オフラベルとは?
漢方の鹿鳴堂薬局
クリックしてみてください。ランキングが出ます。
こんにちは。
毎日、仕事が楽しい鹿鳴堂薬局の泉谷です。
今日は「オフラベル」について解説いたします。
おそらく耳にされた方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?
「オフラベル」
インターネットで検索してもほとんど情報がありません。
しかし、これからの医薬品のあり方において非常に大事な概念なのです。
では、さっそく本題です。
● オフラベルとは
医薬品を承認された効能・効果以外の目的や、承認されていない用法・用量で
使用することを指し、「適応外使用」(または適応外処方)とも言われるもの
です。
もちろん、そのように適応外で使用する場合には医師の判断が必要になります。
場合によっては、はじめに標的として想定していたところよりも、むしろ別の
ところのほうが効果が高いこともありえます。
● 例えば
非常に有名なオフラベルとしては「小児用バファリン」があります。
バファリンと言えばアスピリンを用いた解熱鎮痛作用のある抗炎症薬です。
この薬は、炎症や発熱を引き起こすプロスタグランディン(PG)という物質の
生合成を抑制することによって、炎症を鎮めたり、解熱したりするのです。
詳細に言えば、PGの合成酵素である「COX」(シクロオキシナーゼ)を不活性
にさせる効果があります。
実はこのCOXには2種類あることがわかりました。
「COX-1(構成型)」
胃、血小板、腎臓その他のほとんどの組織で常時発現している構成型の酵素。
COX-1が産生するプロスタグランジンは胃粘液分泌増加、血流増加の作用を持ち、
胃粘膜保護などの生理機能の維持に関与。
「COX-2(誘導型)」
活性化マクロファージや滑膜細胞においてサイトカイン等の炎症調節物質により
急速に(1~2時間で)誘導される(炎症時に主に炎症組織で誘導される)。
COX-2が産生するプロスタグランジンが炎症を増悪させる。
つまり、COX-1を阻害すると、その胃粘膜などの機能までも抑制されるので、
胃腸障害が起こるのです(アスピリンの副作用、胃腸障害のメカニズム)。
COX-2だけを選択的に阻害する薬があれば、胃腸障害を起こさず、解熱鎮痛の
効果だけが得られることになります。
ここから話はどんどんおもしろくなります。
ついてきてくださいね♪
実はアスピリンには血液凝固作用があることがわかっています。
アラキドン酸から「COX-1」によって(ここ重要!)、プロスラグランディンH2
がつくられ、それがさらにトロンボキサンA2という血液凝固作用のある物質に
なるのです。
もうおわかりですね。
「COX-1」を阻害する薬があれば、心筋梗塞などの血管障害を予防することが
できるわけです。
ただ、COX-1を阻害すると胃腸障害の副作用が出ますよね?
実は、1日80ミリ程度の量のアスピリンは副作用を起こさず、血液凝固を防ぐ
ことができるのです!
また、多量に服用すると、「校血液凝固作用」をもつプロスタサイクリンまで
抑えてしまい、その効果が弱まってしまいます。
この1日80ミリグラムというのがまさにピッタリ、「小児用バファリン」の量
なのです!
小児用バファリンは当初、血液凝固を抑制する薬として使えるとはだれも
考えていなかったことでしょう。
これが「オフラベル」なのです。
上記はほんの一例で、数多くのオフラベル効果がわかってきています。
その薬が適応としている病気以外にも効果があることが判明したもの。
これは非常に効率的なんです。
現在、新薬開発には莫大な資金が必要です。
しかしオフラベルの場合、すでにその薬は許可承認されているので、開発に
かける負担がほとんどないのです。
ジェネリック医薬品とともに、医療費を削減する決め手になるかもしれません。
ただ、別の観点から考えると、オフラベル効果とは、それまで気がつかなかった
副作用ともいえます。
悪い効果であれば、文字通り副作用としてただちに調査が必要ですが、悪影響
を及ぼさない場合には、たいていそこまでは調べてませんでした。
ターゲットとしている効果と同時に、なんらかの「よい副作用」が薬にはまだまだ
眠っていることでしょう。
(老いを遅らせる薬 PHP新書より)
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毎日、仕事が楽しい鹿鳴堂薬局の泉谷です。
今日は「オフラベル」について解説いたします。
おそらく耳にされた方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?
