2月25日に行われた東京マラソンでは、設楽悠太(ホンダ)が高岡寿成の日本最高記録を16年ぶりに更新する、2時間6分11秒で2位に入った。優勝はケニアのディクソン・チュンバ(2時間5分30秒)だった。
この設楽、タイムもさることながら、獲得賞金も凄い。なんと(日本)最高記録更新の報償金として日本実業団連合から1億円である。所属チームにも5千万円というから合わせて1億5千万円を稼いだことになる。
レース展開は見事だ。30kmまでの各5kmを14分台で走り、最後まで落ちなかったことからも、同じく6分台でゴールした井上大仁と共に大健闘と言えよう。だが1億円の価値としてはどうか。低迷するマラソン界のカンフル剤にはなったにせよ、本当にこのタイムで称賛(1億円)に値するのだろうか。現在の日本と世界のランキングから比較してみたい。
《日本歴代ランキング》
(左から、順位、記録、名前、更新年代)
(01)2.06.11、設楽悠太、2018.02.25
(02)2.06.16、高岡寿成、2002.10.13
(03)2.06.51、藤田敦史、2000.12.03
(04)2.06.54、井上大仁、2018.02.25
(05)2.06.57、犬伏孝行、1999.09.26
(06)2.07.13、佐藤敦之、2007.12.02
(07)2.07.19、大迫傑 、2017.12.03
(08)2.07.35、児玉泰介、1986.10.19
(09)2.07.39、今井正人、2015.02.22
(10)2.07.40、谷口浩美、1988.10.16
・・・・・・
(15)2.07.57、伊藤国光、1986.10.19
《世界歴代ランキング》
(01)2.02.57、デニス・ギメット、2014
(02)2.03.03、ケネニサ・ベケレ、2016
(03)2.03.05、エリウド・キプチョゲ、2016
(04)2.03.13、エマニエル・ムタイ、2014
(04)2.03.13、ウィルソンキブサング、2016
(06)2.03.38、パトリック・マカウ、2011
(07)2.03.46、ギイ・アドラ、2017
(08)2.03.51、スタンレー・ビオット、2016
(09)2.03.59、ハイレゲブラシラシェ、2008
(10)2.04.00、モジネットジレミュウ、2018
・・・・・・
(20)2.04.27、ジェームズクワンバイ、2009
・・・・・・
(30)2.04.49、ダデセ・トラ、2013
・・・・・・
(38)2.04.56、キプリコ・マイヨ、2012
先ずは日本ランキングから見てみよう。快挙である反面、如何に停滞していたかが分かる。7分台は30年前のタイムであり、6分台でも20年前の水準なのだ。サブテン(10分切り)で大騒ぎするが、これなら半世紀前には到達していた。いわば、IT全盛の時代にあって、やっと白黒テレビになったといったところか。
世界との差は更に大きい。日本が停滞している間に絶望的な大差がついてしまった。寺沢徹や重松森雄の世界最高記録も遠い昔だ。今や、設楽の記録でさえ、デニス・ギメットなどのトップクラスからは3分以上も引き離されている。上位は、ケニア、エチオピア勢とはいえ、世界ランクでは50位以内にも入らない。
一方、終了したばかりの冬季五輪ではどうか。バイアスロンや不出場のボブスレーといった競技を除けば参加種目の大半は世界でも上位にランクされる。トップ10はおろ、トップ3さえ珍しくない。メダルには届かなかったものの、その多くが“もしや”のレベルにはある。だから出場できたといえばそれまでだが、誰もが設楽に劣らない実力者でもあるのだ。
平昌五輪の報償金はいくらだろうか。金メダルで500万円、銀で200万円、銅で100万円だそうだ。日本電産(金で2000万円)の例はあるものの、一般的には所属団体やスポンサーからも含めて最大でも倍であろう。金額の多少はともかく、マラソンに比べてあまりにも低い。
マラソン大会に出場する選手の多くは企業の駅伝(陸上)部に所属する。それも日本を代表する大企業ばかりだ。露出度の高さから宣伝効果を期待しての投資だろう。年間10億円近い予算を計上するところもあり、所属選手の生活は概ね保証される。50社が分担するなら1億5千万円など微々たる額でしかあるまい。
引き換え、フィギアスケートなど一部の人気者を除けば、あまりにも待遇が悪い。種目によっては年間数千万、4年では数億円の自己負担を強いられている。しかも、勝てば「おめでとう」で、負ければ「・・・」に終える。設楽選手には失礼だが、彼(女)らはオリンピックに出ただけでも、マラソンの日本最高記録より価値(国際的評価)は高いのだ。大企業には、こうした選手にも目を向けて欲しいものだ。
◇◆◇◆◇◆◇
霧島連山の新燃岳が噴火した模様だ。
昨年(10月)にも記載した通り、霧島連山の噴火は、東日本の鳴動期間とも重なる。
有史以来でも、霧島連山の噴火は約80年に1度、関東地方を襲う大地震は約100年に1度であり、これらが重なり合う確率は極めて低い。にも関わらず時を同じくしている。7年前の噴火では1月から活発化し、そして3月11日の東日本大震災に至っている。
(昨年の記事)
https://blogs.yahoo.co.jp/rohitigu/35885449.html
