志の輔らくご文楽篇~7月8日(土)14:00~ | あきすとぜねこ☆映画とか食べ物とか日常とか☆

・・・・とゆーわけで、やって参りました「横浜にぎわい座」。
 実ははじめてのにぎわい座です。

 入口のところで勝手が分らずウロウロしていると「志の輔らくごは3階だよ」

 階段を上がる途中、時間もあることだしチケット売り場のある2階を覗いてみました。

 そこには文楽で使用する人形が3体展示されていて、古いものは江戸後期に作られたものもありました。
 人形で、しかもここまで古いと魂入っている気がして、目を合わせられず・・・。
 噺家さんやお笑いのかたの色紙も沢山展示されてました。
 志の輔師匠の色紙も。「らくごはばいぶる」と書かれていました。

 

 

 にぎわい座の会場に入って驚いたのは、「飲食OK!」
 枝豆を摘みつつビールで一杯やってるオジサマを発見。

 気が付けば、ウィスキー水割り、最中、スーパーカップ、果てはトウモロコシを齧っている方まで。
 これはもうカルチャーショック(?)です。
 飲食OK会場は初めてです、会場中が食べ物の匂いです。
 椅子の背中には小さなテーブルも付いていて「どうぞ、おくつろぎ下さい」ムードなんです。

 せっかくなので、私も持っていたペットボトルを置いてみたりして。

 

 

さて、開幕です

 

 舞台が明るくなると、舞台中央に白いシャツに黒いパンツ姿で志の輔師匠。
 スタンディングトークです。

 サッカーW杯や中田英の引退について。

 ヒデはこれから第二の人生。私も29歳で落語の道に進んだので、ヒデと同じです。

 一つだけ違う点は彼は既に大きい仕事を成したということ、私はどうしようもなくて落語の世界に入ったということです。

 また、北朝鮮のミサイルの話題にも。
 師匠曰くテポドンが発射されているというのに、予定通りにチケットが売れて予定通りに公演が始まるなんて凄いことですね。
 そこから十年以上前に北朝鮮に行った時の話について。

 

 

暗転後、一人芝居

 

舞台には演台が置かれ「ロシア代表イワン・ズノコヴィッチ」と書かれた紙が。
 志の輔師匠が赤いジャケットを羽織り、金髪ウィッグ、付け鼻姿で舞台袖から。
 「日本人、イワンはバカだと思っているけど、イワン全部がバカな訳じゃありません。

 日本で与作が皆木を切っていないのと同じです」
 「ロシア人が皆付け乳首という訳ではありません。シャラポワだけです。」
 ここ!気になりました。シャラポワが付け乳首??(笑)
 彼が日本の家庭にホームステイしているという設定でトークが進みます。
 日本のお父さんは威厳があって、お父さんが帰宅すると家族は

 おしゃべりしなくなるとか、お父さんの洗濯物は別洗いとか、お父さん

の健康管理がしっかりしていてビール2本目は許されないとか。
 外食で回転寿司に行った時、お父さんがロシア人だから赤い皿、日本人は黄色い皿と訳分らんことを言いつつ取り分けてくれたこと。
 食べた皿をレーンに戻したら店員に怒られ、お父さんにも注意された。 お父さん、ずっと見てたのに。など。
 ロシア人視点で、日本についてのトークが炸裂します。

  

暗転後、文楽へ

 

「伊達娘恋緋鹿子~だてむすめこいひがのこ~」火の見櫓の段
 恋人に逢いたさに放火未遂事件を起こし、十六歳で火あぶりに処せられた八百屋お七に取材した物語。
 江戸の町では九つの鐘を合図に門が閉められ、以降の通行は禁止されていた。
 八百屋九兵衛の娘お七は、恋人吉三郎の危機を救うため、火の見櫓に登り、火事でもないのに半鐘を打ち鳴らし、木戸を開けさせる。

  

人形遣い 吉田一輔、吉田幸助、吉田玉勢、吉田蓑紫郎、吉田玉翔、 

       吉田玉誉、吉田蓑次、桐竹勘次郎
 

大夫   竹本相子大夫
 

三味線  野澤喜一郎、鶴澤清馗

 

