今日の帰り道、九条大橋にある街灯のてっぺんに一羽の烏がとまってた。
何故か妙に羨ましく思えた。

そんな烏がふと心に語りかけてきた。



よぉ、人間の兄ちゃん。
俺のことが羨ましいか?
いるんだよ、たまに。そういう奴がな。

俺らだって、
あんたら人間の食い残しのゴミをあさって毎日のシノギを削ってるんだぜ。
もっとも、最近、
ここいらの奴らは食い物探しに大変な思いをするってのは珍しい。
あんたらはちゃんと俺らに残してくれるからな。

そうそう。
ここんとこ、うち等の中でも糖尿病ってのが流行りだしてねぇ。
あんたらがあまりにも良いモノを捨てるもんだから。
血糖値っていうんだろ?それが上がっちまって、
常に糖分を気にしてねぇと苦しんじまう。
厄介なもんだ。


それでも羨ましいかい?
ま、俺達はあんたらを羨ましいとは思わないがね。
聞いた話、あんたらは80年も生きるそうじゃないか。
80年も何してるんだ?


甘いものに満足すれば、塩辛いものを求め。
塩辛いものに満足すれば、甘いものを求め。
安定に満足すれば、刺激を求め。
刺激に耐えられなくなれば、安定を求め。
暑さが嫌になれば、寒さを求め。
寒さが嫌になれば、暑さを求め。
生きることに疲れれば、死を求め。
死を目の前にしては、生を求め。


何か、達成したいことでもあるのかね?
目的を創り出そうという気でもあるのかね?
見た感じ無いように思えるがねぇ。


俺らだって無目的に生きてるサ。
だからこそ、人間のようなそんな気の遠くなる年月なんて望みはしねぇ。
気が狂っちまう。

俺らの寿命は10年だ。
皆それは解ってる。

信じられないねぇ。
そんな長い年月を何もしないで、
ただ世の中に不平や文句を言いながら、欲望の道を行ったり来たり。

人間の兄ちゃん、あんた、俺より長く生きてるけど、
先輩って感じがしないねぇ。
うちの子供と同じ感覚だよ。


人間の兄ちゃん。
あんた、自分が後数年の命と知ったら、何をする?
自分が如何に生きるか、真剣に考えると思うけどね。

まぁ、人の迷惑顧みず自分の好き勝手やって生きる、
って奴もいるだろうが、あんたは違うと思ってるよ。

まぁそれはそれとして。
けどよ、その数年間必死に生きて、
数年後に実はもっと長生きできた、となった場合。
後悔するかい?その必死に生きた数年間。

あんたが生きたその数年間は、
人の一生分に相当するものがあると思うぜ。
病みつきになっちまうかもな。その内容の濃さに。


何が言いたいかってよ。
文句たれながら無目的にダラダラと生きるだけなら、
俺らみたく10年で十分だってことだ。
それ以上になったら、それほどの地獄はねぇ。


あんた、80年もあるんだから、
80年分生きてみたらどうだね?
80年間存在したけど、実際は10年でも十分でした。
ってなったら、やり切れないだろうに。

80年掛けないと成し遂げることができなかった。
そんなことをしてみるのも面白いんじゃないか?
それを考えたら、グチグチ言ってる暇はないぞ。

80年という交響曲。
第1番から第80番までほとんどが同じものだったら、
聴いてみようと思うかい?

カノンのように美しい旋律ならいいかもしれない。
でも、そんな美しい心で日々をずっと保てるかい?

つまらない旋律の繰り返し、
ましてや無音なんて、、、解るだろ?

リフレインは美しい。
けど、そればかりじゃあ飽きてしまうもの。
色とりどりの様々な美しい旋律を奏でる。
そんな交響曲が聴きたいもんだねぇ。


人間の兄ちゃん。
死ぬ気で生きろとは言わないさ。
休憩も必要だしな。

ただ、ダラダラ生きるだけなら、
10年も80年も同じだってことだ。


たまにはこういう話もいいだろ?
じゃあな、、、





烏が苦労(crow)を語った、、、なんちゃって^^