ともあれ、颶風(強風・雨)が去った穏やかな日和には、くれぐれもご注意を・・。
この設楽、タイムもさることながら、獲得賞金も凄い。なんと(日本)最高記録更新の報償金として日本実業団連合から1億円である。所属チームにも5千万円というから合わせて1億5千万円を稼いだことになる。
レース展開は見事だ。30kmまでの各5kmを14分台で走り、最後まで落ちなかったことからも、同じく6分台でゴールした井上大仁と共に大健闘と言えよう。だが1億円の価値としてはどうか。低迷するマラソン界のカンフル剤にはなったにせよ、本当にこのタイムで称賛(1億円)に値するのだろうか。現在の日本と世界のランキングから比較してみたい。
《日本歴代ランキング》
(左から、順位、記録、名前、更新年代)
(01)2.06.11、設楽悠太、2018.02.25
(02)2.06.16、高岡寿成、2002.10.13
(03)2.06.51、藤田敦史、2000.12.03
(04)2.06.54、井上大仁、2018.02.25
(05)2.06.57、犬伏孝行、1999.09.26
(06)2.07.13、佐藤敦之、2007.12.02
(07)2.07.19、大迫傑 、2017.12.03
(08)2.07.35、児玉泰介、1986.10.19
(09)2.07.39、今井正人、2015.02.22
(10)2.07.40、谷口浩美、1988.10.16
・・・・・・
(15)2.07.57、伊藤国光、1986.10.19
《世界歴代ランキング》
(01)2.02.57、デニス・ギメット、2014
(02)2.03.03、ケネニサ・ベケレ、2016
(03)2.03.05、エリウド・キプチョゲ、2016
(04)2.03.13、エマニエル・ムタイ、2014
(04)2.03.13、ウィルソンキブサング、2016
(06)2.03.38、パトリック・マカウ、2011
(07)2.03.46、ギイ・アドラ、2017
(08)2.03.51、スタンレー・ビオット、2016
(09)2.03.59、ハイレゲブラシラシェ、2008
(10)2.04.00、モジネットジレミュウ、2018
・・・・・・
(20)2.04.27、ジェームズクワンバイ、2009
・・・・・・
(30)2.04.49、ダデセ・トラ、2013
・・・・・・
(38)2.04.56、キプリコ・マイヨ、2012
先ずは日本ランキングから見てみよう。快挙である反面、如何に停滞していたかが分かる。7分台は30年前のタイムであり、6分台でも20年前の水準なのだ。サブテン(10分切り)で大騒ぎするが、これなら半世紀前には到達していた。いわば、IT全盛の時代にあって、やっと白黒テレビになったといったところか。
世界との差は更に大きい。日本が停滞している間に絶望的な大差がついてしまった。寺沢徹や重松森雄の世界最高記録も遠い昔だ。今や、設楽の記録でさえ、デニス・ギメットなどのトップクラスからは3分以上も引き離されている。上位は、ケニア、エチオピア勢とはいえ、世界ランクでは50位以内にも入らない。
一方、終了したばかりの冬季五輪ではどうか。バイアスロンや不出場のボブスレーといった競技を除けば参加種目の大半は世界でも上位にランクされる。トップ10はおろ、トップ3さえ珍しくない。メダルには届かなかったものの、その多くが“もしや”のレベルにはある。だから出場できたといえばそれまでだが、誰もが設楽に劣らない実力者でもあるのだ。
平昌五輪の報償金はいくらだろうか。金メダルで500万円、銀で200万円、銅で100万円だそうだ。日本電産(金で2000万円)の例はあるものの、一般的には所属団体やスポンサーからも含めて最大でも倍であろう。金額の多少はともかく、マラソンに比べてあまりにも低い。
マラソン大会に出場する選手の多くは企業の駅伝(陸上)部に所属する。それも日本を代表する大企業ばかりだ。露出度の高さから宣伝効果を期待しての投資だろう。年間10億円近い予算を計上するところもあり、所属選手の生活は概ね保証される。50社が分担するなら1億5千万円など微々たる額でしかあるまい。
引き換え、フィギアスケートなど一部の人気者を除けば、あまりにも待遇が悪い。種目によっては年間数千万、4年では数億円の自己負担を強いられている。しかも、勝てば「おめでとう」で、負ければ「・・・」に終える。設楽選手には失礼だが、彼(女)らはオリンピックに出ただけでも、マラソンの日本最高記録より価値(国際的評価)は高いのだ。大企業には、こうした選手にも目を向けて欲しいものだ。
◇◆◇◆◇◆◇
霧島連山の新燃岳が噴火した模様だ。
昨年(10月)にも記載した通り、霧島連山の噴火は、東日本の鳴動期間とも重なる。
有史以来でも、霧島連山の噴火は約80年に1度、関東地方を襲う大地震は約100年に1度であり、これらが重なり合う確率は極めて低い。にも関わらず時を同じくしている。7年前の噴火では1月から活発化し、そして3月11日の東日本大震災に至っている。
(昨年の記事)
https://blogs.yahoo.co.jp/rohitigu/35885449.html
ともあれ、颶風(強風・雨)が去った穏やかな日和には、くれぐれもご注意を・・。