菅内閣の首相補佐官に元共同通信社の柿崎明二氏が就任した。柿崎氏は首相と同郷の秋田県出身。直近まで反体制の急先鋒であり、政策のみならず、モリカケや桜を観る会と、事あるごとに自民党政治を批判してきた。官房長官(菅総理)とて例外ではない。常に批判の的に晒されて続けていた。言わば、政権政党とは相反する立ち位置にあったはずだが・・。

(安部政権批判の急先鋒だった柿崎氏)
(ネット、ひるおび画像より引用)

 メディアから発せられる記事やコメントには裏がある。リベラル派と称される者は、現体制に否定的な記事を書き、辛辣な発言を繰り返す。だが驚くことも多い。リベラル=自由=革新=反体制かと思いきや、そうでもない。国政選挙があるや一夜にして保守(自民)党の議員になっているではないか。それも一人や二人ではない。昨日までの、あの辛口は何だったのか。

 結局は、彼(女)らもサラリーマンであり、タレントあることに気付かされる。フリーであれ食わねばならない。新聞社には社の、TV局には局の考えがある。記者もコメンテーターも社(局)の方針には従わねばならない。記事の方向性は事前に指示され、綿密な打ち合わせに基づき発言内容までが決められてゆく。

 そう、彼らとて自由に書き、自由に発信しているわけではない。筋書き通りに演じる役者であり、社(局)の考え方を代弁している下働きに過ぎないのだ。数ヶ月前、(高嶋ちさ子が)バカ騒ぎも他人への批判も全て用意された台本を読んでいるだけで自分の意思は何一つ入っていないと暴露していたが、その通りであろう。真偽は、報道(情報)の中にあらず、といったところか。

 因みに、安倍前総理の実父(安倍晋太郎)もそうだった。大学を卒業して毎日新聞に入社。政治部記者として政権を批判しつつも、1958年に自民党から衆院選へ立候補して初当選。彼の場合、衆議院議員の安倍寛の長男であり、岳父に内閣総理大臣の岸信介、義理の叔父は内閣総理大臣の佐藤栄作といった家系から当然の流れではあるが。

《参考》

(政治部記者から政界に転身した主な人物)

安倍晋太郎(毎日新聞)緒方竹虎(朝日新聞)小坂徳三郎(朝日新聞)鈴木恒夫(毎日新聞)竹内黎一(毎日新聞)野田武夫(朝日新聞)羽田武嗣郎(朝日新聞)藤井丙午(朝日新聞)細川隆元(朝日新聞)

 重責を担った者だけでもこれだけいるが、その殆どは自民党衆院議員である。果たして、どんな心境で(政権批判を)述べ、書いていたのだろうか。

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《不倫騒動》

 水泳の瀬戸大也が不倫騒動で窮地に立たされている。萩野公介の不調もあり今や日本競泳界の顔でもあるだけに、その影響たるや計り知れない。スポンサーも次々と撤退してしまった。自業自得とはいえ、この先はどうなるのだろうか。

(世界水泳二冠の瀬戸大也)
(ネット画像より)

 こうした騒動は芸能やスポーツ界だけではない。「英雄色を好む」の伝統なのか今以て政財界や高級官僚に於いては日常茶飯事のようである。つい先日も、橋本元総理の子息で厚労省ナンバー2でもある橋本岳副大臣(46)と、ナンバー3の自見英子政務官(44)の不倫が発覚した。クルーズ船のコロナ感染に揺れる春先には、和泉洋人首相補佐官(66)と大坪寛子厚労省大臣官房審議官(52)の不倫疑惑もあった。

 だが、その扱いは歴然としている。瀬戸大也と違い社会的制裁は受けない。収入だって剥奪されない。それどころか、コロナ対策でも、これまで以上に権限を発揮する立場にあった。最近、移動になったようだが、これとて左遷でもなければ降格でもはない。恒例の人事移動だ。さすがに国民に範を示す偉いお方だけのことはある。

 数年前、フランスの大統領やイタリアの首相にも不倫疑惑があった。マスコミは騒然。一斉に追及を始める。真相を求めて詰め寄る記者に対する、その返答がまた面白い。

「ところで君達はどうなのかね?」

 さすがに文化国家?である。記者側の誰にも身に覚えがあったらしく、この一言で場内は静まり返ったという。

 これが正当かどうかはわからない。国民性の違いもあるだろう。ならば日本だって然り。スポーツは勝ち負けを競うものであって青少年に模範を示すためにあるのではない。少し騒ぎ過ぎではないか。その点、永田町や霞ヶ関は違う。国民を導く立場にある。マスコミは追及する相手を取り違えているのではないだろうか。