「オフラベル」
インターネットで検索してもほとんど情報がありません。
しかし、これからの医薬品のあり方において非常に大事な概念なのです。
では、さっそく本題です。
● オフラベルとは
医薬品を承認された効能・効果以外の目的や、承認されていない用法・用量で
使用することを指し、「適応外使用」(または適応外処方)とも言われるもの
です。
もちろん、そのように適応外で使用する場合には医師の判断が必要になります。
場合によっては、はじめに標的として想定していたところよりも、むしろ別の
ところのほうが効果が高いこともありえます。
● 例えば
非常に有名なオフラベルとしては「小児用バファリン」があります。
バファリンと言えばアスピリンを用いた解熱鎮痛作用のある抗炎症薬です。
この薬は、炎症や発熱を引き起こすプロスタグランディン(PG)という物質の
生合成を抑制することによって、炎症を鎮めたり、解熱したりするのです。
詳細に言えば、PGの合成酵素である「COX」(シクロオキシナーゼ)を不活性
にさせる効果があります。
実はこのCOXには2種類あることがわかりました。
「COX-1(構成型)」
胃、血小板、腎臓その他のほとんどの組織で常時発現している構成型の酵素。
COX-1が産生するプロスタグランジンは胃粘液分泌増加、血流増加の作用を持ち、
胃粘膜保護などの生理機能の維持に関与。
「COX-2(誘導型)」
活性化マクロファージや滑膜細胞においてサイトカイン等の炎症調節物質により
急速に(1~2時間で)誘導される(炎症時に主に炎症組織で誘導される)。
COX-2が産生するプロスタグランジンが炎症を増悪させる。
つまり、COX-1を阻害すると、その胃粘膜などの機能までも抑制されるので、
胃腸障害が起こるのです(アスピリンの副作用、胃腸障害のメカニズム)。
COX-2だけを選択的に阻害する薬があれば、胃腸障害を起こさず、解熱鎮痛の
効果だけが得られることになります。
ここから話はどんどんおもしろくなります。
ついてきてくださいね♪
実はアスピリンには血液凝固作用があることがわかっています。
アラキドン酸から「COX-1」によって(ここ重要!)、プロスラグランディンH2
がつくられ、それがさらにトロンボキサンA2という血液凝固作用のある物質に
なるのです。
もうおわかりですね。
「COX-1」を阻害する薬があれば、心筋梗塞などの血管障害を予防することが
できるわけです。
ただ、COX-1を阻害すると胃腸障害の副作用が出ますよね?
実は、1日80ミリ程度の量のアスピリンは副作用を起こさず、血液凝固を防ぐ
ことができるのです!
また、多量に服用すると、「校血液凝固作用」をもつプロスタサイクリンまで
抑えてしまい、その効果が弱まってしまいます。
この1日80ミリグラムというのがまさにピッタリ、「小児用バファリン」の量
なのです!
小児用バファリンは当初、血液凝固を抑制する薬として使えるとはだれも
考えていなかったことでしょう。
これが「オフラベル」なのです。
上記はほんの一例で、数多くのオフラベル効果がわかってきています。
その薬が適応としている病気以外にも効果があることが判明したもの。
これは非常に効率的なんです。
現在、新薬開発には莫大な資金が必要です。
しかしオフラベルの場合、すでにその薬は許可承認されているので、開発に
かける負担がほとんどないのです。
ジェネリック医薬品とともに、医療費を削減する決め手になるかもしれません。
ただ、別の観点から考えると、オフラベル効果とは、それまで気がつかなかった
副作用ともいえます。
悪い効果であれば、文字通り副作用としてただちに調査が必要ですが、悪影響
を及ぼさない場合には、たいていそこまでは調べてませんでした。
ターゲットとしている効果と同時に、なんらかの「よい副作用」が薬にはまだまだ
眠っていることでしょう。
(老いを遅らせる薬 PHP新書より)