ご縁あって、名前を付けさせて頂いたアンビートンレイン号が、4月6日、レース中のアクシデントで天国へ逝ってしまいました。

厩務員のさおりちゃんと二人、泣きました。泣いて泣いて、、、でもまだ信じられません。ですが、そろそろ向き合わなくてはと思い、少し時間は経ちましたが、ここでお伝えさせて頂きます。


アンビートンレインは、岩手の方の精神『アメニモマケズ』から命名しました。『アンビーには、アメニモマケズの精神で走って欲しい。そして岩手、東北、全国の人に、元気や勇気を与えるような馬になってほしい』そんな思いで、名付けました。





アンビーは子供の頃から体が弱く、すぐにお腹を壊しました。その度にさおりちゃんが優しく寄り添い、アンビーのためにできる限りのことをしてくれました。


アンビーは、さおりちゃんにとって初めて担当した二歳馬。人間に例えると、まだ八歳です。ヤンチャで甘えん坊で、レース前のパドックでも何度も幼い面を見せてさおりちゃんをヒヤヒヤさせましたが、一戦ごとに色々なことを学び、成長していきました。






アンビーの初勝利は、たまたま京都の伏見稲荷大社のなかで、ライブ中継で見ていました。観光客だらけのお稲荷さんで、「アンビー、行け!頑張れ!」と叫び、勝った瞬間、号泣するという怪しい行動をとってしまいました。





さおりちゃんは、こまめにアンビーの近況を写真と共に送ってくださったので、なかなか岩手に行けなくても、アンビーが愛されて、大事にされて、元気でいることは手にとるようにわかりました。私のスマホの中には、さおりちゃんが送ってくれた、可愛いアンビーの写真がたくさん入っています。





初めてアンビーに会えたのは、ちょうど南部杯の日。レースが終わって、厩舎に遊びに行かせていただきました。アンビーとの初対面。全く人見知りもなく、私を威嚇することもなく、『撫でて〜』と甘える姿を見て、『このコは、ホントに可愛がられてるなぁ』と嬉しくなりました。







今年に入って、大人びたレースができるようになり、一戦前のレースでは後方外からマクリ着。なんと9番人気で2着に大健闘!三連単1,652,760円という大波乱の立役者となりました。

『あれだけ良いレースができたのだから、今回は勝ってくれるかも!』

さおりちゃんも私も、心躍らせました。


そして4月6日。
この日、仕事でロケに出ていた私は、アンビーのレースをライブで見ることはできず。ロケが終わった帰りの電車の中で、信じられない結果を目にしました。


まさか。アンビーが?


競馬に危険はつきものです。
『無事是名馬(無事これ名馬)』は、私が一番好きな競馬の格言ですが、競馬はやはり、人馬ともに無事に戻ってこそ。実際、さおりちゃんと私のやりとりも、いつも
『アンビー頑張ってね!でも、まずは無事に戻ってきてね!』
が合言葉になっていました。


そのアンビーに限って、まさか、、、。


今回のアクシデントは、不運としか言いようのないものでした。向正面、何もないところでアンビーは骨折をしてしまいました。

もしかしたら雨の影響で、えぐれた部分があり、たまたまそこに脚がはまったのかもしれません。でも仮にそうだとしても、それをレース中に見極めることは極めて困難です。

アンビーは、『はずみ』としか言いようのないアクシデントで、球節という部分を傷めてしまいました。

他馬を巻き込むこともなく、
鞍上のジョッキーを振り落とすこともなく、
最後の最後まで、『アメニモマケズ』の精神で、倒れませんでした。


行きは、アンビーと二人で意気揚々と競馬場へ向かったさおりちゃん。
「帰りの馬運車、一人で帰るなんて辛すぎる」
電話の向こうで、さおりちゃんは泣きじゃくっていました。



さおりちゃんは、雨の日も雪の日も、元気な時も体調が良く無い時も、いつも側でアンビーに愛を注いでくれました。


そのアンビーが、もう厩舎にいない。


常にアンビーを感じてきたさおりちゃんの辛さは、私の何十倍も何百倍もだと思う。


この心の傷が癒える事は無いけれど、
この傷と付き合っていかなくてはいけない。




アンビートンレインは、たくさんの夢と感動、そしてステキなご縁をくれました、

山本会長、アンビーを名付けさせていただき、本当にありがとうございました。

斎藤雄一調教師はじめ、斎藤厩舎の皆さま、アンビーを育てて頂き、本当にありがとうございました。

そして、アンビーを桐花賞に出走すべく投票を呼びかけたときには、たくさんの方がご協力してくださいました。アンビーを応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。



そして、さおりちゃん。
アンビーはさおりちゃんに溢れるほどの愛情を注いでもらって、本当に幸せだったと思います。心から、ありがとうございました。



最後に、アンビートンレイン。
あなたの健気な走りに、何度も何度も感動しました。


本当にありがとう。
ありがとう!
ありがとう!



どうぞ、安らかに。


愛を込めて
六車奈々



※レースの写真は、横川 典視さんが撮影されたものです。よこてんさん、ありがとうございます。



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