コロナ渦もあって多くの医療機関が苦境に陥っている。感染病棟を抱える病院だけではない。個人医院とて同じだ。「発熱患者お断り」だけが理由ではない。そもそも患者が来ない。医者にだけは掛かりたくないのだろう。余程のことがない限りは我慢しているのが実情のようだ。

 この医療体制には不思議なことがある。休(祝祭)日や深夜の「一斉休診」のことだ。医師会による取り決めかも知れないが、どうも腑に落ちない。救急センターは開いてるとはいえ、そう行けるものではない。近頃では(主に新規開院時)、菓子折り持参で個別訪問し、顧客(患者)開拓に励む医師さえいる。ならば、どうして「休日・夜間診療」を掲げないのだろうか。

 コンビニは年中無休の是非を巡って紛糾の真っ只中にある。これまでのシステムを維持したい運営側と人手不足から時短にしたいオーナー側との対立のようだ。コンビニと言えば文字通りセブンイレブン(7時から23時)だった。それがいつしか24時間営業に変わった。今や生活パターンの多様化もあり完全に定着している。でもどこまで必要なのだろう。深夜閉店であれ何とかなるような気もするが。

 その点、医療機関は違う。怪我や病気に休日はない。日用雑貨や食料とは異なり待ったは許されないのだ。土日や祝祭日は観光客だって多い。休日診療はあるものの、指定された場所だけでは誰もが利用出来るわけではない。結果として救急車の出動回数を増やすばかりにある。理由は、いつも「深刻な医師不足」だが、これとてどこまで事実に基づいているだろうか。

(人口減少の社会にあって各職種共に従事者を大幅に減らす中、医師だけは毎年、下表の如く確実に増え続けている。高齢者の増加に起因するのか、ガンに代表されるように何らかの理由で日本人にだけ重篤な疾患が蔓延したのか、それとも・・)

(医師数の年次別推移)
(厚労省データより)

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 街中を歩いて驚くことがある。元・病(医)院の建家が何と多いことか。主に歯科医だが一般医院(町医者)とて例外ではない。朽ち果てた看板だらけの街並みは、あたかも医療機関による廃屋通りの様相でもある。表向きは後継者不足とはいえ、それだけではあるまい。顧客(患者)獲得競争に敗れたのが一番ではなかろうか。医師不足を嘆く世相にあって転職組もまた多いのだ。

 適性がない者、過重労働に嫌気がさして辞める者、経営に行き詰まって廃業に追い込まれるケースと様々だが、実際には後者が圧倒的に多い。派遣登録したところで、「元医者に何が出来るの」と敬遠されるのが現実であり、なかなか仕事は回ってこない。結果として、イソ弁(弁護士)よろしく、運転業務に就くか努力して新たな事業を立ち上げなければ生活すら立ち行かなくなってゆく。

 ならば、どうして休日や夜間“営業”は模索しなかったのだろう。高齢で断念したならともかく折角の資格が勿体ないではないか。医師にも商才が不可欠とはいえライバルはいない。看護師だって夜間勤務はお手のものだろうに。

 法律には触れない。一部、医師会の規制や横やりがあったにせよ、そこは個人の自由だ。ニッチな市場を見逃す手はない。新宿など夜の街では見掛るものの深夜営業にライバルは限りなく少ない。一昔前なら休日は疎か寝てる暇さえなかった。年がら年中、近隣住民から叩き起こされていた。それを考えれば出来ないことはないと思うが如何だろうか。ステータスと高収入、女性にモテそう、といった浅はかなな理由で医者になった者を除いて。

 因みに、遠縁のヤブ医者も廃業組だが、その過程ではコンビニを検討していた。確かに土地はある。駐車場スペースにも事欠かない。しかし、長年「自分は先生なのだ」と勘違い甚だしかった者に、ある日突然「いらっしゃいませ」が出来る道理はない。結局は運転手を経て今では百姓に勤しんでいる。これとて氷山の一角ではなかろうか。医者になった理由は、やはりステータスと高収入、、そんな苦労までしてやれるか、と言われればそれまでだが・・。

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 《折り紙》

(バットマン)
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「夜間業務ならオイラの出番じゃわい」

「でも逆さ吊りでオペに耐えらるかのう」

「・・・・・😓」