蓄音機のサウンドボックスと頭丸8日巻き置き時計のメンテナンスをしました | 路地裏の骨董カフェ

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アートとふるもの好きが嵩じて、明治、大正、昭和初期のインテリアや雑貨を取り扱う古物商を始めました。また、古時計や蓄音機などを中心に修理・調整をしています。
引き続き情報交換をお願い致します。


懸案のコロムビアポータブル蓄音機no.204のサウンドボックスをメンテナンスしました。
No15のサウンドボックスは、裏の赤ゴムの方のマイナスネジを回して分解しようとして、無理に開けてゴムの緩衝材を壊してしまうケースがとても多いです。そこは分解ではまず触りません。

今回は、裏側は問題ありませんが、振動盤を押さえるゴムの輪が硬化して、音が悪くなっています。分解して交換する事にしました。

振動盤は裏からトンボにビス留めされていますので、まずは、保護の塗料を剥がし液で落として、慎重にビスを外して、次に表のトンボを固定した左右のネジを緩めて、中のベヤリングを無くさないように、取り出して、トンボを外しました。その後に、表のマイナスネジを緩めて、カバーを外しました。
ここから、振動盤を傷つけないように、固着を溶かしながら硬化したゴムを外しました。焦ると振動盤を破ってしまうので、要注意。


振動盤が外れたら、全部の部品を洗って、洗浄しました。錆びた箇所は、落としてメンテナンス。


ゴムの交換は、企業秘密の虫ゴムを輪にして納めています。(笑) 徳用の虫ゴムは、色んな種類がありますが、聴き比べても大差はないと思います。


振動盤の中央がずれないように、元に戻しました。


あとは、洗ったベアリングをグリスに並べて、トンボのビス留めです。
両側を締める前に、裏からトンボ押さえの小さなビスを先に留めて、音を出しながら、締め加減を調整しました。
程よい加減はいつも難しいですネ。
調整が完了したら、ビスの保護の接着剤を盛って終わりです。


あとは、経年劣化で箱の角のカバー紙が外れて口が開いていますので、補修しました。
これは、普通に襖貼り用のデンプン糊を使っています。


メンテナンス完了です。グレンミラーの茶色の小瓶を掛けてみました。


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これで漸く、5月から懸案だった蓄音機も修理が完了しました。

あとは、頭丸の8日巻きの置き時計を入手しましたので、こちらもメンテナンスをしました。


昭和初期頃の東京時計製で、アンチモニー合金の鹿のレリーフが美しい時計です。8日巻きで、音で知らせる機能はありません。
アンチモニーの工芸品は、東京都の伝統工芸でサビのない、燻し銀の枠は時代を経ても色褪せない落ち着いた雰囲気が良いと思います。
アール・デコ様式のモダンなデザインがいつもながら私の好みなんです。


こちらは、全分解しましたが、力の解放に気を使いました。
テンプの芯を研磨し、回転のバランスを調整して戻しています。



こちらは、大正末から昭和初期の頭丸の精工舎の8日巻きの置き時計です。木製の風格あるデザインです。機械の動きはいいようですので、簡易洗浄した後に、テンプの芯を研磨し、同様に回転の調整をした後に戻しています。



両方ともに、精度は日差2分以内に収まっています。実質はもっといい精度が出ています。
1日巻きの目覚まし時計より精度が上の印象があります。いい感じに復活してくれました。

まだまだ、別に時計も修理途中ですが、また次にご報告しますネ。