例年、この季節になると恒例の要請がある。「節電に御協力を」のことだ。取り分け甲子園の始まるこの時期に多い。それが数十年に一度とされれ猛暑にあって全くない。それどころか「クーラーを適切に」と呼掛けている。企業努力はあるにせよ、あの“深刻な電力不足”は何処へいってしまったのだろうか。

 中国電力は10日、松江市に建設中の島根原発3号機の稼働を国の原子力規制委員会に申請した。手続が順調に進んだ場合、2011年の東日本大震災以降では初めての新設原発である。

 稼働を急ぐ理由は、あくまで電力不足の解消であり、コストの安定のはずだった。だが、不足に関しては影が薄く、経営の改善と雇用の確保ばかりが見え隠れしている。雇用はともかく、なにか違うのではなかろうか。

 中国5県の総人口は7.438.037人(2015年、国勢調査)だが、ここでも人口減少は加速している。2005年(7.675.747人)と比較して約24万人も減少している。中国地区では比較的健全であった広島県や岡山県も、この数年は減少幅を拡大。あと数年先には(中国地方全体で)700万人を割るだろう。10年で50万人、20年から25年では170万人の減少が見込まれる。近い将来の500万人割れは必至の状況にある。

 ならば必然的に経済規模は縮小する。電力需要も漸減する。この先、電力が不足する理由は一つもない。では災害リスクを無視してまで再稼働に固執するのはどうしてなのか。

 理由は二つだ。一つは電力の自由化にある。かつて電々公社の独占だった通信事業が自由化されて激しい価格競走が繰り広げられた。通信と電気では事情が異なるとはいえ、いつ何時、価格競走に晒されないとも限らない。

 とにかく先手を打たねばならない。原発はコストダウンの切り札になる。化石燃料と違って相場に左右されることもない。

 二つめは、雇用の確保のみならず、賃上げと福利厚生の維持拡充にある。原発事故以来、電力各社共に業績が悪化した。ベースアップもままならない。ここでも最善の解決策は原発の再稼働だ。国民の反発なんてどうでもいい。政府は集票を、電力各社は従業員(幹部)の幸せを最優先する。

 なんと素晴らしい組織なのだろう。でも考えて欲しい。電力業界の賃金水準たるや既にトップクラスだ。福利厚生だって誰もが羨む環境にある。これ以上、何を望むのだろうか。

 時として経営悪化は民間企業の宿命でもある。血の滲む努力をして初めて改善できる。廃棄物を山に捨て川に流すような手法で財務改善を計ったところで顧客離れが進む以外の何物でもない。本当に電力自由化を勝ち抜きたいなら、先ず地域に範を示さねばならない。

 長年、電力各社は地域住民にとって憧れの企業だった。ならば、地域に誇れる形で改善策を見いだしてもらいたい。日本列島に住む以上、地震や津波、火山噴火といった天災も心配だが、原発不要は災害リスクだけではない。

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 《折り紙》++

(猫に小判、いや冷氷)

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「暑くてタマらんニャ~」

「誰かクーラー買ってくれんかニャ~」

(リアル. カブト虫)

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「俺らは黒いからもっと堪らんわ」

「“買って兜の緒を冷やせ”って言うじゃろ」

「・・・」

(学生が面倒を見る校内(ドラ)ネコ)

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「フニャ~」