今月(1月)8日、内閣府が発表した2020年11月の景気動向指数(15年=100/速報値)によると、景気の現状を示す「一致指数」は前月比0.3Pマイナスの89.1であった。これは6カ月ぶりの悪化である。理由は、高温による秋冬物衣料の売り上げ減少、自動車販売の不振と様々だが、やはり最大の理由は新型肺炎の蔓延であろう。

 株価上昇に浮かれている場合ではない。このままなら確実に景気は後退する。企業倒産に伴い失業者も急増するだろう。枯渇気味の財政事情からして満足な支援を受けられる見込みもない。この先は、一体、どうなってしまうのだろうか。

 昨年だったか、TVのミヤネ屋(日テレ)を見て驚いた。30から40代の平均貯蓄額は約50万円だという。薄々は感じていたが、ここまで少ないとは。この年齢層は、小泉改革による倒産や業務縮小で職場を追われ、非正規就労を余儀なくされた世代でもある。そして、アベノミクスの恩恵を受けることもなく、その多くが底辺で喘いでいたことになる

(急増する非正規就労者数)

(一次産業〈農林水産業〉を除く)

 現在、こうした30代後半から50代にかけては、40代を中心に約4千万人が存在する。いわゆる中年族であり少子化の親世代でもある。病気や怪我など絶対に許されない。失業保険の受給資格を満たす前にリストラにでも遭おうものなら食うことさえ出来ない。だから子供は少なく未婚者も限りなく多い。


 2015年の国勢調査によると、50才まで一度も結婚をしていない割合を示す生涯未婚率は、男性で23.37%、女性で14.06%に達している。これは男性の4人に1人、女性の7人に1人の割合である。


 (生涯未婚率の推移)

 〈国立社会保障、人口問題研究所より〉


 上のグラフをご覧いただきたい。2020年以降の改善を前提にしてさえ、2035年には男性の3割、女性の2割が生涯独身を余儀なくされると見られている。現実に改善する要素は何もない。5年で4%の上昇率なら、2035年には2人に1人が生涯を独り身で通す時代になるのだ。


 命に関わる問題も深刻になるかも知れない。
この数年、自殺者は約2万人台で推移する。2003年(34.427人)をピークに減りつつあるとはいえ未遂だけは表に出ない。こうした案件を含めれば15万人に達しても不思議ではあるまい。何せ、こうした統計は改善を前提に作成されることが多く、あまり信頼に値しないからだ。

(自殺者数の推移)
(警察庁データより)


 ここでも、自殺者の最も多い年齢層は、やはり40代である。

(年齢別自殺者数)
(ネットより引用)

 コロナ渦による影響も計り知れない。昨年来より再び自殺者急増の気配にある。

(ネットより引用)

 警察庁の速報値によると2020年11月の自殺者数は1798人だった。前年同月比では182人(11.3%)の増加。自殺者数は2010年から19年まで10年連続で減少し、20年に入ってからも1~6月までは前年同月比マイナスにあったが、7月以降は5カ月連続で増加に転じている。1~11月の累計の自殺者数は1万9101人で前年同期より426人多い。今朝(22日発表)の速報値では年間でも2万919人となり前年から750人増加した模様だ。

 1990年から2010年頃までは失われた20年と言われる。現在の30代後半から50代にかけては、こうした過去とも一致する。見えざる貧困によって崖っぷちに追い込まれてしまった中高年世代。この先も五輪(中止を含む)不況やリストラの雨嵐に晒されることだろう。これに戦後最悪の危難ともされる今回のコロナ渦が加わるのだ。

 財源難は日々深刻になるばかり。コロナ対応への支出がこれに一段と拍車をかける。消費税10%移行による約3.3兆円の増収効果も一瞬にして吹き飛んでしまった。これでは年金だって(満足に)支給される保証はない。この先、崖っぷちにある中(高)年世代が非正規就労から脱出して蓄えを増やし、豊かな老後を迎えることが出来るのだろうか。

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《余談》

 今週発売の週刊誌にこんな記事があった。

(死神の正体見たり=役者が違う・・から)

 自らはコロナ患者を診ないで「医療崩壊だ」と大騒ぎしている、といった内容らしい。それも日本〇〇会の会長だから始末が悪い。

 確かに、コロナ騒ぎで患者はこない。この時期の稼ぎ頭でもあるインフルエンザも今年は限りなく少ない。でも新型肺炎だけは絶対に診たくない。経営内容は日増しに悪化するばかり。まあ、これも『医療崩壊』には違いないが😓。