智美はゆっくりとタバコの煙を吐いた。
ほっそりとした自分の指を眺めながら実に良いと思っている。その長く細い指に挟まれたタバコ、MOREはやはり一枚の絵になる。そんな自分を彼女は楽しむかのように深めに腰を預けている。
 ドアを開けて亨が入ってきた。馬鹿みたいに決まって「待った?」と聞く。
「待つわけないじゃい、待っているのではなくて過ごしているの」と言葉を飲み込んで
「待ちくたびれたわよ。いつも遅いんだから・・」と答えてみるが、この言葉に智美はうんざりしている。自分が亨と付き合い始めて3回目のバレンタインだけれど、何故か亨がチョコレート持ってくる。仕方ないからホワイトデーのお返しは智美がすることになるが、以前に「可笑しなものね」と亨に言ったことがあったが、そのまま笑って済ましていた。今日もチョコレートを持ってきていたが、MOREの辛さにチョコは合わない。亨には判らないのかもしれないが、MOREにはスコッチが合う。そんなことを考えながら亨と外にでた。冷たい風が通り過ぎていったその通りには腕を組んだカップルが溢れていて、如何にも楽しそうな会話が聞こえいる。今日はカップルには楽しいバレンタインなんだなと、亨の腕にかけながら智美は微笑んでみた。









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