コロナの感染拡大が止まらない。従来種だけではない。英国、南ア、ナイジェリアと次々に変異型の発生が報告されてくる。今度の場合、感染力の強さだけでなく、若者の重症化も顕著だという。例年のこと、インフルエンザは、12月から1月にかけて急増する。死者は10倍から 20倍にも達する。そのインフルエンザも今年は限りなく少ない。この代役をコロナが担うなら、それこそ重大な局面に遭遇するかも知れない。現在(12月)の20倍なら百年前のスペイン風邪と変わらないのだ。

(厚労省、人口動態統計より)

 こうした中、新たな問題も。出生率のことだ。世界に共通して出生率の低下が見られるという。人口爆発に喘ぐアジアやアフリカの低開発国には朗報かも知れない。だが欧米先進国は違う。比較的健全な国であれ、その多くは移民によって支えられている。その源流が遮断される可能性すらあるのだ。今や、国家の根幹は、これらなくして成り立たない。根っこ(底辺)を失った老木がどうして耐えられようか。

 日本だって例外ではない。日本の場合、移民ではなく、減るばかりの出生数にある。昨年は前年(2018年)より5万3,166人少ない86万5,234人で(合計特殊)出生率は1.36だった。これが一段と縮小するのだ。現に、あまりの少なさから具体的調査に至らず、今年は公表を取り止めたほどだ。これは統計開始以来、初めてのことである。


 この出生数、今でも危機的な数値なのに、これではどうなってしまうのだろう。86万人を基準にしてさえ一世代後の出生数は『86÷2×1.36=』で53万人に過ぎない。それが今年は約2%の減少を見込むことから85万人を下回ることが確実視されている。すると出生数は再来年にも80万人を大きく割り込んでしまう。出生数は一度落ち込むとなかなか回復しない。もし、この70万人を基準とするなら、同じく『70÷2×1.36=』で47万人にしかならないのだ。

 これでは全員が百歳まで生きたと仮定してさえ総人口は5千万人を大きく下回ることになる。それも一世代後の人口置換水準が健全とされる2.07まで回復していることを前提としての話だ。これさえ絶対に無理な数値であろう。ならば、このままの出生率が続く限り、一世代毎の半減も覚悟せねばならない。しかも、今回のコロナ騒動が、その速度を一段と早めようとしている。

 では、この後には一体、何が待ち受けるのか。下記の通り我が国の未婚率は上昇の一途にある。間もなく全人口の3人に一人が、そして2人に一人が生涯を独り身で過ごす時代を迎える。

(参考)
 近親者はいない。介護士はもっといない。火葬場は足りない。数ヶ月待ちが常態化する。だから荼毘に付されることもない。その前に年金や健康保険制度が機能している保証もない。10人で90人の介護は遣り繰り次第で可能でも、1人で9人は絶対に出来ないように、この出生率が続く限り崩壊は免れないのだ。

 巷の論理「AIが救う」も絵空事に終える。高齢化社会のピークは団塊世代が平均寿命に差し掛かる数年以内にある。今現在実用化していないで、どうして間に合おうか。しかも、コロナ渦の後遺症から財源不足は深刻を極める。ここに自然災害でも加わるなら時期を大幅に前倒しして国家存亡の危機に直面するであろう。

 この先、コロナワクチンの争奪戦に続いて外国人労働者の奪い合いになるのか、それとも日本人の若者が海外に活路を求めて出ていってしまうのか。衰退する国力にあって新型肺炎の置き土産は限りなく大きい。後者でないことを願うばかりだ。

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《余談》

 この12月から、コロナワクチンの摂取が、一斉に始まった。ファイザー社製だけでも40ヵ国以上に及ぶという。ピークは1月から2月とされる。争奪戦も凄まじい。一瞬の遅れが政権運営にも支障を来たし兼ねない。韓国のみならず幾つか国では支持率まで大きく下げてしまった。

 その点、日本はなんと素晴らしいことか。慎重な治験は求めても、早くて3月からの予定に、「遅い」と追及するまマスコミなどひとつもない。ただ単に副作用(反応)だけを取り上げて大騒ぎしている。健康を案じてのことか、それとも追及をかわしたい政府の意向に沿って問題を摩り替えているのか、どちらだろうか。

 副作用は怖い。だが大量死はもっと怖い。食品でさえアレルギー物質のないものなど存在しない。ソバや小麦だけではない。米や味噌、醤油にもある。死亡例だってゼロではない。具体的な数字は示されていないものの、インフルエンザワクチンであれ、かなりの副作用が生じていると聞く。海外からも「奇っ怪な国」として大きく取り上げられ始めた。政府に配慮した報道の隙に深刻な事態を招かねば良いが。

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《一方、こうした統計も・・》

(今年の死亡減を伝える記事)
(日経紙/12月28日朝刊より)

 人口動態統計による速報値によると、今年(1月から10月まで)の死者数は、インフルエンザなど他の感染症が激減したこともあって前年より1万4000人少ない。これが何を物語るのか。幸いにも、新型コロナが「大山鳴動して鼠一匹」だったにせよ、更なる少子高齢化は避けられないことを意味する。やはり新型コロナ騒動による影響は途方もなく大きい。