先日(10月30日夜)、トルコとギリシャの中央に位置するエーゲ海を震源に、マグニチュード7.0の大きな地震があった。この一帯では津波も発生。トルコ西部に位置するイズミル県では建物の倒壊によって死者100人を超える甚大な被害が生じているようだ。

(気象庁より)

 こうした地震には流れがある。一定の距離を伝播するということだ。これまでも、東南アジアはアラスカ方面、オセアニアは日本(近海)、チリは南太平洋や北中米といったように、その距離は地球外周の4分の1(約1万km)を測るが如くに連動している。

 奇しくも先月(10月20日)には、アリューシャン列島でもM7.5の大きな地震が発生しており、この距離(アリューシャンとトルコ)もまた約1万kmの範疇である。

 次はどこか。お手元に地球儀があればトルコから見た約1万kmを探ってみていただきたい。東に目を向ければ辿り着くのは日本列島であることに気付かれると思う。そう、歴史的にも日本に於ける鳴動は、オセアニアのみならず西アジアからヨーロッパにかけての地震とも深く関わっているのだ。

 トルコと日本列島であった大地震を並べてみよう。この半世紀だけでも下記の如くになる。

◆(トルコで発生の大地震)
◇(日本列島で発生した大地震)
 (M6以下は除く)

◆1971年05月22日、ビンギョル、M6.9
◇1971年08月02日、十勝沖、M7.0

◆1976年11月24日、ムラディエ、M7.5
◇1975年06月10日、北海道東方沖、M7.7

◆1983年10月30日、エルズルム、M6.9
◇1983年05月26日、日本海中部、M7.7

◆1992年05月13日、エルズィンジャ、M6.8
◇1993年07月12日、北海道南西沖、M7.7

◆1995年10月01日、ディナル、M6.1
◇1995年01月17日、阪神淡路大震災、M7.2

◆1998年06月27日、ジェイハン、M6.2
◇1998年05月04日、石垣島南方沖、M7.5

◆1999年08月17日、イズミット、M7.6
◆1999年11月12日、デェズジエ、M7.2
◇2000年01月28日、根室半島沖、M6.8
◇2000年06ー08月、伊豆諸島群発
◇2000年10月06日、鳥取県西部、M7.3

◆2002年02月03日、アフィヨンカラ、M6.5
◇2002年03月26日、石垣島近海、M6.5

◆2003年01月27日、ビュルミュル、M6.1
◆2003年05月01日、ビンギョル、M6.4
◇2003年05月26日、宮城県沖、M7.0
◇2003年07月26日、宮城県北部、M6.1
◇2003年09月26日、十勝沖地震、M8.3
◇2004年10月23日、中越地震、M6.7

◆2010年05月08日、エズラ県、M6.1
◆2011年10月23日、ヴァン県、M7.2
◇2011年03月11日、東日本大震災、M9.0

◆2020年10月30日、イズミル県、M7.0
◇20xx年xx月xx日、〇〇〇〇〇〇

 このように、一年以内には、かなりの確率で伝播していることが分かる。日本側での発生が後か先かはともかく、イラン(アジア西部)やイタリア(地中海域)を含めれば、ほぼ100%である。

 とはいえ、これがなかなか難しい。地球規模の伝播に規則性はない。定まらない方向に加えてタイムラグは如何ともしがたい。同日もあれば数年先だってあるかも知れない。だが、これだけは言えよう。311の余波は未だに抜け切っていない。有るか無いかではなく、いつ及ぶかが問題なのだと。

 地球という星は宇宙空間に漂う極めて不安定な浮遊球体だ。そこで地球外周の4分の1、即ち、約1万kmを複数(2~4)回伝播させることで地軸の安定を保つのではないか。科学的見地には乏しいとはいえ、一つの領域でのみ大地震が続くなら、とてもバランスは保てまい。

 だからこそ、この地球には(巨)大地震の巣が等距離に並ぶ。そして安定を図る。数年来、ニュージーランドやイランから地中海周辺で多発する地震も、2010年のチリ・マウレ地震や2011年の東日本大震災を起点とした伝播とすれば地球規模の波動として十分に説明がつくのではなかろか。

 戻って、アリューシャン~トルコ~日本に連なるであろう地震も、あくまで推測に過ぎない。異なる経路を辿ることだってあるだろう。但し、日本列島は今、数百年に一度の活動期にある。北から南まで全土が警戒域なのだ。やはり、いつあっても不思議ではあるまい。

 歴史的な大地震は秋から冬に多い。ことに天候が安定する時期に限って増える傾向にある。荒天明けや強風(季節風含む)が収まった頃合いが危ない。今日だけは安全と思えるような恙無い日和はもっと危ない。ともあれ、これから年末にかけては、これまで以上に『油断は禁物』といったところか。

◇◇◇◇◇◇◇◇

《余談》

 神奈川(横須賀から横浜)での異臭騒ぎから約半年が経過した。最近は少なくなったものの通報だけは絶え間なく続いているという。一昔前と違って河川は浄化された。メタンガス発生の可能性は低い。近隣に怪しい工場もない。原因は何なのだろうか。

(三浦半島の活断層)
(地震調査研究推進本部より)

 地震前兆説も浮上するが、これとてデマとは言い切れない。今回に限っては著名な専門家までが挙って大騒ぎしているのだ。三浦半島には活断層が多い。未知のものを含めれば他にもまだあるだろう。横浜市内とて例外ではない。関東大震災当時とは、人、物、金と、その集積度がまるで違う。時期が時期だけにデマであって欲しいものだが。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆

《《11月7日、追記》》

 11月 6日に青森県東方沖であったM5.7に続いて、7日には同じくM5.2、小笠原諸島東方沖を震源にM6.2と比較的規模の大きな地震が相次いでいる。海域で事なきを得ているが、この日本列島も活動期に入ったようだ。内陸に及ばねば良いが・・。