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 世の中,思いついたことをすべて実現できれば一番いいわけですけれども,なかなかそうはいかないものであります。
 何かをやるためには何かを切り捨てなければならないというのが現実であって,そこで何を切り捨てるのか何を残すのかということが,政治にしろ企業活動にしろ普段の生活にしろ,センスやらモラルやらが見えてしまうことだったりするわけでした。

 そんなわけで,上の物件。
 どうやら歯医者さんの電柱カンバンのようであります。こういった電柱カンバンというのがどの程度効果があるものなのかわかりませんけれども,知らず知らずのうちに目には入っているし,実際の場所を示すには好都合なんであろうなぁと思ったりするわけでした。

 そしてメインの広告部分以外に,下の部分には町名・番地が入っているものがあったり「町をきれいに」など一言メッセージが添えられていたり店の方向を示す矢印がついていたりするんでした。

 物件の電柱カンバンでは,その下の部分に「町を美しく」のメッセージが入っていたようでありますけれども,その上から矢印が上書きされているんでした。

 カンバンを設置したあとに
「あーっ。ここには矢印付きのカンバンを置くんだった。しまった。どうしよう」
ということになってしまったのかもしれないでありますね。そして苦慮した結果
「んー。まぁ,一番必要ないのは…ここかなぁ」
ということで,「町を美しく」が削除対象として選ばれてしまったのかもしれないんでした。

 しかし,この状態だけを見ると
「ふん。町など美しくなくてもいいのだよ。そんなキレイ事よりも,うちに客が来ればそれでいいのだ。こんな文字,消してくれるわ。わはははは」
という意思表明なのではないかと,思えてしまったりするんでした。しまわないか。

 もちろん,この歯医者さんではそのようなことを考えているわけはなく,むしろ「町を美しく」というメッセージを際立たせる狙いもあってこのような形にしているんだと思われますけれども。たぶん。

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 こちらは一言で言うなら「駐車禁止」のカンバンでありますけれども,
「無断駐車御遠慮ください 電線協同溝工事作業ヤード(国土交通省許可済)」
ということで,文字が長々とたくさん書かれているんでした。

 その中で「御遠慮」にだけ,ひらがなでルビが振られているんでありますね。
 他にもたくさん漢字があるのに,なぜ「御遠慮」だけなのか。
「この『御遠慮』って,こいつらに読めるかなぁ。難しいかなぁ」
と思ったんでありましょうか。なんだかちょっと,見くびられた感じがするでありますね。しないか。

 まぁ,すべての漢字にルビが振られていたら,それもまた小学生向けみたいになってしまいますけれども。小学生は無断駐車しないだろうし。
 それとも,本当はすべてにルビを振りたかったんだけれども予算の関係で「御遠慮」だけになってしまったんでありましょうか。「ルビはひらがな5文字分だけ」とかいう制限があって,その条件内で一番効果のありそうな文字を選択したりしたんでありましょうか。

 それであれば最初から「ごえんりょください」と全部ひらがなにすればよさそうなものでありますけれども,そうすると逆に予算があまってしまって,次回予算が削られてしまうかもしれないので文字数をあえて増やしたりしているのかもしれないんでした。しれなくないか。

「町やじるし」は新潟市北区・つくし野2あたり。
「ごえんりょ」は新潟市中央区・万代3あたり。