日銀の金融広報中央委員会による2017年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、2人以上世帯が保有する預貯金や有価証券など金融資産の平均額は、前年より73万円少ない1151万円だったという。一方、金融資産を保有していない世帯は全体の31.2%にも及んでいる。保有世帯に限った平均額(1729万円)も2015年(1809万円)より80万円下がったとはいえ、貧富の差が一段と拡大していることを意味している。

 金融資産ゼロの中には、資産隠しを目論む富裕層や、庶民を欺くだけの悪徳政治家も含まれているだろう。だが、この貧富の差は目を覆うばかりだ。もう日本は先進国ではない。あの時代に逆戻りしてしまったかのようだ。

 TVドラマ・おしんの時代。この中で、長子が乳幼児の弟妹を背負い、授業を受けるシーンが度々登場する。小学生の子守りなど珍しくなかった時代でもある。ミルクなどない。泣く子をあやすだけでも大変だったろう。勿論、本人も弁当なんて持参出来ない。それでも学校に通えるだけ恵まれていた。それが今、学校に通えない、給食費さえ払えない児童が続出している。「国民総中流」や、「飽食の時代」の例えが、過去の遺物と化してしまった。

 長い間、日本人の識字率は、ほぼ100%とされてきた。高度成長下、受験競争もあって、就学前の識字率さえ100%近くになっていた。それが、年々、降下している。理由は貧困に他ならない。

 生活保護世帯が増えるにつれ、その影響は真っ先に子供達に現れた。就学や給食費用を自治体が負担する児童数は、この15年間で倍増し、155万人になった。即ち、全体の15.64%であり、6人に1人が貧困世帯ということでもある。これは日本の貧困率16.3%とも合致する。学校に通えれば、まだいい。非就学児童も日々増え続ける。

 今や就学児童でも、1クラスで2人から3人は、字が読めない、書けない状況という。特殊学級ではない。貧困が学習環境を阻害しているからだ。非就学児童を含めれば更に多いだろう。これが先進国の姿だろうか。あの時代、そう、おしんの時代と変わらないではないか。違いは子守り児童を見なくなったことぐらいだ。

 預貯金ゼロでも就労が健全であれば問題ない。だが、世の中、何があるか分からない。公務員は削減され、世界的企業でさえ淘汰される時代だ。無一文に気付いてからではもう遅い。生活保護の申請も自宅が妨げとなる。

 家屋所有は許されない。マイカーさえ認められない。お金がない。生活が出来ない。仕方なく自宅を処分しようにも2019年問題が立ちはだかる。この年を境に家屋数が世帯数を上回る。余程、立地に恵まれていない限り、不動産そのものが無価値になってしまうのだ。

 最近よくあることだが、見るからに金持ちが突然、アパート暮らしを始める。聞けば、やはり生活保護だという。家屋は抵当で没収されたようだ。でも、これはまだいい。売却や没収の対象にもならない廃屋寸前の自宅を所有する庶民が最も深刻なのだ。手の打ちようがない。

 奥の手はただひとつ。預貯金や有価証券が皆無なら、手持ちの不動産を早めに処分しておくことだ。売却代金も僅なら直ぐに使いきってしまうかも知れない。それならそれでよい。その方が生活保護の対象となる。さもないと本当に無一文になってしまう。ホームレスを笑えなくなる。遅くとも東京五輪の2020年までには‥。

  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 追記⇒《島根県西部で強い地震》

 今日未明(AM1時32分)島根県西部を震源にM6.1の強い地震があり、大田市などで震度5強を観測した。家屋の一部損壊、鳥居の倒壊、床の亀裂、断水、陳列棚から商品が散乱するといった被害が相次いでいるという。

 奇しくも昨日、島根県では桜の修了宣言を出したばかりだ。例年、桜前線の北上に伴い穏やかになり、散り終わった頃合から順次『地震前線』も北上する傾向にある。偶然なのか必然なのかはともかく、今のところ必然が勝っているようだ。一昨年(熊本から北海道まで北上)の例もあり、まだ油断は禁物ではなかろうか。

 ※(桜が散ったら大地震に注意)↓
https://blogs.yahoo.co.jp/rohitigu/36089994.html

 因みに、2016年にも山陰(鳥取県中部)でM6.2の地震があり、震度6弱を観測している。