〈お一人様は独身貴族から独身飢族へ〉

 間もなく平成から令和、そして10連休へ。こうした中で目立つのが、お一人様『歓迎』の広告だ。海外のみならず国内ツアーからレストランの予約まで、この2文字が躍っている。バブルの頃なら、お一人様『お断り』が常であり、単身者は団体の一員に加わる以外、その行動範囲は限られていた。少子化の副産物とはいえ、これが何を物語っているだろうか。

 かつて、適齢期を過ぎた単身者は独身貴族と呼ばれた。家族がいない分、自らに使える資金も多い。優雅な自由人の象徴でもあった。それも今は昔、貴族ではなく飢族とさえいわれている。そう、貧困社会の象徴であり、食えない人種の代名詞でもあるのだ。お一人様歓迎も、縮小する市場での顧客獲得作戦の一環であって、窮余の策に過ぎない。

 国立社会保障研究所が、この(4月)22日にまとめた世帯数の将来推計によると、2040年には65才以上で一人暮らしをする高齢世帯が全体の40%になるという。しかも、団塊ジュニアが65才に差し掛かることから、この数字を更に上回る可能性が高い。高齢者の半数が無縁社会に身を置かねばならないかも知れないのだ。

 我が国の高齢者(65才以上)人口は(2018年9月15日現在)3557万人だが、子供との同居率をみると、昭和55(1980)年の約70%から、平成27(2015)年には39.0%と、子供と同居する割合は大幅に減少している。単独世帯又は夫婦のみの者については、昭和55(1980)年には合わせて3割弱であったものが、平成27(2015)年には56.9%まで増加している。

 (65才以上のいる世帯)

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(厚労省、国民生活基本調査より)

 一方、65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、昭和55(1980)年には男性約19万人、女性約69万人、高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、平成27(2015)年には男性約192万人、女性約400万人、高齢者人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%となっている。

 (65才以上の単身高齢者世帯)

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 (総務相、国勢調査に基づく)

 これだけではない。今の日本は更に深刻な問題を抱える。生涯未婚率の増加だ。2015年の国勢調査によると、50才まで一度も結婚をしていない割合を示す生涯未婚率は、男性で23.37%、女性で14.06%に達した。

 (生涯独身率の推移)

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 (国立社会保障、人口問題研究所より)

 上のグラフをご覧いただきたい。2020年以降の改善を前提にしてさえ、2035年には男性の3割が、女性の2割が生涯の独身を見越している。現実に改善する要素は何もない。ならば、5年で4%の上昇率から、2035年には2人に1人が生涯を独り身で通す時代になるのだ。

 日本では今、財源難と人材不足から、医療も介護も「在宅で」を推し進める。でも単身者に家族はいない。手術入院や施設への入所では身元保証人を求められる。保証人に成り得る親族や身寄りもいなければ、余程の大金持ちでない限り、病気治療のみならず介護さえ受けられない。慈善団体のキャパにも限界がある以上、大半は見捨てられてしまうだろう。

 最期は孤独に苛まれて人生を終える。荼毘に付されることもない。あと10年も経たずして火葬場は2ヶ月待ちが日常化する。それも身元引き受け人がいての話だ。如何に互助会に入っていようとも身寄りのない者は後回しにされてしまうだろう。そう、墓じまいが話題になるが、無縁仏にさえなれないのだ。

 少子高齢化を助長する、もうひとつの懸念材料。出生率の低下に加えて急拡大する生涯独身者の数々。これでは人口の下げ止まりどころではない。対象者の喪失は予測を大きく上回る人口の急減さえ覚悟せねばならない。出産世代の半減は出生数の半減をも意味する。非正規の拡大が貧困層を生み、機を逸した(労力の)市場解放が国力を衰退させるなら、この付けは限りなく大きい。

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 (逆断層雲)

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 (4月22日早朝/要拡大)

 《台湾とフィリピンで大地震》

 この18日、台湾で強い地震(M6.1/震度7)があったと思いきや、昨夕(22日)にはフィリピンでもM6.1の地震があり大きな被害が出ている模様だ。

 再三記載の通り、この時期の地震は桜前線を後追いする如く北上する傾向にある。2016年は、台湾で大地震があるや、熊本、鳥取、北海道(内浦湾)へと続いた。いずれも震度6から7の大地震である。

 写真の雲は中程で完全に2層化している。気象性より(双方からの)磁場に起因すると考えた方が合理的だ。地震との関連性は不明ながら、北北西から南南東に何らかの影響があるかも知れない。