 NHKの文楽入門番組で予習をしつつ、馴染めるか不安だったのですが、生は全然違います!
 八百屋お七という馴染みのある題材だからかもしれませんが、すぐに親しめました。
 人形を3人の人間で操り、しかもメインの人形遣いは黒子でなく顔が見えるのですが、だんだん人が見えなくなってくる。
 もうお七しか見えないんです、不思議なことに!!
 火の見櫓に登るシーンは、どうやるんだろうと思いつつ、なるほど!技ありでした。
 一人で櫓に登っていくお七は、女の執念を感じさせるほどでした。
 人形に魂が宿り、自ら鐘を打ちに行くようでした。

 

 

中入り後、落語へ

 

1メートルはあろうかという高座が舞台上に登場。

会場からはクスクスという笑い声が。
師匠「何が可笑しいんです?今日は普通の落語会じゃないと言ったでしょ? 普通の落語を求めてらっしゃったお客様には悪いけど、ご愁傷様です」
 

以下師匠談
 ヨーロッパ等の人形劇では人間は隠れているものですが、文楽は人形遣いの顔が出ています。
 でも、不思議なことにだんだん見えなくなってくる。
 これは見る側が想像するからなんです。
 単一民族で同じイメージを共有しやすい日本ならではの文化です。
 落語もそう、客が想像して補う、何も無いところから何でも生み出す業です。
 私が初めて文楽を見たのはもう10年も前になります。
 「忠臣蔵」で赤穂浪士の16人が一斉に正面を向き、ピタリと動かなくなる場面。
 その時の緊張感、人形なのに16体の鼓動が聞こえた時、感動の涙がこぼれました。
 人形が人間を超える瞬間を見ました。
 この感動を私の落語を好きでいてくださる皆さんにも是非見ていただきたくて文楽篇となりました。

 

 

落語「猫忠」
 

小唄の師匠お静さんは独り者で、お静さん目当て稽古に通う弟子がいた。
 その弟子2人組が、塀に小さな穴をあけてお静さんの屋敷を覗いてみると、お静さんと酒をさしつさされつ、よろしくやっている男が居る。

 その男は所帯持ちで妻が大変なヤキモチ焼きだから面白いことになると、告げ口しに家に向かう。
 この男2人の告げ口シーンがいやらしくて面白い。

 人の不幸は蜜の味的な2人だ。
 しかし、さっきお静さんと飲んでいたはずの男が家にいた。
 で、屋敷に戻ってみるとそこにも居る。

 驚いていると、背後から何覗いてるんだい?とお静さんも現れる。
 そこで屋敷にいる2人を捕まえてみると、実は・・・と身の上話が始まる。

 ここから文楽とのコラボ。志の輔大夫の語りが始まります。
 ネコのぬいぐるみが2体現れ、2人は好き合う。
 そのうち子供が生まれる(この辺ではネコは二足歩行をし、着物を着ている)
 ある日、屋敷の主人が子供達を三味線屋に売ろうとしている話を聞く。
 オス猫は妻と子供に逃げろ、という。
 妻は一旦子供達と家を出るが、子供だけ逃がし自分は屋敷に戻る。
 その子供2匹が私たちです。
 あの壁に掛かっている三味線が父と母です。
 せめて近くに居させて欲しい、という。

 

「そうか、猫だったのか」の一言で、落語へ早戻り。ここで爆笑。
 めでたく屋敷で飼われることになった2匹の猫から、一つお願いがあるという。
 サゲ「変な猫が居ると、他所で告げ口しないでくださいね」

 

一旦幕が下り、再度上がると人形遣いの吉田一輔さんが。
 文楽も初めは人形が今の半分の大きさで一人で動かしていたこと。
 人形の動かし方、3人の動きの分担、火の見櫓へ登る時の種明かしなど披露してくださいました。
 人形遣い3人の合図や、息が合わないバーションなど、かなり面白かったです。

 吉田一輔さんほか人形遣いの皆さん、とても若いかたが多いです。

 三味線の養成所もあるとのことですが、文楽に参加できるような卒業生はかなり少ないんだとか。
 人形遣い、大夫、三味線の皆さんのご紹介の後、
 竹本相子大夫の高笑いで本日の落語会の〆となりました。
 「はぁーっはっはっは!」
 あの高笑いこそ、達人の芸ですね!