【六車奈々、会心の一撃!  ~オッパイが大きくなって、足が小さくなった話〜】



私は、小足だ。足のサイズは、22.5cm。

しかし最近は、22.5cmだと大きくて履けないことが多い。


私の足が縮んだのか?

いやまさか、そんなはずはない。

身長ならまだしも、足のサイズが縮むなんて聞いたことがない。



ではなぜ、この10年ほどで私は22.5cmの靴が合わなくなってしまったのだろう。

そこには、女性の心理を巧くついた販売戦略がある気がしてならない。



私がまだ20代の頃、モデルの仕事で百貨店などの婦人服の広告をさせて頂いていた。

撮影現場は、身長170cmに近いモデルがウヨウヨいる中に、160cmの私が一人。つまり私は、数少ないSサイズ服のモデルとして呼ばれていた。


ところが、だ。現場で用意される婦人服は、Sサイズであるはずなのに、結構大きいのだ。Mサイズと間違えているのかと思うほどゆとりがある。

当時の私はSサイズ服を着ていたが、若者向けのSサイズ服は、もっとピッタリしている。それに比べると、ミセス向けのそれは明らかにサイズが大きいのだ。



私は、ブカブカのスカートを洗濯バサミでつまんでもらいながら、スタイリストさんに聞いてみた。

「Sサイズなのに、どうしてこんなに大きいのですか?」

すると驚くべき答えが返ってきた。

「女の人はさ、誰しも痩せて綺麗でいたいと思うでしょ?だから、できれば Mサイズを着たいのよ。そこで、本当ならLサイズに近い大きさの服でも『Mサイズ』と書いておくと、『私はMサイズが入った!』となって、俄然洋服が売れるんだって!」


なんとまぁ!女心のいじらしさよ。

そして企業側の頭の良さよ!

私はすっかり感心した。


そんなわけで、それぞれのサイズを少しずつ大きめにずらしていったために、Sサイズ服も大きくなったということだった。



この話を聞いて、私は他にも思い当たることがある。

ブラジャーのサイズだ。

明らかに以前よりカップが小さくなってないか?



ほとんどの女性は、豊満な胸に憧れるものだ。できれば『Aカップ』は、着けたくない。

もし『Aカップ』と『Bカップ』のブラジャーがあったとき、どちらもピッタリであれば、女性は迷わず『Bカップ』と書かれている方を選ぶだろう。

その心理を突いて、ブラジャーのカップは昔より小さくなっている気がするのだ。



なぜなら、これはちょっとした自慢だが、私はずっと『65E』というサイズでブラジャーを買ってきた。

しかし自分の胸のサイズは変わっていないはずのに、もっと言うと、年齢を重ねて少し小さくなった気がするのに、ブラジャーのカップはこれまでより大きなものがピッタリくるのだ。



どう見ても、私の胸はFカップも無い。

にもかかわらず、それくらいがちょうど良くなっているのだ。

ここにもやはり、同じような売り手側の狙いがあるような気がしてならない。



そして話は最初に戻り、足のサイズについてだ。

ずっと22.5cmだった私の足は変わっていないにもかかわらず、今や22.5cmが大きくて履けない。

これもやはり、先述した二つと同じ原因ではないかと睨んでいる。



つまり女性は誰しも『大足』にはなりたくない。しかし最近の若者は発育が良く、手足も長くてサイズも大きい。すると女性でも『25cm超え』なんて人は、ざらにいるのではないだろうか?


そこで出てくるのが、サイズをずらす裏ワザだ。仮に26cmの足の女性が靴を選ぶとき、『26cm』と『25.5cm』があり、どちらもピッタリで可愛ければ、当然後者を選ばないだろうか。少しでも足を可愛く小さく見せたい女心だ。


もしこの推理が合っているならば、靴のサイズを今の若者に合わせて少しずつ大きめに作っていったために、私のような本当に小足の人間は22.5cmでもブカブカになってしまうことに合点がいく。

おかげで私は、子供用かおばあちゃん用の靴売り場でウロウロし、結局何も見つけられないまま帰る羽目になる。



もちろん洋服もブラジャーも靴も、各メーカーさんによって多少のサイズ誤差はあるだろうし、そんな戦略をしていない企業も沢山あるだろう。しかし、私としてはどうもそんな心理作戦がある気がしてならない。



でなければ、私はこの10年ほどで

オッパイは大きくなり、

足のサイズは小さくなり、

若い時よりガリガリになった。

ということになるのだ。



うーむ。

誰かこの謎、解き明かしてくれませんかーっ?




note:『六車奈々、会心の一撃!』

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