歴史は繰り返す、なのか、キナ臭い匂いが漂い始めた。1920年代は疫病(スペイン風邪)の蔓延から世界は大混乱に。五千万とも一億人ともされる死者数だけではない。経済は疲弊し失業者で溢れる社会には絶望感だけが漂っていた。こうした中で台頭したのが、国粋思想であり、いわゆる帝国主義である。世界は解放の名の下に侵略戦争へと突き進んでゆく。
 
 ロシアがウクライナへ侵攻した。独立国の主権を甚だしく侵害するもので許し難い蛮行には違いない。国際社会からの非難や制裁も当然の報いであろう。だが忘れてならないこともある。我々が聞く情報は西側のものだけであり、それも米国からが圧倒的に多いということだ。プーチンの演説だけではない。NATO加盟国からの情報であれ、どれだけ正確に伝えられているだろうか。独仏など、こうした国々までが、ウクライナのNATO加盟には否定的なのだが。

 (旧ソビエト連邦の諸国)
(ネットより)

 地図を見て頂きたい。ロシアとウクライナの国境線は1576kmに及ぶ。しかも旧ソ連時代は連邦国家であった。当然のことロシア人(約17%)も多い。平坦な国土からして小麦の生産だけでも世界の7位に位置する穀倉地帯であり、チェルノブイリ原発からも分かるように、エネルギーの供給源でもある。

〈事故当時のチェルノブイリ原子力発電所〉
(写真はネットより)

 もし、ウクライナが米側の思惑通りになって、NATOに加盟したとしよう。ロシアの喉元にNATO軍が配備されるだけではない。ベラルーシやカザフスタンにも飛び火するかも知れないのだ。すると何が起きるのか。

〈ロシアのバイコヌール宇宙基地〉
(この基地もカザフスタンにある)

 ことに、カザフスタンは世界有数の鉱物資源に惠まれており、ロシアにとって欠かせない隣国である。また宇宙基地もカザフスタンのバイコヌールにある。昨年末、あの前澤友作氏の乗ったソユーズ宇宙船も、この基地から打ち上げられていることから覚えている方も多いと思う。そう、食糧やエネルギーだけではない。軍事的脅威に加えて資源や科学技術の要まで失ったのでは国家の存亡にも関わってしまうのだ。我々は、こうした事実を、どこまで知らされているだろうか。

〈ソユーズに乗り込む前澤友作氏〉
(ネットより引用)

 ロシアだけではない。矛盾は朝鮮半島にも付き纏う。ご存知の通り韓国はおぞましい程の反日国家である。次々と変わる首脳も反日の姿勢だけは一貫して変えない。でも不思議なことが。

 失脚した朴槿恵(前大統領)も反日はライフワークであった。支持率が下がる度に反日キャンペーンで政権の維持を計った。だが本音はどうか。彼女の実父は陸軍士官学校出身の朴正煕である。だから幼少期より日本の精神文化を叩き込まれたという。そう、、限りなく親日なのだ。国民の大多數が嫌日である以上、隠さねば生きて行けなかったのだろう。文在寅(現大統領)だって然り。夫人は『裏千家』に通う茶道家であり、子女は、日本の歴史的文化と伝統を尊ぶ、あの『国士舘大学』に留学している。これで反日なら滑稽でしかあるまい。

 プーチンの場合はどうか。何せ、柔道家のせいか、それだけではないのか、日本文化への傾倒ぶりは各国首脳の中でも抜きん出ている。和室(畳)があるだけではない。壁には嘉納治五郎の肖像画が掛けられ神棚まであるというから驚く。靖国参拝にも意欲を示したが、さすがに日本側から断った、とする逸話があるくらいだ。だから、当然のこと、プーチンの子女も留学先は日本である。

 世の中に裏と表がある。権力者は国民を騙すことで長期政権を企む。国民が嫌うものは自らも嫌いといい、国民が反対なら自らも反対派を装う。そして「どうすれば支持率が上がるか」だけで行動する。本心を隠してでも国民の思考に迎合するのだ。だから韓国の大統領は権力を握った途端に反日になり、ロシアの大統領は「北方領土を返す」なんて絶対に言わない。これも「国民の本当」に「国家の嘘」の鬩ぎ合いといったところか。情けない話ではあるが。

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《余談/裏読みのウクライナ情勢》

〈戦略的パートナーシップを結ぶ両国〉
(人民日報/2011より

 ウクライナにとって最大の貿易相手国はどこだろうか。言うまでもない。答えは中国である。統計によると、両国の2021年の貿易総額は189億8千万ドル(約2兆2千億円)に達し、2013年から80%近く増加。  さらに、ウクライナは中国共産党が主導する「一帯一路」戦略にとっても重要な拠点なのだ。ウクライナは2017年に「一帯一路」戦略への参加を表明。2020年に両国は金融・基礎インフラなどの事業で協定を結んでいる。いわば、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権は、親中派の代表格ともいえよう。

【参考】

〈外務省の資料から、ウクライナの主要貿易相手国 を見ると、このようになる〉
(1)輸出 中国(14%)、ポーランド(7%)、ロシア(6%) 
(2)輸入 中国(15%)、ドイツ(10%)、ロシア(8%) 
(2020年:ウクライナ国家統計局)

 今回の軍事行動でロシアは、こうした中国の築いた(インフラ)基盤を破壊してしまった。ならば、さぞかし中国も怒り心頭かと思いきや、そうでもない。ダンマリを決め込んでいる。パラリンピックを控えているからだけでないだろう。何れ、ウクライナの復興事業は中国が担う。どちらに転んでも中国の一人勝ちなのだ。正に『漁夫の利』であり、『戦国策』を編み出した本家本元だけあって、さすがに支那の国は商売が上手い・・ん??