日新時計 New Master 100DAY回転振り子式時計とスヌーピーの時計 | 路地裏の骨董カフェ

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アートとふるもの好きが嵩じて、明治、大正、昭和初期のインテリアや雑貨を取り扱う古物商を始めました。また、古時計や蓄音機などを中心に修理・調整をしています。
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日新時計のNew Master 100Day 回転振り子式時計のジャンクを入手しました。
普通の振り子時計と違って、振り子がコマの様にくるりと回転する方式で、一回の往復運動がとてもゆっくりですので、ゼンマイが解けるまで100日巻かなくていいという、ありがたい時計です。

ネットの写真では、板バネのスプリングが切れているジャンクに見えましたので、外国から合うスプリングを入手するつもりでした。
届いてみると、ありがたい事に、下の留め具が緩んで外れた状態でした。

裏のビスを少し緩めて、スプリングを外しました。




中央をとって、吊り具をペンチで挟みながらビスを締めました。
回転振り子に取り付けて、恐る恐る調子を見ました。ねじれるタイミングに合わせて、串がクランクをゆっくり左右に切り替えるシンプルな構造です。



串の振りをスプリングの捻れに合わせるのが、微妙ですね。右にも左にも振り過ぎないちょうどいいポイントを探る感じです。
いい塩梅におさまると、回転にゼンマイの力が伝わって、止まらずに回り続け始めました。
ちょっとホッとする瞬間です。

あとは、時間の追い込みですが、この種類の時計は時間合わせが難しいと言われています。
振り子の玉を下げて広げると遠心力で遅れて、上げると狭まって、早くなります。
純正のスプリングなら、軸に切ってあるスクリューの中央が適正ではないかと合わせました。



予想通り、中央部でいい感じの精度が出始めました。3日で1分あるかないか。
早めたり遅らせたりしながら、殆どクオーツ並みの精度が出るらしいのですが、3週間くらい経ちますが、未だに微妙な調整が続いています。
ズレが分かるのが、4から5日経ってからで、調整して差が出始めるのに、また4から5日かかります。しばらく合っていたんですが、1分ズレたんで、調整すると、今度は動かし過ぎていたり、これは、ある意味精度を自分で育てる時計ですね。
きちっと水平を取る必要がありますし、ゆらゆらゆっくりした動きに癒されながら、気長に精度を追い込んでいこうと思います。

次は、スヌーピーの1970年頃のヴィンテージ目覚まし時計を入手しました。


1958年と1965年の丸Cマークがありますので、昭和40年代の可能性もありますが、ネットでは、1970年代の目覚まし時計で紹介されています。
これは、アメフトですが、野球やサッカーなどの種類もあるようですネ。



開けてみると、緩めて分解できるナットがなく、見事な締め殺しの機械で、修理を前提に作られていません。
ゼンマイやテンプの動きは注油で稼働は問題ないのですが、残念ながら、ベルを鳴らすシュモクの足が折れています。


シュモクの軸の先に、ストッパーのツマミがついていて、引くとザラガンギ車の動きが伝わって、ベルを鳴らす構造になっています。
手間はかかりますが、ハンダ付けしてみました。
結果はアウト、シュモクの振動にハンダの接着は耐えられず、すぐ外れてしまいます。

時間はかかりましたが、両方の軸に深めの穴を開け、鉄の軸を嵌め込む事にしました。


穴には、メタルロックを流し込んで金属並みの接着を確保しました。


中に鉄の心棒が入っていますので、これが折れない限りは大丈夫です。締め殺しで、分解出来ない時計ですが、なんとかベルの駆動を元に戻す事が出来ました。
引くとベルが鳴る設定ですので、つまみに軸が長すぎる印象で、目安のつまみと間違って捻ったり、寝ぼけて、つまみを強く押し込んだりで、地板の所で折れやすい構造の印象ですネ。


よく見ると、アメリカ製ではなく、香港イースタンタイムLTD製ですが、アクリル板の秒針には、ヘルメットを被ったウッドストックがスヌーピーの周りを回転するので面白いですネ。




いつも上手くいくとは限りませんが、今回は2台とも運良く無事復活出来ました。もう少しかかりそうですが、時間を追い込みながら仕上げていこうと思います。