間が人様と一緒に休もうと思うのが間違ってるんだよ。」
おいらはやんわりとS氏を諭したが心の中では「ざまーみろぉ。」と大笑いしていた。
「なぁ、変わろうか?」
突然、S氏は言った。
「な、な、なにを馬鹿なこと言うてるねん。」
あまりの突然の申し出に普段は出さない関西弁が思わず出てしまう。
うろたえるおいらにS氏はニンマリといやらしい笑い顔をおいらに向けた。
「そ、そうだよなぁ~。」
実を云うと、今夜の一緒に仕事するのが、
以前から、気になっていた韓国から来た留学生のイさんであった。
今だと、少女時代やKARAなどのメンバーの中に居ても遜色の無い韓国美人。
そのイさんが、クリスマスイブに夜シフトに入れるという情報を聞いたのがクリスマスイブの1週間前。
おいらとS氏はいつものように、歌舞伎町の居酒屋でモテない男の愚痴論議に花を咲かせていた。
お互い、先日、気になっていた舞台女優のバイトの娘を同僚の店長に奪われたばかり。
顔を合わせれば、「なんであんな奴がいいんだよぉ。」
というのが時節の挨拶となっていた。
そして、その飲み会の時に、
「あっ、そういえば…。」
と切り出してきたのが、このイさんのお話だったわけで、
おいらは二つ返事で「うん。うん。」と何度もうなずいて、
いつもは呼び捨てのS氏を丁寧に「さん」付けで呼んでさしあげた。(苦笑)
「クリスマスイブの夜にシフト入れるってことは彼氏いないよねぇ。」
S氏に同意を求めるようにおいらが言うと、
「まぁ、そうだろうなぁ。」
と、どこか勝ち誇ったかのように言う。
そこで、ある疑問が生まれた。
S氏はイさんに興味がないのだろうか??
「そうだ、当日、俺が(シフト)入るとして、お前はどうすんの?」
「ん?おれ?当然、休みじゃん。」
「や、や、休みって、お前、予定なんかあるわけないじゃん。」
「ね、ねーけど、クリスマスイブなんて働きたくねーじぇん。」
「ま、そうだよな。」
変に物分りのよくなるおいら、すでに気持ちは素敵なクリスマスイブをイさんと過ごす妄想が渦巻いている状態。
で、当日、急遽、虎ノ門店の店長が風邪をこじらせてしまい。
S氏は当然、ヘルプで店に行くこととなった。
虎ノ門店はビジネス街のど真ん中にあるので、
ただでも、夜は寂しいのに、クリスマスイブの夜なんて…。
後日、聞いた話では、午後5時から閉店の午後22時まで十名しか入店しなかったらしい。
まぁ、うちも同じようなものだったんだけど。
で、おいらはどうなったかと言えば、
普通でした。普通の夜。
普通に働いて、普通に店を閉じて、
普通に別れました。
「じゃ、このあとどっかにいこうか?」
なんて、気に効いた台詞がでる人間ではないのである。
そもそも、クリスマスイブの夜働いていている理由なんて訊ねられないでしょ。
しかも、意識している女性ならなおさらね。
そして、2週間後。
S氏から衝撃の告白。
「イさん結婚するから辞めるんだって…。」
がーーーーん。
すでに同棲段階だったらしい。
そりゃ、留学生が高級住宅街の「目白」に住んでるわけないよね。
偏見じゃないけど。
その年の大晦日。
通常は全店、大晦日営業だったのが、
ビジネス街は開けてもしょうがないという判断で、
ほとんどのお店が休みとなった。
大晦日の夜。
おいらはぼんやりと汚れたアパートの中で新しい年を迎えた。
知り合いのバンドのメンバーから、
オールナイトライブの誘いがあったけど、
なんか賑やかに年を越えるよりもひっそりと迎えることを選んだ。
その方がおいららしいかもな。うんうん。
それ以降は、元旦からの仕事は苦にならないが、
大晦日だけは仕事を休むことにしている。