1920年代 レミントンポータブル#2型 タイプライターの修理 | 路地裏の骨董カフェ

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アートとふるもの好きが嵩じて、明治、大正、昭和初期のインテリアや雑貨を取り扱う古物商を始めました。また、古時計や蓄音機などを中心に修理・調整をしています。
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1925年~27年頃に作られた、アメリカ、レミントン社製のポータブルタイプライターを入手しました。両側にキーカバーが取り付けられ、リターンキーが付属していますので、レミントンポータブルの#2型になります。
レバーを上げて、キーの打った感じは問題ありませんが、スペースバーを押しても、キャリッジがカタカタと動かない状態です。

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よく見ると、キャリッジをリターンさせるワイヤーが切れているようです。巻き取りのゼンマイ機構に残っているワイヤーを引き出してみると、長さは十分ですので、このまま生かして、キャリッジにつなぐことにしました。

ワイヤーとキャリッジを繋ぐ金具を外して、プーリーと紐穴にあらかじめワイヤーを通した後に、金具にワイヤーをしっかり圧着して、キャリッジにビス止めしました。

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裏からワイヤーをうまくキャリッジと平行にくぐらせるのに難儀しました。
ゼンマイのテンションを活かしながらの作業ですので、失敗すると、ワイヤーがゼンマイドラムから外れて、軸に引っかかって元に戻すのに苦労します。

何度か失敗し、無事、ドラムからワイヤーが外れることなく、無事キャリッジに留めることができました。
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とりあえず、キャリッジの可動部分に注油をし、軽い動きになるように調整しました。紙を差し込んで、試し打ちをしてみました。
古いものですが、当時のリボンがそのまま残っていました。

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大文字も小文字も問題なく打てるようになりました。
可動部分にも、注油をして簡易ですが可動部分の修理を完了しました。
せっかくですから、くたびれた状態のタイプライターに汚れ落としを塗布して、手垢や油汚れを落としました。

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全体の雰囲気も、時代相応の傷や錆はあるものの、現役で使用できる状態で残っていたのは、素晴らしいと思います。私としては、レミントンポータブルの堅牢で耐久性の良さへの信頼は厚く、今回も無事復活させることができました。

箱の裏蓋を見ると、アメリカからドイツ向けに輸出されたもののひとつのようです。

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1920年代のドイツベルリンで遊学された方が、日本に持ち帰ったタイプライターのようです。先の持ち主さんは、統計学を研究されていた先生と伺っています。戦前の欧羅巴から大事に日本に持ち帰られたのでしょうね。

ゴムローラーの清掃が残っていますし、時間を見て、さらに、全体の汚れ落としと細かい注油のメンテナンスをしたいと思います。