地域ブランドの調査結果が発表された。今年も相変わらず北関東3県の魅力(認知)度は芳しくない。昨年は少しだけ上がったとはいえ、2016年には、45位『群馬』、46位『栃木』、47位『茨城』と(下から)3位までを独占していた。茨城県に至っては長年に渡る不動の定位置である。理由は何なのだろうか。

《2018年の魅力度ランキング》

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(ブランド総合研究所)

 そもそも、この3県は県名と県庁所在地が一致しない全国でも数少ない自治体である。茨城と水戸、栃木と宇都宮、群馬と前橋、この関係を、どれだけの者が認識しているだろうか。しかも代表的な名称に冠(県名)さえないのだ。

《茨城県》

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(全国に最も名を馳せた黄門様も水戸であって茨城ではない)

 茨城県などは最たるもので、全国区を数多く抱えるにも関わらず、どれにも県名が入らない。サッカーのアントラーズは「鹿嶋」で、学園都市は「つくば」だ。今をときめく海浜公園は「ひたちなか」で、県を代表する世界的企業まで「日立」であって茨城ではない。誰もが知る偕楽園や黄門様は言うに及ばず、納豆も同じく「水戸」なのだ。隣県の住人であれ「茨城」ブランドをまるで聞かない。

『認知(魅力)度最下位 茨城県の実力↓』
https://blogs.yahoo.co.jp/rohitigu/35892757.html

《栃木県》

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(人気のプロバスケットボール、栃木ブレックスのホームアリーナでさえ、TOCHIGIの表示は小さくて良く見ないと分からない)

 栃木県にも世界遺産で名高い社寺仏閣はあるものの、これも「日光」であって栃木ではない。餃子で名を馳せた「宇都宮」も県都であり県名ではない。古都であり関東屈指の観光資源を有する県内第2の都市は「足利」である。数ある避暑地や温泉街も「那須塩原」に「鬼怒川」と言った具合いで、焼きもの里は「益子」だ。例外は蔵の街「栃木」だが、まだローカルの域を出ていない。

《群馬県》

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(2014年、ゆるキャラ日本一も、どこまで覚えているだろうか)

 群馬に至っては、アレレ(失礼)? で県名と結び付くものが咄嗟に出てこない。人気NO1の「草津」温泉や、「高崎」の観音様もあるが、これとて群馬ではない。元より、上越や上信越地方と称するように、北関東ではないのだろうか。「草津、四万、水上、伊香保」と温泉巡りをしたものの県名だけは知らなかったという笑い話まである。ゆるキャラで日本一に輝いた、あの群馬ちゃんは、もう消えてしまった。

 北関東3県には約687万人が居住する。茨城県は全国11位で291万7857人、栃木県は18位で197万4671人、群馬県が19位の197万3476人と意外に多い。それだけ著名人も多く輩出する。五輪金メダリストは茨城県を筆頭に上位を占め、首相では群馬県だけで3人も輩出する。

 問題は地元意識の欠如だろうか。何せ、群馬、栃木からは、新幹線で東京都心まで約50分であり、JRや私鉄でも都内の各ターミナルまで1時間30分もあれば到着する。車でも混雑さえなければ県南の多くが高速道路で1時間圏内に属する。だから消費者は都内に流れ、地元商店街は益々、シャッター通りになってゆく。

 茨城県なら尚のことだ。県内人口の過半数が東京都内への通勤・通学圏に位置する。JRのみならず地下鉄が県南の衛星都市に分単位で乗り入れ、通勤、通学と多くの県民を都心まで運んでゆく。そう、ここは茨城県ではない。茨城都民の住む、東京都“茨城区”なのだ。

 北関東の住人は地元が表に出ない。かつての埼玉や千葉がそうだったように、今や北関東南部の多くが東京のベットタウンになった。新幹線通勤がその距離をさらに縮めた。昼間は都内で働き学び、就寝のためだけに帰宅する。これは郷土ではない。だから愛着が湧かない。

 県民そのものの意識が希薄で、どうして全国から認知されようか。認知度を上げるには“内側から”改革せねばなるまい。

「どちらにお住まいですか?」

「はぁ~、あの~東京の“方”です‥」

 これでは認知度は上がらない。先ずは意識改革であり、そのための冠(県名の下で誇りがもてるコンテンツ)が不可欠であろう。近い将来、道州制の施行で北関東州が取り沙汰されるが・・。

「お住まいは、どちらですか?」

「首都州みだいなもんだげんど分がっけ」

「ん??」

 これが現実では、あまりにも情けない。

 でも、埼玉県が仲間入りしたから、まっいいか!

 ところで、埼玉県は北関東? 南関東?? それとも???

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《別記》

 一方、市町村別の魅力度ランキングも発表されたが、こちらは・・・。

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 さすがに名だたる観光地の知名度は高い。ランク外だが11位には日光市(栃木県)も入っている。だが心配な点も多い。函館、小樽、富良野、日光と、人口減少著しく消滅都市ランキングでも上位を占めているのだ。宿泊、輸送、そしてガイドまで・・。貴重な観光資源も、若者不在にあって、どこまで頑張れるだろうか。