買って暫く着て、その後は休日用のシャツになり、埋もれて行方不明だったウエスタンシャツです。…何十年前のだろう?
買った時から柔なかな着心地だった気がする。
フラップポケットの内側は、色落ちを抑えているグラデーション仕様。
今のスーパーブランドの手法と同じ加工です。
裾も一度縫って、加工した後に糸を取り除き、裾をグランジ加工しています。
こんなにしなくてもと思いながらも、ちょっと着てみたくなるのが洋服やの性です。
普通に加工なしで、着古して、いい色になった品は、そこで止めて、着なくなる事もあります。
一度は、最後まで見届けたいとも思うのですが、
時間の止まったシャツが、ワードローブには沢山増えるばかり。
でも、何年かに一度や2度は出番が来ます。
イタリア製でも中堅どころのブランドだったと思うので、ネックもありました。
ウエスタンボタンがアルミなのか?やけに軽量で、柔らかく、使い続けて行くと、留めが甘くなる箇所も出てきます。
ま、ペンチで裏の方を少し潰せば、また暫くは強く止まるようになるので、処分するのはそのボタンがいよいよダメな時だと思っています。
そんなに、ヴィンテージ好きな訳でもないのですが、手の込んだ仕様を見ると、それを作っている人の事を思い、いょっと着てみたくなります。その後、愛着が湧いてきて、いつまでも手元に残ってしまう訳です。
そして、それが何年かに一度、買ってて良かったと思う次第です。
去年の8月に入荷して、直ぐに完売していたコートをメーカーで見つけて、時期は微妙でしたが、取り敢えずもう出会う事は無いかもと思うと、地元の方にも1着は持ってて欲しくて、何処かで着ているのを見るのを楽しみに、仕入れしていました。
初めの品は神戸の方に。
昨日は、違うアイテムを見に来られたお客様がそのコートに一目惚れ。
一日悩まれて、今朝一番にご購入しに来られました。
昨夜、去年のブログの8月に完売と書いていたのを確認して、やはり運命だと思いましたと、おっしゃて頂きました。
大切に着て欲しいと願っています。
そして、良い思い出の写真の中で、いつかこの日を思い出して頂ければ幸いです。
洋服屋の仕事は、洋服を仕入れて売るだけでなく、様々なお客様の人生の一ページの中に、名脇役として残る事を楽しみにしています。
あぁ、この服はと思い出していただければ、苦労が報われる仕事なのです。
もしも時代が許してくれるのなら、服好きがやってる、服好きのお客様達の為の店で、このまま居続けられたらと思うのです。
Fさん、Wさん、そして当店をご愛顧の皆さん、いつも、ありがとうございます。
洋服にまつわる、エピソードや思い、思い出を、いつでも待ってます。
また聴かせて下さい。